【学会誌】バイナリー発電
こんにちは。
『表面技術』2022年12月号を読んでいるので、備忘録的に記録しておきたいと思います。
12月号の特集はカーボンニュートラルに貢献する表面技術です。
今回読んだ記事のタイトルは『工業排熱を利用したバイナリー発電』で、著者は技術士の森豊さんです。
記事の内容
タイトルの通り、工場排熱を利用して発電する”バイナリー発電”技術に関して、発電原理、特徴、使用例、課題が説明されています。
バイナリー発電というものを初めて知りました。
排熱を集めてボイラで蒸気を作り、タービンを回して発電するという手法です。
従来の技術の場合、水蒸気でタービンを回しますが、バイナリー発電の場合は、水よりも沸点の低い作動流体(代替フロン、炭化水素、アンモニア・水混合物)を使うことが特徴です。
ポイント
排出量が最も多い250℃以下の排熱を利用できる数少ない手法(もう一つはヒートポンプ)
熱源温度に合わせて作動流体を決める
従来技術に比べ、発電効率が低く、投入熱量に対して発電出力が小さい
安全性、入手性、コストに課題がある
経済性と制度面の課題
バイナリー発電は作動流体のコストが高かったり、発電効率が低いため、小容量の発電設備では経済的に合わないことが多いようです。
他の発電方法のように買取制度が適用されないことも、経済的なメリットが少ない理由かもしれません。
また、工場によっては全体の排熱は大きいものの、発生場所が分散しているので、うまく利用できないことも多いようです。
現在の使用例は大きな熱源のエネルギーロスの削減に使われることが多いように読み取れました。
経済性をサポートできるような政策がないと、なかなか広がらない市場かもしれません。
とはいえ、低温域の排熱がかなり多い点と、これを活用できる点は重要なポイントだと思われません。
カーボンニュートラルの流れの中では重要な要素の一つになるかもしれないと思いました。
今日は以上です。