「未来のかけら」展「山中先生のスケッチ教室」に行ってきた

afjkです。note初投稿です。

先日、山中俊治先生のスケッチ術を学ぶべく、「未来のかけら」展に行ってきました。

8/18日(日): 思考の道具、アイデアを伝えるためのスケッチ(少し描ける人向け)
という事で、「少し描ける人向け」というのが不安でしたが思い切って申し込みました。

参加に必要なものは筆記用具。万年筆のLAMYサファリがおすすめとの事で仕舞っていた物を引っ張り出しましたが、インクが固まっていて書けない。
向かう途中、東京駅で降りて丸善本店の文具階にあるLAMYのお店で洗浄とインクカートリッジを交換してもらい復活。
店員さんにとても丁寧に対応していただきました。

スケッチブックは本展オリジナルの物をということで現地で購入。
ヴィフアール水彩紙 中目 B4」の表紙に印刷されたCyclopsのスケッチがかっこいい。

時間は2時間。参加者は20名ほど。
山中先生がスケッチする様子を間近に見ることができました。

スケッチの授業といえばリンゴなど見ながら描くような事を想像しますが、初っ端から何も見ずに「5分で車を描いて」とのお題。
さすが「少し描ける人」向けの授業です。
焦りつつ、以前3331熱中教室で教わった内容を思い出しながら描きます。
タイヤの前輪と後輪の間はタイヤ2つ分?、いや3つだったっけ。

皆が書き終わった後、先生が描きながら解説。
普通、車ってこういうだったかなと形を描くけれど、カーデザイナーはスタイリングからデザインする事は無く、「基本構造」から描く。
車の場合はタイヤがあって、前輪と後輪の間は大体タイヤ3個分。そこにボディがのっかて…
と説明されながら円や曲線を描いていく。
ボディの曲面には空から地面までの景色が圧縮されて映る。それを描くと曲面を伝えられる
などなど、説明されながら見る見るうちに見事なスケッチが描かれる。

お話の内容は非常にロジカルで、一つ一つの描写の意味を説明されました。
「理屈っぽいと言われる」とおっしゃっていましたが、こういう事を考えながら描かれているから現実感と説得力のあるスケッチになるのかと納得しました。

スケッチの目的は、絵画作品として何かを伝えることが最終目標ではなくて。
例えば”言葉”で言うと、詩とか小説とか人を感動させるための文章を書きたいということと、とりあえず今日であった出来事を正確に伝えたいということの違いであると。

今まで自分の思っていたスケッチ(上手な絵が描きたい)とは異なる視点で非常に学びがありました。

色々教わりましたが、私が印象に残った事をいくつか。
(あくまでも私の理解です正確で無いのはご容赦を)

物を見ないで描く

現実は複雑すぎるから。
スケッチしてみると、記憶は案外いい加減で曖昧な事が分かる。
でも、一度描くと忘れない。
また、理屈で考えて描いてみて、リアルに描けたなと思ったら現物と見比べてみる。
スケッチは絵を描く人以外にとっても、現実を理解するために役に立つ。

構造から描く

人工物は回転体が多い。
楕円を描く練習が役に立つ。
構造が描かれる事でどのような物体なのか、どのように動く物なのか伝わる。

曲面を描く

曲面を描く練習。
円の周りを添うように曲線を描く。
力場を感じるように、離れるに従って曲線の幅が広くなる。
こういう形が自然界ではよく現れる。

授業の内容は分かりやすく、ただ、一つ疑問が残りました。
最後の質問の時間、ちょっと勇気を出して手を挙げました。

理解し、伝えるためのスケッチ。ではーー
「今までに無いものも沢山デザインされてこられたと思います。それらはどのようにスケッチされているのでしょうか?」

山中先生の答えは、「車は前輪と後輪の間はタイヤ3つ分と説明したが、間がもっと長くて、タイヤが小さかったら?」とHargeniaのスケッチを描きながら。
ロボット掃除機のRULOは三角形に距離センサーのLiDARが円筒形に組み合わさった形。とスケッチを描きながら。

コンポーネントのレイアウトで考えると。
ここでもスタイルからデザインする訳ではないとご説明されました。

スケッチで現実を理解し、構造を描く事ができるからこそ、新しい物でもスケッチの上で組み立て、検討することが出来るのだと理解しました。

終了間際に描いて欲しいもののリクエストを受け付けて
飛行機や腕時計、八谷さんのメーヴェなど。
軽い感じでスイスイとペンを運んであれよあれよという間に素晴らしいスケッチが出来上がります。
気を抜くといつの間にかディティールが描かれてどんどんリアリティが増している。
とても貴重で贅沢な時間でした。

おわりに

終了後に「未来のかけら」展を鑑賞。展示の内容も展示のされ方も素晴らしかった。色々な年代の方、外国の方々も興味深く鑑賞されていたのが印象的でした。

今回の授業でスタイルではないと繰り返し説明されていましたが、山中先生のスケッチのスタイルは真似したくなります。

あまりにもかっこいいので。

おわり


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