「明るい夜に出かけて」を観た
明るい夜に出かけて を観た。
一年前くらいに演劇にどっぷりハマり、本多劇場のHPで直近のラインナップを見るのが習慣になっていて、そこで見つけたのが「明るい夜に出かけて」だった。
前述するとわたしはとあるジャニーズJr.のファンで、勿論この舞台に今野大輝さんが出ることは知っていたし、局メールでその案内も見て、「いいタイトルだなぁ」くらいにも思っていたと思う。
本多劇場のサイトから「明るい夜に出かけて」の公式サイトに飛んで、何気なくあらすじを読んだら、なんかすごく、書いてあることが全部わくわくして、私はいいなとか、これだって思うと本当にそのことしか考えられなくなって、視界がぎゅっと狭まるんだけど、その時はもう、それだった。
ジャニーズJr.の舞台で、アルピーANNの話やるんだ?!正反対の世界だよ、ジャニーズと深夜ラジオなんて。作中の富山の言葉を借りるなら、どっちも不可侵の「聖域」なんだ。特に深夜ラジオの方は。現実世界で深夜ラジオの話なんか、もはやタブーみたいな感じだし。
深夜ラジオはリスナーと言えるほどじゃないけどまあまあ聞くし、あのひねくれた、モラル皆無の、それこそあの「聖域」みたいな空間が可笑しくて、羨ましくて、そこの中にいる自分がちょっと格好良い感じがするのが、すごく好き。基本リアルタイムで聞くことは無いから、Twitterで実況タグを見ることもないし、佐古田が言うように、「誰かも今自分と同じように起きていて、これを聴いてるんだ」って感覚も、ネタが読まれた時の高揚感も、感じたことはない。つまり深夜ラジオのディープで、乙な部分を味わっている人間ではないけど、なんかあの、ナンセンスで、地元のヤンキーとかに喋っても「なにそれ?」って吐き捨てられて会話が終わるような底の底のくだらない笑いで笑えることが、そんな笑いで笑えている自分のことが、きっと好きなんだ。
じゃあジャニーズは?アイドルって、そこに紐づくもの、ない気がする。なんでアイドルが好きなのか話し始めたら、収拾つかなくなるから考えないけど。
ジャニーズも深夜ラジオも好きだけど、この舞台に嫌悪感は何も無かった。そもそも、深夜ラジオが題材の舞台をジャニーズJr.が主演でやるってだけで、嫌悪感感じるのも変か!と書きながら思っている。ジャニーズのどっかのグループが、オールナイトニッポンの1部レギュラーになりましたとかだったら話は超別だけど!
一通りわくわくしきって、これは絶対行きたい!って思った後に湧き上がった感情は、正直正直、なんでこの舞台の主演が今野大輝さんなんだ?ってことだった。今野大輝さんのことをちゃんと知らないからっていうのもそう。でも、オールナイトニッポンの周年に関わる舞台で、錚々たるメンバーでラジオドラマにもなったらしいこの話を、演劇の聖地である下北沢で、下北沢の数ある劇場の中でも、一番に名前があがるような本多劇場という場所で、この舞台をやるのが今野大輝さんなこと、正直正直最初は、めちゃくちゃに悔しかった。ずるいって思った。
自担が本多劇場に立つなんて想像したこともないもん。ましてそんなことが本当にあるんだったら、本多劇場に立つ自担なんか、死ぬまでに1回は見たいもん。しかも、座組もすごく評価されている俳優さんばかりで、そこに混じって。Twitterでも何回も壁打ちでこのこと言いまくった。ずるい!!!!って、FF2の鍵アカで。
この後わたしは観劇前に「明るい夜に出かけて」の原作を読むんだけど、読み終わった時にまた悔しくなった。その悔しいは、読む前の漠然とした悔しさじゃなくて、「これは今野大輝さんだわ...絵が見える...」の悔しい、だった。わたし別にジャニーズJr.でも、俳優でもないけど...
本人がどうなのかは分からないんだけど、あのひねくれたこだわりがある感じとか、作中で富山も言ってた目立ちたくないけど目立ちたくない感じとか、人とのつながりをある程度牽制するのに、いつの間にかいろんな人に囲まれてる感じとか。ずるい!本多劇場に自担立ってるの見たい!ってずっと思ってたけど、自担じゃ全くイメージできない人物像だった。人間くさくないように見えて、実はすごく人間らしい悩みがある感じ。飄々としてるようにみえて、劣等感とちゃんと戦っている感じが、すごくすごく今野大輝さんだなあと思った。(すごくイメージだけで言っているので、全然違かったら本当にすみません...!でもわたしはそう見えるんだ!)そして、それがすごく魅力的で羨ましいと思った。
今野大輝さんって、深夜ラジオとか聞くんですかね?わたしの浅はかな知識では、深夜ラジオ聞いてそうなジャニーズJr.ランキング1位、矢花黎さんなんですけど...それもまた違うんですかね?教えてください!侍の有識者のみなさん!
舞台の構成自体はネタバレになっちゃうのであまり書かないようにしよう!と思うけど、もう少し富山の声が聞きたかったなぁとは思った。心情描写で基本進むから別に原作でも富山がべらべらしゃべってるわけではないけど...富山、そんな劇的な感じで心の中でも喋んないだろ!って思ってたけど、でも実はそうなのかなぁ。だったらかわいいなあ。
伊東蒼ちゃんと大久保祥太郎さんはもともと知ってる俳優さんだったんだけど、やっぱりめちゃくちゃめちゃくちゃめちゃくちゃによかった...!!今野大輝さんもだけど、みんな声が良い!
大久保祥太郎さん、歌すごく良かったな。鹿沢っていうちょっと掴めない役が似合ってた。背後にちょっと寂しさがあるみたいな。
佐古田の、変人なのに人のために怒ったり笑ったりできるところがすごく好きなんだけど、伊東蒼ちゃんの佐古田はそれが不自然に見えないというか、ちゃんと佐古田のただ変なだけじゃないところが沢山たくさん伝わったというか(一番最初のシーンから泣きそうだった)、佐藤二朗に怪物って評されるだけあるパワフルな俳優さんだった。すごかった!
みーんな素敵だったけど、いちばん最高だったのは永川役の板橋さん。まじで凄かった...!内輪ノリの深夜ラジオリスナー、悪い奴じゃないけどデリカシーがない、人のために大きな声で笑って泣ける。原作の永川そのまんま!!!そのまんま以上!!!!永川、ほんとに出るたびに劇場の空気持ってってたのが肌でビシビシ分かったもん。あれは凄かった......そりゃ富山が心許すよ...って納得させられるパワー。永川、最高だったな〜〜〜!!!
若者のつながり、そしてそこに対する葛藤とか暖かさみたいなものを描く話って、本でも映画でも演劇でもいっぱいあるし、いっぱい見てきたし、わたしはそういう話がすごく好きなんだと思う。
ああ、わたしもこんなどうしようもなくて、細かくて下らなくて、傍からみたらちっぽけだと思われるようなことで、たくさん悩んでたくさん泣いた、って思い出して、その時に助けてもらった大事なものを思い出す。人の言葉とか、歌のフレーズとか、がむしゃらに踊るアイドルとか、どこまでもくだらない話がだらだら続く、深夜ラジオもそうだった。でもそれって、きっといつか、これから色んな経験をして、ある程度のことを達観して見られるようになって、「あの時は若かったな」って自嘲して笑っちゃうような思い出になるんだよなあ。
「明るい夜に出かけて」を見ていて、それがすごく寂しくなった。その時にしかできない悩みに共感して心が動かされるのも、その時しかないから。いつか時間が経って、若かったなであの時の悩みを清算できるの、長い目で見たら私の人生の救いだったはずなのに、この舞台を見て急激に寂しくなった。それほど、あの座組が紡ぐ今しかない時間が愛らしく見えたんだと思う。
演劇とか映画を見る上で自分の中ですごく大事にしてることが、今しか感じられないものがあるから、とにかく今見なきゃっていうことなんだけど、やっぱり間違いじゃなかったなと思ったな!色んなものを見て、色んなことを思って、思ったことを誰かに言って面倒くさがられることもあるんだけど、それが自分の今の、一番好きなところだから。そんなこと言ってたらジャニオタも辞められなくなってるですけど..................無理すぎる 正直ジャニオタは辞めたい 金がないから でもあんな人間劇他にないんだよ 面白すぎるだろあのエンタメ.........
私にとっての明るい夜ってなんだろう、本を読み終えた時も、観劇しながらも、し終わった後も考えた。たくさん。
この舞台を見終わった後、いま一心不乱にこのメモをスマホで書いている。ベッドの中でド深夜、思い出してメソメソしながら、脈略ね〜〜って自覚しながら思ったままに。で、書きながら、これが私の明るい夜の一つかもな〜と思った。何かを思い出して、ぐちゃぐちゃの感情のままそれに浸る時間。外も、部屋も暗いけど、思い出す風景はいつだってまぶしい。
この舞台を見られて、この舞台で泣ける自分でよかったと心から思った。そんな気持ちのために、これからもいろんな創作を見ていくと思う。改めてそれを感じさせてくれた舞台でした。
「また、こんな夜があるといい。」!
これをnote投稿用に整えてる時、丁度ジュニアチャンネルで合同企画やってるんですけど、7MEN侍・今野大輝さんを見た時の心臓のドキドキが止まりませんでした。怖い!助けて〜!