〈論文〉CFRPとアルミニウム合金間の腐食評価
こんにちは。
表面技術協会の学会誌である『表面技術』2022年9月号で、CFRPとアルミニウム合金の接触腐食に関する論文が掲載されていたのでマインドマップとポイントだと思う点を書いておきたいと思います。
論文のタイトルは『異なる陽極酸化皮膜厚さを有するアルミニウムと炭素繊維強化プラスチック間の接触腐食』で、著者は名古屋市工業研究所の田中さん、深谷さん、三宅さんという方々です。
マインドマップ
ポイント
輸送機などで用いられる金属の中でCFRPとの腐食電流が大きいアルミニウムについて、ガルバニック腐食を抑制するための陽極酸化被膜厚さを知る必要がある
1050,5052,6061では陽極酸化被膜厚さが厚いほどガルバニック電流が流れるまでの時間が長くなる
7075は成膜後からクラックが発生しているため、陽極酸化被膜厚さがガルバニック電流に及ぼす影響は小さい
感想
アルミニウムの陽極酸化厚みとガルバニック電流の関係を調べたという内容で、厚みが厚いほど腐食に強くなるのはイメージ通りの結果だと思います。
ただ、7075だけはクラックが入ってしまうので陽極酸化の効果が小さいという結果なんですね。これはユーザー側の設計者には有益な情報ですね。
論文の結果だけを見ると厚みが厚いほどクラックが入りやすいようで、これだけ見ると、内部応力などをイメージすれば納得のいく現象だと思います。つまりは、7075以外の材料ももっと熱くするとクラックが入ってしまうかもしれないということですかね。
組成的には、論文で扱っている4つの材料の中で7075が最も不純物が多いという点も、クラックが入りやすい原因ではないかと感じました。
どちらにしろ、もっと厚いところでも見てみたいです。
そんなに厚いものが求められているのかは分かりませんが。
今日は以上です。