美容・健康産業20年の軌跡
2021年8月
美容・健康産業 急拡大期
2003年頃。時は「健康バブル」真っ只中。TVでの健康番組は大きな影響力を持っており、話題の食材やサプリメントが翌日の店頭で品切れを起こすほどでした。ダイエットサプリメントは次々とヒットを飛ばし健康食品市場は初めて1兆円規模に到達しました。CoQ10やαリポ酸が注目素材として登場し大きな話題を呼びました。
エステティックでは初の上場企業が登場し、市場規模が4000億円を突破。「セルライト」が話題となり対応する様々な施術や機器が注目を集めました。
フィットネスも、セントラルスポーツ、ルネサンス、メガロスと、大型クラブが次々と上場を果たし、店舗展開を強化していました。フィットネス市場も4000億を突破しました。
同じ頃、スパを併設した外資ラグジュアリーホテルが鳴り物入りで次々上陸しました。汐留のマンダラ、日本橋のマンダリンオリエンタル、六本木のリッツカールトン等々。国内大型スパでは、東京ラクーアが登場・全国で温浴施設や岩盤浴施設が増加し、「空前の癒しブーム」と呼ばれた時代です。市場は5700億円とされ、今後1兆円規模に拡大すると期待されました。既存の健康・美容サービス施設の「スパ化」が大きなトレンドになりました。
時代は「安心・安全志向」へ
2008年頃から、時代は「安心・安全志向」へシフトします。「特定健診・保健指導」がスタート。また、エステティック業界では「サロン認証」が始まります。「特商法・割賦販売法改正」もこの頃。そして、リーマンショックや3・11東日本大震災といった大きな出来事が、生活者の暮らしや意識にパラダイムシフトを起こしました。
急激に拡大してきた健康・美容ビジネスは、景気の低迷を迎え、これまでのビジネスモデルの見直しの時期に入っていきました。フィットネス施設は、大型展開から、専門化、小型化、対象セグメントへと様々なビジネス転換の模索を始めました。
2013 年訪日外国人 1000 万人突破
2013年には、東京オリンピック・パラリンピック2020年の誘致が決定しました。訪日外国人数が初めて1000万人を突破し、観光立国化が本格始動します。インバウンド拡大へ向けて国も民間も力が入っていきます。同じ時期、国は成長戦略の柱に「健康長寿産業」を掲げ、「健康経営」「生涯現役」をキーワードに次世代ヘルスケア産業の確立を目指します。
16年に2400万人を超えた訪日外国人数。中国人観光客の「爆買い」が大きな話題になります。人口減少の日本の経済を支えるため訪日外国人の消費拡大に期待が高まります。
「健康長寿産業」確立、「観光立国」化へ
15年には「トクホ」に続く期待を担って「機能性表示食品制度」がスタート。新しい市場に期待がかかります。健康食品同様、生活習慣病対策や健康長寿志向の高齢者層をとらえたフィットネス産業は順調に成長軌道に乗ります。
19年訪日外国人数は3000万人を超え、消費額は4.8兆円を突破しました。中国、台湾、韓国、香港をはじめアジア諸国の日本の美容・健康ブランドへのニーズも高く、いよいよ2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催で4000万人を超え、6000万人時代のビジネスに期待を膨らませていたのです。
新しい美容・健康ビジネスの始まりへ
20年、コロナ禍で世の中や暮らしは一変しました。その中から見えてきた目指す社会は、それまで「こうなるだろう」、「こうなるべき」と考えていた理想の姿なのかもしれません。「DX」「一極集中から分散型社会へ」「量から質」「SDGs」「ナチュラル」「多様性」「超スマート社会」「働き方改革」「人生100年時代」等々。この流れは今後一気に進むのでしょう。
新しいグローバル社会や新しい健康長寿社会の美容・健康ビジネスの始まりです。
(Diet&Beauty展示会ガイド号8月)