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アフリカ大陸で試される偏見

僕のnoteを見てくださっている方にはアフリカに行った/行きたい人が結構いるのではないでしょうか。アフリカに行った人からするとあるあるでしょうが、よく「ニーハオ」「チンチョンチャン」などと現地の人たちから声を掛けられます。こうした人たちにどう対応するかどうかは、人によって分かれます。

僕の場合は、声をかけてくる雰囲気によって分かれます。「ニーハオ」などの普通の挨拶をされた場合、「ニーハオ」と返します(日本人が欧米人を見たらとりあえずHow are you?と言う感覚なのかな)。一方、たまに馬鹿にした感じで「チンチョンチャン」などど声をかけてくる輩がいますが(たいてい暇そうな若者や高校生くらいの男)、その場合は無視するか、あえてテンション高めに意味のわからない中国語っぽい音を発声して返事をします(笑)

反応は人それぞれですが、普通の挨拶「ニーハオ」をされた場合に、怒る人がたまにいます、「自分は日本人であって中国人はない!」と。この感覚について今回思うところを書きます。

アフリカにいる中国人と日本人はどれくらい?

まずは議論の大前提ですが、そもそもアフリカ大陸には日本人と中国人はどれくらいいるのでしょうか?調べてみました。まずは日本人からですが、外務省が発行している海外在留邦人数調査統計によると、2023年10月時点で、アフリカ大陸に住む日本人の数は6,528人とのことです。一方、中国人の場合はあまり統計データにたどり着けませんでしたが、 Hong Kong Polytechnic UniversityのYAN Hairong准教授のレポート(2020年)によると、アフリカ大陸に住む中国人の数は100万~200万人と推定されます。

これらの情報から導き出される示唆は2つ。まずは、総数だけではなく、割合も含め、より多くの中国人が、アフリカに進出しているということです。前述の数字(日本人:6,528人 中国人:100万人としましょう)の比率は、1:153となります。一方、日本と中国の総人口は1.2億: 14億ですので、人口の比率は1:12程度です。これら2つの比率から考えても、中国と日本の人口差を加味してなお、より多くの割合の中国人がアフリカに進出しているので、中国人の外向きな志向が伺えます(…が、国内に十分な雇用がないため外国に行かざるを得ないなどの事情があるのかもしれません。中国経済に詳しい方、教えてください)。

もう一つの示唆は、日本人と中国人の比率は少なくとも1:153ですので、アフリカ人の視点からすると、アジア人を見るとほぼ中国人ということでしょう。

怒りから垣間見える偏見

統計的にも、アフリカにいるアジア人の圧倒的多数は中国人ということは明らかなので、アフリカ人的には、アジア人=中国人→目の前のアジア人(実は日本人であっても)=中国人→「ニーハオ」と挨拶しよう、となるのはごく自然のことです。

侮蔑的に声をかけてくる輩はさておき、僕が不思議に思っていたのは、「普通にニーハオと挨拶されるとなぜ一部の日本人は怒るのか?」です。思うに、(無意識的に見下している)中国人と同一視されたから、なのではないでしょうか。仮に、(色々な人種がいるが白人を想定して)アメリカ人やイギリス人と勘違いされたのならどうでしょう?あくまで思考実験ですので確たることは言えませんが、怒る人はいないのではないでしょうか?(むしろ喜ぶ人さえいるかも)。このことから考えると、"下"の立場である中国人と同一視されるのは許されないので、不快に感じるのではないかというのが持論です。

内なる偏見に気づき、乗り越える

国籍や人種に優劣はないというのが僕の信条です。また、偏見はだれしも持っているので、偏見を持つこと自体が悪いのではなく、偏見に囚われたままであることは良くないです。仮に中国人と間違えられ不快に感じたとしても、ぐっとこらえて、「なぜ自分は不快に感じるのだろう」と内省的な視点を持つことで、自分の思わぬ偏見に気づき、克服する一助となるんじゃないでしょうか?アフリカ生活の醍醐味は、アフリカを学ぶとともに、アフリカ"から"学ぶことにあると僕は思います。