ふたりが結婚してたこと、そのタイミングで知りたかった
大学時代、仲良しグループだったひとりに
結婚式の招待のラインを送った。
「久々の連絡なのに、
ご報告で忍びないんだけど、
夏に結婚をするの。よければ、
挙式にもきて欲しいなと思ってて…」
*
彼女とは大学に入学してすぐに仲良くなった。
同じ学部、同じ学科。
出席番号も近かった私たちは
新歓時期をともにして、
いろいろなサークルを回った。
私は大学祭の実行委員会に入り、
彼女は環境活動を行うサークルに入った。
*
彼女は大学1年生のときに、彼氏を作った。
同じ学科の男の子だった。
彼は私の前の出席番号で、
だれとでも仲良くなれる子で、
当たり前のことが当たり前にできる男の子だった。
両方と仲が良かった私は、
彼が、彼女に気を持っていることは、
すぐに気がついた。
初めてのデートに彼女が迷っていた時から、
彼女に彼はいい子だよと後押しし、
ふたりがうまくいくよう、応援した。
そして、ふたりは付き合った。
「私は犬派か猫派か必ず聞いてるんだけど、
彼は私と同じ猫派って答えたの」
「彼から告白された」
と笑いながら教えてくれた彼女をすぐに思い出せる。
時間が経つにつれて、
私はサークルへの比重が大きくなったり、
バイトへの比重が大きくなったりした。
交友関係も、学科の友達だけではなくなり、
サークルやバイトの子と遊ぶことも多くなった。
みんなであえて集まるという回数は減ったが、
それでも必修の授業を3年間彼女とともに過ごした。
彼氏や単位、サークルのことなど
たくさん話をしながら
2人で健康ランドに行くのがお決まりだった。
*
彼女と彼の付き合った2人の過ごす時間と、
彼女と私の友達として過ごす時間。
濃さが違うのは重々承知しているが、
当時長く彼がいなかった私にとって、
友達と過ごす時間は濃いものだった。
当然、彼女のことも大切な友達のひとりと思っていた。
それは、会わなくなっても同じだった。
だから、
「おめでとう笑
妊娠してて行けないかな〜」
と返事が来た時には、寂しい思いがした。
おめでとうに「笑」がついていることにも、
そもそも結婚した報告を受けていないことにも、
出産時期が書かれていないことにも、
寂しい思いがした。
聞くと、結婚した相手は、
私がキューピッドをした彼だった。
「よかったね」と思う反面、
なんで私に言ってないの?
ふたりが付き合いはじめたときから見てるのに。
悪いきもちがもくもくもく。
私だけ知らされてなかったのかな
もくもくもく。
私は結婚したこと教えたのに。
もくもくもく。
色んなことを悪く解釈しているような気もして、
その日はもう返事はしない方がいいと思った。
*
次の日に、
「おめでとう!2人の子だったら、
男の子でも、女の子でも、
きっとかわいいね」と送信した。
*
数ヶ月後、
同じタイミングで連絡した友人たちが、
「彼女とはしばらく会っていない」
「ふたりまだ付き合ってるかな」という口ぶりから
だれも、結婚も妊娠も知らないことを悟った。
自分だけ知らされてなかったわけではないと
幾分か心は軽くなったものの、
もやもやは、完全にはいなくならなかった。
・
・
・
私はきっと、今後、
彼女に積極的に連絡を取らないと思う。
だから、
〈なんで私に教えてくれなかったの〉と
答え合わせをすることもないし、
夫婦になった2人をお祝いすることもない。
可愛いベイビーに涙することもないだろう。
きっと、こうやって
久々の友人との距離はあいていく。
秋の風が冷たい。
私は、
他の友人へ同じことはしないようにしようと、
戒めることしかできない。
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