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参加ミュージシャンで辿る名盤リレー#2メイシオ・パーカー
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高らかなアルトサックスのブロウに導かれて、2小節ごとにまとめられたビートのうねりが盛り上がりを生み出してゆく。
このバンドのテーマソングたる、そんな1曲目のキモは、巨匠メイシオが奏る艶っぽいサウンドだ。
シングルカットされた2曲は、当時のウィークリーダンスチャートでは数か国で1位を獲得している。
ほかにも、ブルーノ・マーズの最近のユニット、シルク・ソニックでもメンターとしてメディア露出しているブーツィー・コリンズ、A Tribe Called Quest の Q-Tip、メイシオのチームメイト、トロンボーンのフレッド・ウェズリーも参加。
2ndも3rdもよく聴いたが、この1stアルバムがやっぱり愛おしい。
横浜生まれの台湾人、テイ・トウワの活躍が誇らしかった。
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同年のグラミー、ベスト・ハードロックパフォーマンス部門受賞のtime's up の7曲目、Elvis Is Dead の間奏に切り込んでくるメイシオの熱量が凄まじい。
大御所リトル・リチャードのボーカルと絡み合い、客演2人が完全に主役たるバンドメンバーを喰っている。
この曲では、ミック・ジャガーのほか、当時N.Y.在住の久保田利伸も参加。
他の収録曲も、テーマ良し、演奏良し、アイデア良しの3拍子揃った佳作揃い。名作です。
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同年の3月~4月のツアーを収録した3枚組は、プリンスのオフィシャル版としては珍しいライブアルバム。
ここでメイシオは、彼のサウンドの正当なる後継者、キャンディー・ダルファーと共演。
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クリアで吹き終わりまで勢いを維持するトーン、ピーキーな音出しもしないし、ダサいビブラートやシンコペーションもなく、カジュアルでポップなシーンにもハマるキャラクター。
メイシオは御年79歳でまだまだ健在だが、こうして文化が継続されていく様は決して当たり前な事ではないなと。
リスナーとしての立場は単なるMusic Loverでしかないが、できるやり方で演奏家のみなさんをこれからも応援していきたい、と思う。