ナイジェリアの映画産業は世界3位!?
みなさん、アフリカに世界で3番目に大きな映画産業があることを知っていますか?
まず、映画産業において有名なところといえば、1番に思い浮かぶのはアメリカの「ハリウッド」ではないでしょうか。その他で言えば、インドの「ボリウッド」やフランスの「カンヌ」、またはアジアの映画産業の一大中心地である日本の「東京」も世界の映画産業に大きな影響を与えています。
世界第3位の映画製作本数を誇る国
さてここで本題ですが、実はこれらに匹敵する映画産業がアフリカにあるのです。
それは、世界で3番目に大きな映画産業を誇るナイジェリアです。
ナイジェリアは西アフリカに位置する連邦共和国で、面積は約92万平方キロメートル、2023年時点での人口は約2億人以上と推定されています。この人口数はアフリカ大陸で最も多く、世界でも7番目に大きな国です。
ナイジェリアの映画産業は「ノリウッド」と言い、アメリカの「ハリウッド」、インドの「ボリウッド」に次いで年間の映画製作数が世界3位です。
日本においては、ノリウッドの存在自体、初めて聞く人が多いのではないでしょうか。
近年、Netflixなどのデジタルストリーミングサービスがノリウッド映画を配信するようになり、日本における認知度向上はしていますが、やはり映画愛好家やアフリカ文化に関心がある人々の間以外の、一般の日本人にはあまり知られていないと思います。
なので、まずそれぞれがどんな特徴や影響力があるのかを紹介し、そこから詳しくナイジェリアの映画産業について解説していきます。
各映画産業の特徴まとめ
国によって、映画の特徴や扱う内容は様々です。そこで、国による特徴や代表作などをまとめてみました。
ハリウッド(アメリカ合衆国)
ロサンゼルスに位置し、世界で最も有名な映画産業の中心地
特徴: 製作費が高く、特殊効果と大規模なプロダクション
影響力: 多くの大手映画スタジオが集まり、世界的に人気のある映画やスターを輩出
代表作:「タイタニック」、「アバター」、「スター・ウォーズ」シリーズ
ボリウッド(インド)
ムンバイに拠点を置く、ヒンディー語映画産業の中心地
特徴: 音楽とダンスが特徴的なエンターテイメント性の高い映画が多い
影響力: 年間の映画製作本数が非常に多く、インド国内外で幅広い人気を誇る
代表作: 「ダンガル」、「バーフバリ」シリーズ、「3 Idiots」(「きっと、うまくいく」)
ノリウッド(ナイジェリア)
アフリカ最大の映画産業で、ナイジェリア全土で製作
特徴: 低予算で迅速に製作されることが多く、地元の文化や社会問題を反映
影響力: 年間数千本の映画が製作され、アフリカ全域やディアスポラコミュニティで人気
代表作: 「Living in Bondage」(「The Wedding Party」)
カンヌ(フランス)
カンヌ映画祭の開催地として知られる
特徴: 芸術性が高く、批評家や映画愛好家に向けた作品が多い
重要性: 世界最大級の映画祭の一つであり、国際的な映画のプレミアや取引の中心地
代表作: 「アデル、ブルーは熱い色」、「レ・ミゼラブル」
東京(日本)
アジアの映画産業の一大中心地で、日本映画の中心地
影響力: 独自のジャンルやスタイルを持つ日本映画が国際的にも高い評価を受ける
特徴: 日本の伝統と現代文化が融合した独特の映画スタイル
代表作: 「七人の侍」、「千と千尋の神隠し」、「東京物語」
これらの地域や都市は、それぞれ異なる文化的背景を持ちながら、世界の映画産業に大きな影響を与えています。それぞれの映画文化は、その地域の特色や歴史を反映しており、多様な映画体験を提供しています。
ノリウッドについて
歴史
ナイジェリアの映画産業は、1960年のイギリスからの独立後、独自の道を歩み始めました。
当初は外国映画が主流で、特に西洋やインドの映画が人気でした。しかし、時間とともに地元の才能が台頭し、ナイジェリア独自の映画製作が始まりました。
1960年代から1970年代にかけて、映画館文化はナイジェリアで急速に広がりました。映画が主要な娯楽源の一つとなり、都市部を中心に映画館が盛んに運営されたために、人々は映画館に集まり、様々な外国映画を楽しむようになりました。
1980年代にナイジェリアが経済的困難に直面すると、映画館文化は衰退しましたが、この経済的な逆風の中で、ビデオ市場が重要性を増し始めました。映画館での映画鑑賞が難しくなったため、より手頃な価格で自宅で映画を楽しめるビデオが人気を博し、ビデオを介した映画製作と流通が急速に増加し始めたのです。
この変化が、ナイジェリア映画産業の次の大きな転換点へとつながり、その結果、ノリウッドは1990年代初頭に誕生しました。その2年後にはナイジェリア初のビデオ映画となる「Living in Bondage」が大成功を果たし、ノリウッド成功のキッカケともなりました。2000年代に入ると、ノリウッドの映画は国際的な注目を集め始め、映画祭での受賞や外国での上映が増えました。
今ではノリウッドがナイジェリア経済に大きな影響を与え、重要な産業の一つとなっています。
今のノリウッド
ノリウッドは短期間かつ低予算で、年間数千本の映画を製作しています。
ノリウッドの映画は、家族のドラマ、恋愛、宗教、社会問題など、幅広いテーマを取り扱っています。ナイジェリアの多様な文化、伝統、現代社会の問題が反映されているのが特徴です。
現代のノリウッドは、その独特なスタイルと物語で、世界中の視聴者から注目を集めています。特に近頃は、Netflixなどのストリーミングサービスがノリウッド映画を配信し始め、数多くの視聴者がアクセスを集めています。
映画産業としての成長と共に、ナイジェリアの社会や文化に対する認識を深める重要な媒体となっています。
アフリカ全体の映画産業
アフリカ大陸にはナイジェリアのノリウッド以外にも、映画製作に力を入れている国々がいくつかあります。例えば、南アフリカ共和国や、エジプト、ガーナ、セネガル、ケニアなどです。
それぞれ独自の文化的背景を持ち、多様な映画産業が発展しております。
南アフリカ共和国
特徴: 南アフリカはアフリカ大陸で最も発展した映画産業の一つを持っています。高品質な製作設備と多様な撮影地を提供しており、国内外の映画製作において重要な役割を果たしています。
成果: 南アフリカの映画産業は、国際的な映画祭で数多くの賞を受賞しており、特に社会問題や歴史的な題材を扱った作品が評価されています。
代表作:
「Tsotsi」(2005年): ギャングのリーダーが赤ん坊を誤って誘拐し、彼の人生が変わる過程を描いています。
「District 9」(2009年): 南アフリカのアパルトヘイトをエイリアンとの関係で描いたSF映画です。
エジプト
特徴: エジプトはアラブ世界最大の映画産業を持ち、特に首都カイロは「アラブのハリウッド」とも称されます。エジプト映画はアラブ語圏全体に広く流通しています。
歴史: 1930年代からの長い歴史を持つエジプトの映画産業は、多くの古典的名作や有名俳優を輩出してきました。
代表作:
「The Yacoubian Building」(2006年): エジプトの社会の多様性と複雑さを描いた作品です。
ガーナ
特徴: ナイジェリアに近く、文化的にも類似点が多いガーナも、映画産業が成長しています。特に低予算で迅速に製作される映画が多いです。
動向: ガーナの映画は主に国内市場を対象としていますが、アフリカ全域やディアスポラの間での人気も高まっています。
代表作:
「The Perfect Picture」(2009年): 現代のガーナ女性の生活、恋愛、友情を描いた作品で、生き生きとしたキャラクターと現代的なテーマが特徴です。
「Beasts of No Nation」(2015年): これはガーナを背景にした映画で、子ども兵士の話を描いています。カリー・フクナガ監督によるこの作品は、ガーナで撮影され、国際的に高い評価を受けました。
ケニア
特徴: ケニアも映画産業が成長している国の一つで、近年ではより多くの国際共同製作に参加しています。
動向: 地域の物語や社会的なテーマを扱った映画が増えており、国際的な映画祭での注目度も高まっています。
代表作:
「Nairobi Half Life」(2012年): ケニアの首都ナイロビでの若者の苦闘を描いたドラマです。
これらの国々は、アフリカ映画産業の多様性と豊かな文化的背景を反映しており、世界の映画シーンにおいて重要な役割を果たしています。
以上が、映画文化がすごく発達しているアフリカについてでした。
ぜひ興味を持たれましたらご鑑賞ください。