積み上げてきた知識はプライドになる
転職をして3ヶ月が過ぎた。
27歳にして未経験の企画職へのチャレンジだ。
(転職の経緯については、
別の機会に記そうと思う。)
経営学部でもなかった私は、
企画がどうやって生まれるのか、
そもそもどのように考えたらいいのか、
どう伝えれば理解してもらえるのか、
右も左もわからなかった。し、今も勉強中だ。
*
大大大大嫌いで、
心を擦り減らして出社していた前職とはなにもかもが違っていた。
散々悩まされたお局戦争もないし、
有名無実な上司もいない。
あんな人間になりたくないと思わせるような先輩もいないし、
無理をして上司に気に入られようとする人もいない。
カルチャーショックとはこのことだと思った。
みんな、上司に変に媚びないから、
悪口も出てこない。
やりたいことをやりたいようにする。
極めて健全な職場だった。
ただ
唯一、
前職にあって、新しい職場にないものがあった。
それは、〈教育制度〉。
前職は新卒400人採用。
名刺交換、電話のマナー、
社内での立ち回りなど細部に至るまで
新卒はみっちり仕込まれた。
一方、新しい職場は、
個人の力量によるところが大きく、
社内では個人商店と揶揄されている。
先輩に目を向けると、
たしかに。
まったくマニュアル化されていない。
職業柄もあるが、属人化の極みだった。
それぞれが書籍を読み、基礎知識を身につけて、
経験を積んで、視野を広げたり、
周りのアイディアを盗んだりして
スキルアップをしてきたようだった。
だからこそ。
本人たちが頑張ってきて積み上げたものを
横取りするやつは警戒されるように感じた。
質問をすると、
「やり方は個人の自由だから」という名のもと、
結局曖昧にかわされたり、
「わたしがやっちゃうよ」泥棒にあったり。
私の一つ前に入った先輩は、いっていた。
「○○さんはここまでは教えてくれるところと
教えてくれないことの線引きをしっかりしてる」
「一線を越えると全く教えてくれないんだ」と。
.
.
.
裏を返せば。
それだけ苦労してきて積み上げたものを
易々と人に渡したくないということ。
器が小さいと思われても、
後輩がはやく育たなくても、
同じように苦労して掴んで欲しい。
一つ前に入った先輩はそれに不満を言っていたが、
私は共感もできた。
わかる。
「ぱっと出のやつに積み上げたものを取られたくないよね」
自分にしかできない仕事にするために
努力をしてきた。
そして、それだけプライドがあるんだろう。
*
むしろ「いいな」とさえ、思った。
前職のマニュアル化された仕事は、
誰にでもできる要素が大きくなり、
物足りなく感じて、退職に至った。
自分にしかできないかとどうかはわからないが、
少しでもそういうものにチャレンジできれば
と思った未経験業界だ。
自分の作ったものにプライドのある人と働くのは
楽しいかもしれない。
またまだ新米。
自分がそんな風になれるかわからないが、
私はきらきらした目で
新しい職場の先輩方をみている。
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