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【学会誌】電解研磨で強磁性体を低歪な研磨
こんにちは。
表面技術協会の学会誌である『表面技術』2022年11月号は電解研磨などの研磨技術に関する特集が掲載されています。
ポイントと気になった内容をメモしておきたいと思います。
今回の記事のタイトルは『電解研磨を用いた強磁性体の磁区観察試料の作製』で、著者は愛媛大学の中本さんです。
ポイント
磁区観察教材には、入手しやすい材料、簡易で安全な方法が必要
磁性微粒子を使ったビッター法で作成する方法を考案した
砥石やスラリーを用いた研磨では、試料歪みが導入されてしまうため、時価の方向が歪みの影響を受けて変化し、本質的な時価方向や磁区構造の観察が困難
電解研磨は歪みが導入されないため、試料作製に必須
磁区構造
大学の時の記憶がないので、「磁区」という言葉を初めて知りました。
交換相互作用により分子磁石が平衡に整列した磁区と呼ばれる領域を作り、強磁性体内部で磁力線を閉じることによって表面に磁極を出さないようにして静磁エネルギーを下げている
ということで、強磁性体は永久磁石とは違うんですね。
磁区を観察する方法は色々あるようですが、ビッター法は比較的簡単ということで、教材用には最適の手法のようです。
これまで読んできた記事にもあったように電解研磨は歪みが導入されないということもあって、このような観察においては重宝される手法のようです。
感想
電解研磨はその言葉通り平滑化することが目的になることが多いと思いますが、分析の時のサンプル作成の手法にもなることは勉強になりました。
「歪みが導入されない」というのは、大きな特徴なので、分析向けだけでなく、歪みが特性に影響するようなワークでも重要な手法になっているようです。(ほかの記事でも、この特徴は積極的に利用しています)
この記事では教材用とありますが、大学の基礎実験実習を想定されてますよね?
個人的には中学か高校でこんなことをやりたいな、と思いました。
(電解に40分かかるらしいので、短い授業では時間的にやりにくいかもしれないですが…)
今日は以上です。