ピアノ(フォルテピアノ)とトラックのお話
音楽そのものの話ではないですけれど、フォルテピアノに関わる運送業のお話。
 精密機器の輸送には、空気バネ(エアサスペンション)を取り付けたトラックがすごく大事にされます。仮に航空機輸送用のクッション付き木箱に入っていたとしても、航空会社に国内の配送も相談すると、当然のごとくエアサス車を勧められます。
実際に、板バネ(リーフサスペンション)車のトラックに比べて、データをとるとずいぶん乗り心地は良いようです。リーフサスのバスとエアサスのバスをそれぞれ体験しても乗り心地は随分違います。
そうなると、精密機器の一種と言える「フォルテピアノ」「ピアノ」は当然エアサス車で運んでいるのだろう、と推測したくなりますが。。。
しかし、肝心のピアノ運送会社はリーフサスペンションの2トントラックがほとんどです。
私のフォルテピアノの輸送も行っていただいている国立ピアノサービスさんも、エアサスペンション車は持っていません。オリジナルフォルテピアノもいつも扱っている会社でありますが、エアサスではないのです。
かつて私のベヒシュタインのモダンピアノを青森から東京まで運んでいただいた時も、個別の配送に回る車はやはりリーフサスペンション車。長距離の混載路線便に使われる大型車だけがエアサス車です。青森から東京ですと、ピアノ輸送の長距離トラックに乗る場合もあれば、木箱を組んで梱包し一般的な混載トラックに載せられる場合もありますが、その場合はもちろんリーフサスペンションです。
以前は、4トントラックより大きな車でないとエアサスペンション車は存在しないのが一般的な傾向でしたが、最近は2トントラックにもエアサス車があるようです。ですが、ピアノ運送の会社は大半は2トントラックはリーフサスペンションなんです。面白いですね。
個人所有のハイエースなどを運転できる演奏家や調律師さんなら自分で運ぶのが簡単そうですが、チェンバロはまだしも、6オクターブを超える1810年以降のフォルテピアノはやはり素人には厳しいのが実際のところです。
また、一般のピアノしか知らない運送会社にとっては、フォルテピアノは「軽すぎて」、丁度良い力の入れ具合の頃合いがわからずに壊してしまうこともあり、難しいです。
また、「運送業者」ではない調律師さんに「運送業務」だけを依頼すると、保険の問題や、道路運送法に関わる問題も出てきます。
大半は調律などの業務とセットして回避していますが、運送業務だけを有償で引き受けるのであれば、法的には運送業の登録をして緑色のナンバープレートを掲げる必要が出てきます。
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