夏休みは減ってしまっていいのか?
学校の休校期間が続いたため、子供達の学習内容の確保をするために夏休みを短縮する自治体が増えています。そもそも夏休み(夏季休業日)は何のためにあるのでしょう。
学校教育法施行令
第二十九条 公立の学校(大学を除く。以下この条において同じ。)の学期並びに夏季、冬季、学年末、農繁期等における休業日又は家庭及び地域における体験的な学習活動その他の学習活動のための休業日(次項において「体験的学習活動等休業日」という。)は、市町村又は都道府県の設置する学校にあつては当該市町村又は都道府県の教育委員会が、公立大学法人の設置する学校にあつては当該公立大学法人の理事長が定める。
2 市町村又は都道府県の教育委員会は、体験的学習活動等休業日を定めるに当たつては、家庭及び地域における幼児、児童、生徒又は学生の体験的な学習活動その他の学習活動の体験的学習活動等休業日における円滑な実施及び充実を図るため、休業日の時期を適切に分散させて定めることその他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
学校教育法施行令には上記のように定められています。日数に関しては各自治体の管理運営規則に定められていますので、地域によっては夏休みが短くて冬休みが長いなど弾力的に活用されています。一般的に、夏休みは7月の第3週あたりから8月末までが多いですが、今回の新型コロナウィルス感染症拡大防止のための休校期間の延長の影響で、夏季休業日を短くする自治体が増えているため、様々な議論がされています。
学びの保障をする派
休校期間中は十分に学習ができていないのだから夏休み期間を有効に使って学びの保障するべきだ。学校には空調設備が整っているところもある。十分に学習環境が確保できているところは積極的に夏休みを短縮するべきだ。
子供達の体験的学習活動等を保証する派
夏休みは子供達が様々な体験をすることができる期間であり、休校期間中にはそのようなことができなかったのだから、適切に夏休みを定めて、体験的活動をさせるべきだ。そもそも夏の暑い時期に子供達を登下校させて学ばせるには環境が良くない。
ざっくりと分けて夏休み短縮賛成派と反対派の意見です。どちらも子供達の事を考えての意見なのでむげにこっちだというのも難しいところです。私の考えは、「視点は子供に置くべきだろう」です。
もしみなさんが学生だったら、夏休みが短縮されたら嬉しいですか?短縮された中で勉強を詰め込まれたら頑張れますか?受験生だからしょうがないという意見もわかります。でも、私は嫌です。
嫌な状況で教えられた学びが、主体的な学びに繋がるとは考えにくいです。教師の力量にもよるかもしれませんが、教師自体も「夏休みなのに」という気持ちは少なからずあります。休校期間だって子供達の様子を把握したり、課題を出したり、今後の指導計画を見直したりしていて休めているわけではありません。夏休みは先生方の貴重な自己研鑽の時間でもあります。誰も幸せにならない状況で、ただ形ばかりの学びの保証をすることがいいようには感じません。
学習指導要領に定められている事だから履修漏れが許されないのはわかります。でも緊急事態です。そのための措置を食らった子供達にぶつけるのは、教育なのでしょうか?学びは楽しいものであって、強制されるものではありません。適切な時間で学びの楽しさを味わわせることが、これからの新たな学びにつながるのではないでしょうか。