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【学会誌】二酸化炭素を材料にした溶融塩電解析出

こんにちは。
『表面技術』2022年12月号を読んでいるので、備忘録的に記録しておきたいと思います。
12月号の特集はカーボンニュートラルに貢献する表面技術です。

今回読んだ記事のタイトルは『溶融塩電気化学によるCO2資源化の試み』で、著者は同志社大学の後藤さんです。

記事の内容

CO2を資源として利用するための手法の1つである溶融塩中での電解析出を使ったCO2の固定化技術について解説されています。

ここでいう「CO2の固定化技術」はCO2を炭素材料に変換する技術です。
この技術を使ってCO2をエネルギーとして利用しようという試みです。

ポイント

  • “溶融塩”を用いることで安定なCO2の電解析出が可能になる

  • 溶融塩電解析出によりCO2を炭素材料に変換できる(現時点ではカーボンナノチューブ、ダイヤモンド、グラファイトなどの混合物)

  • 余力電力や排気熱などのエネルギーを使ってCO2→炭素材料に変換することは、炭素材料という形でエネルギーを保存できることになる

”溶融塩”とは?

溶融塩とは何ぞや?と思いましたが、記事によると陽イオンと陰イオンのみからなる液体(?)のようです。
最近聞くイオン液体が似たような(もしくは同じ)概念だと思われます。

記事の中では溶融塩のメリットしか書かれていないのですが、かなりの高温で使用されるようです。

例えば、記事でしょうかいされているLiCl-KCLは450℃で、水溶液ベースの電解析出に比べるととても高い温度帯で使用されるもののようです。

炭素材料という形でエネルギー貯蔵

技術だけ見ると、「そんな高温で処理するんじゃCO2を材料にしても、使うエネルギーが大きすぎて余計にCO2が増えるんじゃないか?」と思ったのですが、著者もそのような使い方では意味がないと考えているようです。

CO2を炭素材料に変換するのに必要な大きなエネルギーを、炭素材料という形で”貯める”という発想で、なるほど、と思いました。

これまで無駄になってきた(再生可能エネによる)余力電力や排気熱を貯蔵できれば、カーボンニュートラル的なことが出来そうですね。

揚力発電などと同じ考え方で、選択肢を増やすという意味ではとても意義がありそうです。

問題は、炭素材料からエネルギーに戻すときにどのくらいの効率が得られるかですね。

効率が低すぎると全然意味がなくなってしまう気がします。余力のエネルギーだけで出来るならマイナスにはならないですが、そんなことはないと思うので。

この技術も含めてCO2固定化技術がもっと洗練されてくれば、エネルギーに戻す技術についての研究も増えてくるかもしれません。
そのためにも、まずは、固定化に期待ですね。

今日は以上です。

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