【学会誌】表面技術2025年1月号
こんにちは。
表面技術2025年1月号の記事の内容をメモっておこうと思います。
小特集
大気圧非平衡プラズマの基礎
著者:東京都立大学 杤久保 文嘉、他
内容:大気圧プラズマの放電現象について、ストリーマ理論に基づいて説明。具体的な手法として、コロナ放電、誘電バリア放電、プラズマジェットについて解説。
大気圧プラズマ窒化処理
著者:大分大学 市來 龍大
内容:大気圧プラズマジェットを用いた窒化技術に関する解説。局所的なプラズマ処理のメリットや期待される用途、課題について研究結果を示しながら説明。多品種少量生産へ適用について考察。
キーワード: #大気圧プラズマ #プラズマジェット #表面処理
大気圧プラズマ複合処理によるフッ素樹脂の表面改質
著者:大阪公立大学 黒木 智之、他
内容:大気圧プラズマを用いたグラフト重合処理に関する解説。X-Yのコンベアを使用してA4サイズの面積で表面処理が可能。処理後の表面分析、PFAとブチルゴムとの密着試験の結果在り。有機EL、プレフィルドシリンジ、燃料ホースへの適用を提案。
キーワード: #大気圧プラズマ #グラフト重合 #フッ素樹脂 #接着 #表面処理
大気圧プラズマによる還元処理
著者:名城大学 太田 貴之、他
内容:大気圧グロー放電プラズマを用いてた還元プロセスに関する解説。酸化チタン微粒子、鉄フタロシアニン担持酸化グラフェン(非白金触媒)の還元に関する研究事例を紹介。
大気圧プラズマによるCO2分解
著者:岐阜大学 神原 信志
内容:大気圧プラズマを使ったCO2分解技術において、「CO2分解率」に注目した研究事例について解説。石英管を使ったプラズマリアクターで、流量や印加電圧などのパラメータを変えた実験結果と、プラズマ反応シミュレーションの結果を踏まえてメカニズムを考察し、条件を最適化。従来技術の分解率20%に対し、最適条件では51.8%を達成。
キーワード: #大気圧プラズマ #プラズマシミュレーション #プロセス #CO2分解
大気圧非平衡プラズマジェットを用いた有機材料と金属材料の直接接合
著者:大阪大学 節原 裕一、他
内容:プラズマジェット装置の開発と、それを用いた金属/有機材料の接合に関する解説。プラズマジェットを設計する上での考え方を説明。接合では、ポリカーボネートとSUS304、PEEKとSUS304またはA1050の接合について実験結果を掲載。有機材料、金属材料共にプラズマ処理を行い、処理面同士を圧着することで接合。
キーワード: #接合技術 #大気圧プラズマ #プラズマジェット #異種材料 #表面処理
大気圧プラズマの医療展開、及び準大気圧プラズマによる成膜プロセス
著者:名城大学 榊田 創、他
内容:医療分野における大気圧プラズマ用途に関する解説。大気圧プラズマを使った止血処理、医療用高周波デバイスの加工プロセス、準大気圧環境下でのプラズマプロセスの展開について。
研究論文
チューブ型熱フィラメントCVDによるダイヤモンドの合成に及ぼすチューブ長の影響
著者:兵庫県立大学 田中 一平、他
内容:熱フィラメントをチューブ型にして、その中から原料ガスを投入する構造のCVDを使用したダイヤモンド合成手法。チューブの長さや、原料ガスの流量などを変えて、合成されるダイヤモンド膜がどのように変化するかを報告。条件によって、ダイヤモンドまたはナノ結晶ダイヤモンドが成膜亜sれる。
キーワード: #ダイヤモンド #成膜技術 #熱CVD #半導体
速報論文
スマートフォンと色情報ソフトを活用しためっき液計測と実用性評価
著者:福岡工業高等専門学校 加藤 健、他
内容:スマホを使っためっき液の評価手法の実用性に関する研究。めっき液の滴定分析は専門的な知識と作業の習熟が求められるが、初心者や現場の作業者でも出来るようにすることが目的。今回はキレート滴定の色の変化をスマホの画像から判断できることを確認。
キーワード: #めっき #分析 #キレート滴定 #改善 #簡易化
リエントラント型ナノ細孔の形成によるアルミニウム表面の沸騰開始点低下
著者:㈱UACJ 中島 大希、他
内容:電子機器などの冷却手法の1つであれる"液冷”に関する研究。液冷は沸騰や凝集などの相変化を利用して熱交換・熱輸送を行うが、冷媒の沸騰が遅れて過剰に加熱されることがある。アルミニウムのアノード酸化によって表面構造をナノスケールで制御し、沸騰しやすい表面材料を模索することが研究内容。単純な定電流のアノード酸化で作製したポーラス構造に比べ、硫酸アノード酸化・リン酸アノード酸化を用いて作成したリエントラント型の細孔構造では沸騰開始温度が低下したことを確認した。