南アフリカで白人の母と黒人の父の間に生まれ、本当の家族を知ることのないまま政治に関わり、アパルトヘイトの苦しみを散々味わってきたベッシー・ヘッド。当時の作家たちとは違い、ボツワナに亡命した彼女は、ボツワナの農村を舞台にした作品を描く点で十分異色だった。でも、彼女の中では南アフリカにおける強烈な経験こそが、ボツワナを舞台にした作品に織り込まれている強い「メッセージ」でもあるのだ。
そして、彼女は亡くなるまでの22年間をボツワナで過ごすが、その間、少しずつ南アフリカでの経験をボツワナの社会文化的背景で深めていくことになる。
この文章は、1984年。48歳で亡くなる2年ほど前に発表されたものだ。彼女の精神的な旅は、長い時間を経て続いていたのだということがわかる。そしてもちろん、美しい表現だ。
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