【学会誌】表面技術2024年10月号
こんにちは。
表面技術2024年10月号の記事の内容をメモっておこうと思います。
小特集
放射光コヒーレントX線による先端ナノイメージング技術-腐食防食研究応用への期待-
著者:東北大学 高山 祐貴
内容:加速器から得られる放射光を用いたコヒーレント回折イメージング(Coherent diffraction imaging; CDI)および走査型CDIであるタイコグラフィに関する解説と、それらを腐食・防食研究に適用した事例に関して紹介。染色や断面加工など無しでナノスケールの観察が可能。装置を工夫すればその場観察もできる。NanoTerasu利用できるように装置を立ち上げ中。SPring-8-Ⅱでも計画中。
キーワード: #放射光 #加速器 #分析技術 #非破壊検査 #X線回折 #コヒーレント回折イメージング #腐食
機械学習を用いたイメージング放射光解析によるさび分布可視化
著者:㈱神戸製鋼所 小沢 敬祐
内容:放射光を用いた測定結果から錆の成分の分布具合を可視化する技術に関する解析。XRD(XAFS)パターンから錆の成分(γ-FeOOH、α-FeOOH、Fe3O4、等)を同定する部分にニューラルネットワーク等の機械学習を使用。マッピング測定時の各点のスペクトルから、錆成分を同定し、どのように分布しているかをあらわすことができる。XRDとXAFSでは見える領域が異なる。XAFSでは非晶質領域のデータも含むため。
キーワード: #XAFS #加速器 #XRD #マッピング #分析技術 #腐食 #可視化
角度分散硬X線電子分光を用いた鋼材上酸化膜の構造解析
著者:日本製鉄 西原 克浩
内容:溶融Zn-Al-Mgめっき鋼板の腐食の解析に対して放射光による角度分散硬X線電子分光(HAXPES)を適用した内容に関する解説。HAXPESは光電子を用いて元素分析や化学結合状態を分析する手法で、通常は長時間の測定が必要だが、放射光を用いることで1/10の測定時間でデータを取得が可能。検出深さの異なる2種類の励起光を用いることで、腐食性生物の層状構造を分析出来た。
キーワード: #放射光 #HAXPES #腐食 #元素分析 #分析手法 #短時間
高速X線反射率測定による鉄の不働態被膜形成初期過程の計測
著者:東北大学 若林 裕助、他
内容:X線反射率の高速測定技術を用いた鉄の不働態膜の分析事例について解説。高速化のために、高輝度放射光源、低ノイズ読み出し可能なピクセルアレイ検出器、ベイズ推定を組み合わせた。
キーワード: #放射光 #X線反射率 #分析技術 #不働態 #鉄
放射光による高温X線回折法を用いた金属材料の高温酸化挙動のその場観察
著者:北海道大学 林 重成
内容:サンプルを高温にした状態でXRD分析を実施した事例について解説。酸化初期過程を通常のXRDで分析するには、生成される酸化物量が微量なので信号が十分に得られず、in-situ観察には向かない。そこで放射光を用いて観察を実施したとのこと。耐熱合金の酸化被膜の組成推移と応力について解析した結果が掲載されている。
キーワード: #放射光 #XRD #合金 #耐熱 #酸化被膜 #in -situ観察 #分析技術
X線マイクロ/ナノトモグラフィーを用いたアルミニウム合金の応力腐食割れのトランススケール解析
著者: 九州大学 戸田 裕之、他
内容:放射光を使ったトモグラフィーによるアルミニウム合金の応力付着割れの解析に関する解説。Al-Mg合金、Al-Zn-Mg合金が対象。応力腐食割れが起った亀裂周辺の観察・解析と計算科学を組み合わせて、結晶構造や水素脆化の機構などを見える化している。従来提案されていた諸理論を裏付ける結果を得たらしい。
キーワード: #放射光 #トモグラフィー #アルミニウム合金 #応力腐食割れ #第一原理計算 #結晶 #ナノ構造
研究論文
Wear resistance and dynamic oxidation of TixAlyWzN coatings
著者:佐賀大学 長谷川 裕之、他
内容:耐摩耗性を向上するために用いられるTi-Al-N系コーティングに関する研究。Ti-Al-N系コーティングにWを添加することで物性値がどのように変化するかを分析。