【学会誌】表面技術2024年9月号
こんにちは。
表面技術2024年9月号の記事の内容をメモっておこうと思います。
小特集
ソリューションプラズマによるカーボン系触媒材料の合成
著者:芝浦工業大学 石崎 貴裕、他
内容:溶液中の低温非平衡プラズマであるソリューションプラズマ法を使ったカーボン材料合成手法について、合成されたカーボン材料の評価結果を掲載しながら解説。sp2カーボンに窒素を導入した窒素ドープカーボンを作製。燃料電池の触媒となる貴金属の代替材料として機能するとのこと。
キーワード: #ソリューションプラズマ #カーボン #合成 #液相 #触媒 #燃料電池
PP樹脂めっきに電解硫酸を用いた環境にやさしい前処理法
著者:関東学院大学 梅田 泰、他
内容:ポリプロピレン(PP)へめっきするための前処理に関する解説。重クロム酸を用いないで樹脂めっきをする場合に用いられる紫外線処理やOHラジカル水・オゾン水処理ではPPの改質は困難。硫酸を電解処理してペルオキソ一硫酸などを生成した電解硫酸による処理と加熱硫酸処理を組み合わせることで密着性の高いめっきに成功したとのこと。
キーワード: #表面技術 #成膜技術 #めっき #前処理 #環境 #密着
表面で起こるトライボロジー諸現象のその場観察 ー摩擦面の“生き様”を見る研究事例と動向ー
著者:埼玉工業大学 長谷 亜蘭
内容:摩擦面のその場観察方法と研究事例について解説。摩擦により界面構造が変化していく様が顕微鏡で観察されている。コーティングやゴム素材の摩擦による変化や、自動車用ブレーキパットの例もあり、どうのような場面でその場観察が活用されているかがイメージできる。
キーワード: #トライボロジー #摩擦 #分析 #表面技術 #材料 #その場観察
放射光軟X線を用いた酸素発生電極触媒の固液界面のリアルタイムオペランド観察
著者:高エネルギー加速器研究機構 阪田 薫穂、他
内容:加速器から得られる軟X線を用いた分析技術に関する解説。軟X線は吸収率が高いため、軽元素に適用でき化学組成の解析を得意としている。硬X線や光電分光での評価が難しい固液界面の分析に対して、軟X線を適応する方法について説明している。具体的には、水分解用電極触媒の表面を分析し、酸素発生や反応中間体の観察をしたとのこと。得られたスペクトルの解析方法をザックリ説明してあり、参考になる。
キーワード: #軟X線吸収 #放射光 #加速器 #分析技術 #電極 #固液界面 #触媒
研究論文
化学溶液析出法と化学還元によるガラス基板上への低抵抗・密着性Cu層の形成
著者:豊橋技術科学大学 橋本 悠衣、他
内容:ガラス上に化学溶液析出法で銅酸物層Cu(S,O,OH)を作った後、それを還元することで金属銅膜を形成するプロセスに関する研究。未処理のガラス表面の状態をAFMやFT-IR-ATRを使って評価し、密着性に影響する因子について考察。Cu(S,O,OH)層は条件によってさまざまな形態となった。還元後のシート抵抗は最小10^-1Ω/□台だが還元しすぎると剥離で上昇した。密着性は10N/cm程度。CuOのOイオンとガラス表面の-OHの水素結合で密着していると推定。
キーワード: #表面技術 #化学溶液析出法 #ガラス基板 #密着 #配線 #成膜方法 #ウェットプロセス
ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂複合材におけるガラスフィラーの膨張・破壊によるめっき前処理補
著者:名古屋市工業研究所 浅野 成宏、他
内容:フィラーとしてガラスビーズを含むPPSに対して、シュウ酸を用いた前処理によって無電解めっき膜との密着性を向上する技術に関する研究。シュウ酸がガラスフィラーに含まれるCaOと反応することで膨張→破壊され、除去されることによって、PPS表面にガラスビーズの痕である窪みが形成される。この窪みを利用することで高い密着性を得ることができるとのこと。
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