伝統工芸を科学する。経産省「『未来の教室』STEAMライブラリー事業」に採択されました!
「高校の授業で"和える"を知りました。それ以来、いつか日本のものを贈りたいとずっと思っていて、友人の出産祝いを選びにきました!」
そんなうれしいお声とともに、"0歳からの伝統ブランドaeru"の店舗に足を運んでくださる方が、年を重ねるごとに少しずつ増えてきました。
2011年に生まれた「和える」が、創業から約10年、変わらず大切にしてきたこと。
それは、小中学校・高校・大学での授業のご依頼は、優先してお受けすることです。
(写真は先方のご了承を得て、掲載させていただいております。)
私たち和えるは、日本の伝統を「守る」会社ではありません。
日本の伝統を楽しむ感性を養い、心の豊かさを育む取り組み。
それは、広い意味での「教育」事業だと捉えています。
そんな想いから、日本の伝統の魅力を子どもたちに伝え、「使ってみたい・贈ってみたい」と感じる人を増やすために、和える一同で日本全国の学校に足を運んできました。
学校で授業を受けた方が、進学して、就職して、社会人になり親になり……
芽が出るまでに時間のかかる取り組みですが、私たちのお伝えしたことが学生のみなさんの心に届き、着実に根を広げていると実感する今。
公教育の現場で「日本の伝統を次世代に伝える」取り組みをさらに加速させるため、経済産業省「『未来の教室』STEAMライブラリー事業」に参画させていただくこととなりました。
世界で重視されている、STEAM教育とは?
AIやロボットが活躍する時代。
これからの社会を生きる子どもたちにとって、科学技術への理解を深め、それらの技術を活かして社会課題を創造的に解決する力を育むことがますます重要になってきました。
「STEAM教育」は、そんな社会環境の変化を受けて、教育の分野でとても注目されている言葉です。
・S(Science:科学)
・T(Technology:技術)
・E(Engineering:工学)
・M(Mathematics:数学)
のそれぞれの頭文字を取った「STEM」に、より幸福な人間社会を創造する上で欠かせないデザイン思考や幅広い教養、つまり「A(Arts:人文社会・芸術・デザイン等)」の要素を含めた造語です。
アメリカや中国をはじめ、世界の様々な国で進む教育改革において非常に重視されています。
伝統工芸と科学の、深い関係
では、伝統工芸と「STEAM教育」は、一体どのような関係があるのでしょうか?
アナログな世界だと思われがちな伝統工芸ですが、昔から受け継がれてきた技法には、現代の科学で仕組みが解明されているものがたくさんあります。
例えば、こちらの写真をご覧ください。
左は陶器を焼く前のもの、右は焼いた後のものです。
右の器は、左の色からは想像ができないような色に仕上がっていますね。
焼き物にガラス状の膜をつけるために使われる釉薬(うわぐすり)。
釉薬を塗って1000度を超える窯で焼くと、酸化還元反応が起こり、全く違う色やツヤに変化します。
理科の時間に学ぶ「酸化還元」が、身近なところで活躍しているのです。
また、江戸時代から受け継がれている、本藍染の技術はどうでしょう。
本藍染は、化学薬品を使わず、藍の葉っぱを「発酵」させたものを使い、「酸化」のメカニズムも活用して深い藍色に染め上げる技術です。
「発酵」や「酸化」といった技術を活かして、私たちの暮らしは豊かに彩られてきたのです。
さらに、数百年・数千年の時を超えて受け継がれてきた伝統工芸は、歴史や地理、文学、美術といった「A:人文社会・芸術・デザイン等(Art)」の分野とも関わりが深く、理系・文系の枠を超えた学びを提供するのにぴったりの題材です。
科学技術への理解を深め、それらの技術を活かして社会課題を創造的に解決する力を育む「STEAM教育」。
これはまさに先人が実践してきたことで、伝統の技術や素材を活かし、身近な衣食住の不便を解消しながら、伝統工芸は受け継がれてきたと言えます。
経済産業省「『未来の教室』STEAMライブラリー事業」って?
本事業は、経産省の「未来の教室」ビジョンで提唱されている「学びのSTEAM化」の実現に向けて、良質なSTEAM学習コンテンツを開発するものです。
「学びのSTEAM化」とは、教科学習や総合的な教科学習、特別活動も含めたカリキュラム・マネジメントを通じ、一人ひとりのワクワクする感覚を呼び覚まし、文理を問わず教科知識や専門知識を習得する(=「知る」)ことと、探究・プロジェクト型学習(PBL)の中で知識に横串を刺し、創造的・論理的に思考し、未知の課題やその解決策を見出す(=「創る」)こととが循環する学びを実現することである。
(「未来の教室」ビジョン〜経済産業省「未来の教室」とEdTech研究会 第2次提言〜より)
この事業で制作された教材は、小学生から高校生や、先生方、そして保護者のみなさま、どなたでもアクセスできるデジタルライブラリーにて公開され、日本全国の学校や家庭学習で無償でお使いいただけるようになります。
こちらは、経産省の発表資料からの抜粋です。
和えるでは「伝統工芸から先人の知恵を学び、未来に活かそう!漆・陶磁器・染織の科学的・社会的探求」をテーマに、高校生向けの学習教材を制作します。
今回、STEAM学習コンテンツの開発を担う、その他の採択企業はこちら!
2021年度の年間計画を立てる上で、
・総合学習の教材や、他教科の補助教材を探している
・生徒が興味をもつ楽しい教材を探している
・STEAM教育を取り入れたい
・国際化を見据えた文化教育に力を入れたい
・学校での学びと実社会のつながりを感じてほしい
といったご要望がおありの、高校関係者のみなさま。
また、お家で学ぶ教材をお探しのみなさま。
2021年3月の完成を、楽しみにお待ちいただけますと幸いです。
最新の情報は、和えるのWebページやSNSにてお知らせいたします。
ご取材や講演・委員等のご依頼について
本件についての取材依頼など、お問い合わせはこちらよりご連絡ください。
また、これからの伝統産業や教育をテーマに、講演や有識者委員のご依頼をお受けしています。
これまで、国内外の企業や地方自治体、教育機関等にて、和える代表の矢島や、専門性を有する社員が全国各地で研修・講演をさせていただいております。
詳細・お問い合わせはこちら。
代表の矢島がお受けしている、委員等の事例はこちら。
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