【学会誌】産総研のカーボンニュートラルに関する表面技術研究
こんにちは。
『表面技術』2022年12月号を読み始めたので、備忘録的に記録しておきたいと思います。
12月号の特集はカーボンニュートラルに貢献する表面技術です。
今回読んだ記事は、「カーボンニュートラルに資する表面技術:産総研ゼロエミッション国際共同研究センターの表面技術研究」で、著者は産総研ゼロエミッション国際共同研究センターの石田さんです。
組織名が長いですね。ホームページを見たら、略称は”GZR”とのことなので、以降はこちらを使います。
記事の内容
記事の内容は、GZRの設立経緯や役割の説明と、表面技術に関連する研究成果の概要紹介です。
研究内容に関しては、薄膜材料やナノ材料に関する紹介にフォーカスされています。
GZRのホームページにはそれ以外にも掲載されていました。
表面技術に関連する研究成果
記事に掲載されている研究成果について箇条書きでメモしておきたいと思います。
詳細は各キーワードで検索すれば出てくると思います。
太陽電池技術
ペロブスカイト太陽電池用の新規有機ホール輸送材料の開発
従来はドーパントが水分を引き込むことで劣化する問題があった
新材料ではドーパントが不要で、従来よりも3倍の光電変換効率と十分な耐久性
太陽電池で必須となるAl系材料の成膜効率向上
Al原料が石英反応炉表面に吸着しやすいという問題があった
炉の構造を工夫して、石英反応炉と反応しにくい三塩化アルミニウムを発生させることで改善
ALDで成膜した酸化チタン薄膜でシリコン太陽電池の高効率化
酸化チタンが結晶性シリコンから成功を選択的に取り出す機能を持つことを発見
シリコン太陽電池の正極材に用いることで20%を超える光電変換効率
熱電変換技術
テルル化鉛(PdTe)の焼結体へゲルマニウムを添加し、ナノ構造を形成することで熱電性能指数ZTを向上
カスケード型熱電変換モジュールで変換効率12%を達成
室温近傍の熱電変換ん素子向けに、セレン化銀(Ag2Se)で作ったn型熱電変換材料の開発
人工光合成技術
可視光に応答する酸化物半導体光電極への太陽光照射により、塩化物イオン含有水溶液から低電界電圧で水素と酸素を製造する技術を開発
太陽エネルギーから水分解反応エネルギーへの変換効率が実用化目安の10%を超えられることを理論と実験で示した
燃料電池、蓄電池の電極反応の基礎研究
固体酸化物形燃料電池(SOFC)の材料として、自己組織化ナノコンポジット薄膜電極・ナノ柱状多孔質集電層を開発
LSCF(ランタン・ストロンチウム・コバルト・鉄複合酸化物)とGDC(ガドリニアドープセリア)をナノスケールで交互に並ぶ構造の柱状材料の作製に成功
ここでは図や写真は示せてませんが、材料的にはとても興味深い内容の成果が出ているようです。
現時点では、仕事と直接関係はしていないのですが、カーボンニュートラルというキーワードはこれからも頻出してくるであろうし、予算も取りやすそうではあるので、購読している雑誌で概要を説明してくれるのはありがたいです。
(自分自身はこの分野は興味が薄く感度も低いので…)
今日は以上です。
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