【学会誌】表面技術2024年11月号

こんにちは。
表面技術2024年11月号の記事の内容をメモっておこうと思います。


小特集

プリント配線板の製造技術と技術動向

著者:北海道大学 見山 克己

内容:プリント配線板の細線化に関する解説。既存技術の概要と課題を説明。ダマシンプロセスとナノインプリント技術を用いた研究成果を紹介。実験レベルではL/S=1/1μm程度の配線形成に成功。

キーワード: #プリント配線板 #ダマシンプロセス #ナノインプリント #セミアディティブ法 #ビアフィルめっき

3次元実装TSVに向けた無電解めっきバリア膜形成とその上の直接無電解Cuめっき

著者:関西大学 新宮原 正三

内容:TSV(Through Silicon Via ; シリコン貫通電極)に必要なバリア層を無電解めっきを使って形成する技術に関する解説。TSVではCuのエレクトロマイグレーションの対策として高融点金属などのバリアメタルが用いられている。本記事では、CoB系バリア膜の無電解めっき技術を紹介。Pdナノ粒子を触媒として用いることでアスペクト比の大きなビアにも底部までめっき析出が可能。電解めっきのシード層である無電解めっきは、置換型と自己触媒型で比較。無電解めっきの検討結果を受けて、CoB上に直接電解めっきが可能な条件を見出すことができた。

キーワード: #TSV #3次元実装 #半導体 #無電解めっき #電解めっき #CoB

液相析出法により製膜した金属酸化物を利用したガラスへの高密着銅めっき

著者:パナソニック環境エンジニアリング㈱ 速水 雅仁、他

内容:LPD法(Liquid Phase Deposition Method ; 液相析出法)を使ってガラス表面に金属を析出する技術に関する解説。密着層としてSnO2を用いることで無電解銅めっきとガラス基板との密着力を確保。プロセスとしては、SnO2上への触媒(Pd)担持後の熱処理や、無電解銅めっき液にNiを添加することによる応力低減(膜質を緻密化)によって密着性を向上している。この方法を用いて配線幅L/S=10/10μmまで達成した。

キーワード: #LPD法 #無電解めっき #SnO2 #金属ナノ粒子 #ガラス基板

中真空プラズマ処理とスパッタリングによるダイレクトCu導体層形成

著者:㈱DTUS 上山 浩幸

内容:ガラス基板のTGV(Through Glass Via)内部への成膜技術に関する解説。中真空(100Pa~0.1Pa)のプラズマ技術を用いて、プラズマ処理による表面改質とスパッタリング成膜の一体型装置を開発。スパッタリングされる金属粒子の中真空における特有挙動を利用して、アスペクト比の高いビア内部にも金属膜を成膜することができる。密着力は無アルカリガラスで8N/cm程度。なお、著者は元JCU所属。

キーワード: #スパッタ #ガラス基板 #スパッタリング #プラズマ処理 #中真空

Xeエキシマランプを用いためっき被膜と基材の密着性向上のメカニズム解析

著者:ウシオ電機㈱ 有本 太郎、他

内容:エキシマランプを用いた表面改質による無電解めっき技術に関する解説。樹脂材料にエキシマランプから発される真空紫外光を照射することで、樹脂表面に酸素系官能基を形成し、無電解めっき膜との密着性を確保する。ここでは、液晶ポリマー(LCP)フィルムへのめっき成膜の開発成果を紹介。XPSによる表面官能基の推定、TOF-SIMSによる深さ方向の密着寄与領域の分析など、界面分析が詳しい。

キーワード: #エキシマランプ #樹脂めっき #無電解めっき #分析技術 #TOF -SIMS

銀をめっきシードとして用いる新しい銅配線形成技術

著者:DIC㈱ 深澤 憲正、他

内容:Agナノ粒子を用いて電解めっきのシード層を形成する技術に関する解説。Agナノ粒子を基板上へ塗布することでシード層とする。塗布方法は、ディップコート、スプレーコートなど様々なものに対応可。プライマーによって基板との密着性を確保。SAP法による多層基板のプロセスでは、配線材料と異なるAgを用いるため、サイドエッチングの抑制などのメリットあり。高周波基板への適用も可。従来のシード層に比べ、低損失であり、絶縁性も十分とのこと。

キーワード: #金属ナノ粒子 #コーティング #シード層 #電解めっき

セミアディティブプロセスにおける微細配線シード層エッチング

著者:㈱JCU 文蔵 隆志

内容:セミアディティブプロセスにおけるシード層エッチング工程に関する解説。エッチングのメカニズムやプロセス上の課題について説明し、シード層の種類(無電解銅めっき、スパッタ銅)によってエッチングがどのように影響するかについて事例を紹介。

キーワード: #セミアディティブプロセス #エッチング #微細配線

高信頼ファインマイクロビアの形成

著者:大阪大学 謝 明君、他

内容:3次元半導体パッケージで必要となるマイクロビアの形成技術に関する研究成果について説明。DUVパルスレーザーによるビア加工とNi非含有無電解銅めっき浴が特徴。Niを含有するめっき浴を用いると、ビア底部と下層の電解銅めっき層の界面にナノボイドが確認されるが、Niを含有しない場合はナノボイドが確認されず、結晶の連続性が維持されていた。

キーワード: #マイクロビア #無電解めっき

異径ビア間の硫酸銅めっき膜厚差に与える原因と対策の考察

著者:上村工業㈱ 谷本 敦宜、他

内容:異径ビアの膜厚差に関する課題認識から、硫酸銅めっきの添加剤であるレベラーの反応挙動について分析・考察した結果を説明。三種類のレベラーを添加したときの膜厚差について、カソード分極測定結果(ターフェルプロット)の違いから等価回路を構築して考察。

キーワード: #硫酸銅めっき #ビア #膜厚 #メカニズム #分析技術

研究論文

不働態化メカニズム解明を目的としたSb・Bi含有Snアノード材で発生するアノードスライムの断面分析

著者:宇都宮大学 𡈽屋 政人、他

内容:はんだ材のリサイクルに利用されるSn電解精錬で作製したアノード電極材料に関する研究。はんだ由来のSbやBiを含む電極を用いてSn電解すると、電極表面にアノードスライムが形成される。SbやBiの含有がアノードスライム発生や不働態化にどのように影響するかを評価した。SbやBiが多いほどアノードスライム層が厚くなり、不働態化に時間がかかる傾向にあった。

キーワード: #リサイクル #はんだ #電解精錬 #表面技術

無電解めっき法を用いたFe基板へのSn高含有(>30 at.%)Ni-Sn薄膜の作製(3)~クラックおよびピンホール防止のための浴中の添加剤の検討~

著者:神奈川大学 岩本 亨之、他

内容:Ni-Snめっき浴の添加剤に関する研究。ピンホール抑制、クラック低減のための内部応力抑制が目的。数種類の添加剤で検討したが、チオ尿酸とヒドロキシノンを共に添加した浴が最もピンホールやクラックが少なく、耐薬品性が高い結果だった。添加剤の効果の明確化とよく安定性(上記浴は処理を繰り返すたびに成膜レートが遅くなる)が課題。

キーワード: #無電解めっき #合金 #添加剤 #ピンホール #クラック

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