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『アーテリーギア』はいかにして傀儡戦争を終わらせたのか?

はじめに

みなさん、『アーテリーギア-機動戦姫-』という作品を知っていますか?
たぶん知らないと思います。
前回の記事、「『アーテリーギア』クラリスという二度もifエンドをもらった女について」の繰り返しになりますが、説明しておきましょう。

本作は2021年11月18日より配信のはじまったソーシャルゲームで、2024年8月13日にサービス終了が発表され、同年11月12日に完全終了しました。
本作のストーリーを簡単に要約すると、以下のとおりです。

「傀儡」という人類の敵が現れ、人類は19年に渡り「傀儡戦争」を続けていた。これまでの人類同士の争いは「内戦」と呼びなおされている。
傀儡は「糸」によって生物や機械を仲間を増やしていくという同化能力を持っていた。このため、ミサイルや戦闘機など複雑な機構を持つ兵器は傀儡に対しては無力である。
そのうち、「アーテリーギア(AG)」と称される人間を改造した兵士だけが「糸」に対して強い抵抗力を持ち、唯一の対抗戦力となっていた。
だが、このような状況でも人類は「フロンティア」「オートルナ」に分かれ、一つにはなっていない。
主人公は両者から承認を受けた独立艦隊「ユニオン」を指揮し、傀儡と戦い続ける。

「あー、よくあるアレね」という雰囲気は伝わるのではないかと思います。
いわゆるいろいろなアレというやつです。

ただ、導入となる基本的な設定はだいたい同じでもどうやって終わらせるのか、というのに明確な型はなく、千差万別であるように思えます。
人類が絶望的な劣勢に陥っているという導入はワクワクするものですが、そんな状況を覆して人類大勝利!! という展開は、なかなか難しそうです。

では、本作『アーテリーギア』は、どのようにして傀儡戦争を終わらせたのか。そのメインストーリーの顛末を追っていきましょう。

※以下、「饗庭淵」という名がスクリーンショットに登場することがありますが、これはプレイヤーネームであり、要するに主人公のことであるとご理解ください。


正直不安だった序盤

いきなりネガティブな話になりますが、本作における序盤の印象はあまりよくありませんでした。
9章までプレイした際の感想記事でも同じことを書いていますが、まずシンプルに誤字脱字が多く翻訳が怪しかったというのが大きな不安材料でした(その点はのちほど、ある程度は改善されましたが……)。

誤字脱字や翻訳の精度に目をつむったとしても、メインヒロインであるニオを主軸にした話がないので彼女のパーソナリティが全然わからなかったり、ゲストキャラが次々に出てきて知らない話をはじめたり、「この作品はシナリオに期待するタイプではなさそうだな……」と半ば諦めていました。

序盤は正直あまり話についていけず、面白いと思えなかった。
その原因の一つには、主人公とヒロインの間に語られない「過去」があるというのが大きいように思えます。
本作の主人公はプレイヤーの分身という体をあまりとっておらず、シナリオ中では当たり前に台詞があってよく喋り、プレイヤーにとって知られざる過去があります。
プレイヤーはなにも知らないでゲームを始めている一方、主人公は歴戦の軍人です。
その乖離のため序盤のシナリオはかなり呑み込みづらいものとなっていました。

ただ、その「過去」こそが本作を最高の作品にしているのです。
以下、私の感動を追体験していただくために、長々と解説させていただきます。


序章:まだよくわからない

主人公の指揮する「ユニオン」の旗艦オートランド号が傀儡群に包囲されているところを、宇宙からヒロインが降下し救出に向かうところから話は始まります。
まあまあホットスタートですね。

この時点では話は全然分かりませんが、ムービーシーンなどかなりカッコよく、期待が持てます。
見どころとしては、傀儡化しそうになった部下が自決の許可を求めるところで即断するメインヒロインでしょうか。

メインヒロイン「よし、死ね」

判断が早い

そしてなんやかんやピンチに陥りながらも、主人公とヒロイン・ニオは6年ぶりに再会します。

主人公、初登場

再会、といわれましても……お二人はどういう関係なんですか??
この謎については、11章の過去編まで待たなければなりません。
序盤のうちは軽い匂わせこそあるものの、全然わかりません


1章:大丈夫なんだろうか

序盤の流れは、ざっくりいうと地上の統一政府である「フロンティア」の首脳、スーパーAI・アトラスの信頼を獲得していくというものです(信頼? それは人間だけが持つ概念。私には存在しない)。

スーパーAI・アトラス首脳

アトラス首脳の外見はご覧の通りの軍服幼女です。
地上の人類は皆、この軍服幼女に従って傀儡と戦っています。

アトラス首脳、生まれたての姿

事実、幼女です。
冗談みたいな状況ですが、このアトラス首脳はめちゃくちゃ有能です。
「人類を救うこと」が根本的な行動原理となっているため、「なにを犠牲にしてでも……人類を救う!」という冷酷な判断をよく下します。

主人公の経歴は謎に包まれている

主人公は独立艦隊「ユニオン」の指揮を任されていますが、経歴不明の謎の人物です。なぜそんな人物が指揮を任されるようになったのかは、後の過去編を読むとなんとなく察せはしますが……この時点では謎だらけなので、アトラス首脳は主人公に依頼という形で仕事を振って、様子を見ます。

最初の仕事が、「傀儡に占領されたアジュールシティを奪還せよ」というものでした。
傀儡群には指揮官に相当する傀儡師というボスが存在し、それを倒せばよいとのことです。
しかし、この傀儡師というのがですね……。
傀儡師は人間が元になっており、生前の人格や行動に影響を受けてよく喋るため、敵としては言動の格が低いんです。

この時点で、当初の私は「大丈夫なんだろうか……」と不安を覚えていました。
人間が元になっているという設定があるのでまあ……という気もしますが、この手の敵がふつうに喋って、それも格の低い感じだと……なんか嫌じゃないですか。

ゼロヨン、傀儡師を一蹴

しかも、弱い
ゼロヨンという新キャラが登場し、傀儡師はサクッと倒されてしまいます。
このソシャゲ、大丈夫なんだろうか……。


2章:ごちゃごちゃミステリー

「フロンティア」内部に裏切り者がいる可能性があるので調査して欲しい、というお話です。どうやらAGを検査する医療員の中に裏切り者がいるかもしれない、という当たりまではつけているようです。

その内で怪しい行動をとる一人の医療員のあとをゼロヨンが尾行します。
その最中、別動隊の調査により裏切り者が判明し、検査を担当していた医長による犯行であったことが発覚します。
ゼロヨンが目をつけていた医療員は善意でAGを治療していただけだったのです!
……と思いきや、その善意の医療員が真のスパイでした。

こんな短いシナリオでどんでん返しを二回も入れるんじゃない!!

表向き犯人の医長も、真犯人である善意の医療員にも名前もなければグラフィックもなく、表向き犯人の発覚シーンも通信でサラッと流されるため、初見では非常に混乱しました。
こういうごちゃごちゃしたシナリオは、もう少し尺を取って、容疑者もある程度キャラを立ててもらわないと……わかんないよ……。
この話にそこまで尺を取って面白くなるかどうかは微妙ですが……。

グラフレイムに合流するクラリス

一方、場面は変わって。
「グラフレイム」という謎の組織の会合が描かれます。
彼らはAGですが、傀儡に与する悪の集団です。
そこにクラリスが合流し、善の医療員の正体がクラリスだったことが明かされます。
表向きの偽名もないので「善の医療員」と呼ぶしかないんですよ。

この2章を最初に読んだときは、だいぶ厳しいものを感じました。


3章:味方を犠牲にする作戦の是非

「スパイダーサービス」という部隊がゲストキャラクターのような形で登場します(彼女らは今後「ユニオン」に合流することになるので厳密には違いますが)。

「彼女らを捨て駒にして傀儡師を砲撃でまとめて倒そう」という作戦がフロンティアによって進められます。
スパイダーサービスも犠牲になるのは承知の上です。
ですが、彼女らはもともと戦災孤児で、命を省みないよう洗脳処理を施されて兵士に仕立てられていたという事実を主人公は知ります。
そんでなんやかんやあってスパイダーサービスも「生ぎだい!!」になったので、フロンティアの作戦に抗議し、「もっとよい、犠牲の出ない作戦がある」と主張します。

しかし、フロンティアは「うるせー! 待ってられねえぜ!」とそれをはねのけ、砲撃。このままでは主人公らも巻き込まれてしまう――と思いきや、発射直後に砲台は攻撃を受け、軌道が大幅にズレることになります。
その攻撃の正体はグラフレイムによる暗躍でした。

結果、傀儡師を倒すことには失敗し、「ユニオン」は味方の一人であるメルを傀儡師によってさらわれるという結果になってしまうのです。

傀儡師によってさらわれるメル

以上がおおまかな話の流れです。

結果としてグラフレイムの妨害によって主人公たちは難を逃れるのですが、主人公がやろうとしていた作戦がなんだったのかわからないまま終わります
主人公を「代案もなく感情論で作戦中止を求めている無能」みたいに見せたくなかったという意図だとは思いますが……「アレって結局なんだったの?」みたいな引っ掛かりが残ってしまって、どうにも飲み込みづらいものがあります。

いったいどんな作戦だったのだろう

とはいえ、味方ごと巻き込む作戦をどうするのかという「軸」が明確にあるので、まだ読める話ではありました。


4章:百合

3章からの続きです。
前回、傀儡師にさらわれてしまったメルを探し出そうという話になります。
傀儡にはいわゆる同化能力があるので、メルはもう傀儡になってしまっているのではないか。傀儡になっているなら撃つしかない。
ゾンビものにはありがちな状況で、彼女の友達であるレラが葛藤します。

これまでレラは皮肉屋で毒舌家として描かれてきました。
そのレラがメルがいなくなったことで激しく動揺するのです。

動揺するレラ

つまり……百合です。

というわけで、この章はかなり感触がよかったです。
メルは傀儡化にかなり耐性があったようで、なんやかんや救出されます。

そして、この章でもまた「ファイアストーマイナー」というゲストキャラ部隊が登場します。
またゲストキャラかよ! 先にメインキャラ(特にニオ)の描写やれよ! とは思いましたが、彼らの目的は傀儡化してしまったかつての仲間を始末すること。
つまり、今回こそメルは無事でしたが、いずれ仲間が傀儡化するような事態になったときには始末をつけなければならない、という話を示唆する立場でした。
その意味では、彼女らの登場には意味があったと言えるでしょう。5章に比べれば……。


5章:知らん女同士の百合

正直、かなり問題があると思っている章です。

話の筋を大雑把に言うと、知らない女同士の百合です。
ミルヴァスという「ザ・ハルピュイア」という部隊の隊長が「ユニオン」に合流。
さらに「オートルナ」という衛星国家からもシルビアという騎士AGが派遣されてきます。
任務地ではコンドルというAGが待ち構えていました。
コンドルはかつて自分をハルピュイアから除隊させたミルヴァスに恨みを持っており、その理由を問い質すために襲い掛かってきます。

ミルヴァス
コンドル

このミルヴァスとコンドルが延々といちゃつくのが5章の内容です。
ミルヴァスはなぜコンドルを除隊させたのか?
その理由は、明かされません

延々と知らん女の百合を見せられ続けた挙句、謎も明かされない!!

続きは、イベントシナリオに引き継がれます。
あの……、この話がそもそもイベントシナリオみたいなものなんで、それなら初めからイベントでやってくれませんか……。なぜこれをメインシナリオで……?
メインシナリオで次々にゲストキャラが出てきてメインキャラの活躍がないのでは、印象がだいぶとっ散らかってしまうんですけど……。

一応、続きのイベントで明かされたコンドル除名の理由を話します。
本物のコンドルはすでに死亡しており、今のコンドルはいわば複製体だった。そしてその複製体は精神が不安定で、真相を知ると暴走する危険があった(実際にそのような実例がある)。
とのことだったようです。

ただし、今のコンドルは元の肉体の持ち主が覚悟の決まっていた人物だったのもあって、真実を知っても耐えることができました。
というオチがつきました。
要は、スパイダーサービスがそうだったように、戦争のためにフロンティアはだいぶ非人道的なことをやってますよ、という話の一端です。

そこまで読めば……まあ……なるほどね……という話なんですけど、5章だけ読んだ状態だとコンドルと同じように「なぜだ隊長!!!!」とブチ切れ続けることになりました。


6章:首脳会談

人類は今、地上の統一政府である「フロンティア」と衛星国家である「オートルナ」という二つの勢力に分かれています。
という設定は前々から語られていたのですが、ここまでの描写ではいまいちピンと来ていませんでした。
フロンティア側のアトラス首脳とはこれまで交流があり、いくらか信頼を得られてはいますが、オートルナの方は正直よくわかりません。

アトラス首脳
リサ・オートルナ

この章ではフロンティアとオートルナのトップ会談が描かれ、ようやくオートルナ側の描写が入ってきます。
主人公たちの「ユニオン」はその会場を護衛する任務に就きます。

ここまでのプレイヤーの印象としては、アトラス首脳に対してはすでにだいぶ馴染みがあり、頼りになる人物というものです。
一方で……リサ・オートルナ? なんか胡散臭い女だな……。
そしてその印象は、どうやら正しいものであったことが明らかになってきます。


7章:思った通り過ぎる決着

6章からの続きです。
会談を開催している町に傀儡師・フォーレンナイトが襲い掛かってきます。
その正体は、かつてオートルナの騎士だったAG。かなり強く、「ユニオン」やオートルナの騎士が護衛に当たるのですが、どうにも押され気味です。
彼女の言動は騎士時代のものを引きづっており、その目的はオートルナ女王のためアトラス首脳を抹殺するというもの。

町に侵入してきては一般市民に犠牲が出てしまうということで、アトラス首脳は囮になるため町の外に出ます。
アトラス首脳に一直線に向かってくるフォーレンナイト! ピンチ!
その場には、リサも同じように外に出てきていました。
彼女はフォーレンナイトに自害を命じ、決着します。

危機は去ったものの、フォーレンナイトが本当にリサ女王に忠誠を誓っていたのであれば、彼女はアトラス首脳の抹殺を命令していたということではないか……? という疑いを残して話は終わります。

正直、読んでる途中から「これってリサが命令を下せばどうにかなるんじゃない?」と思っていましたが、そのままの決着となりました。
この6~7章も、「なんだろうこの話……」と思いながら読んでました。
不安だ……このソシャゲ……。

胡散くせー女

ハチャメチャに面白くなってきた8~9章

と、ここまで読んできて「あまり……面白くはないな……」という感想だった『アーテリーギア』ですが、9章から急激に面白くなります
8章と9章でやはり前後編のような構成になっているので、8章からも含めましょう。

ここまでの話のなにがいまいちだったかというと、敵が弱くて、言動の格が低い点がやはり大きいです。
あるいは、主人公(「ユニオン」艦隊)が強すぎるともいえます。
絶望的な状況で追い詰められている人類を期待していたのですが、主人公は連戦連勝で、特にそんな雰囲気もない。

ですが……8章からは大きく状況が動きます。

ちなみに8章からは有志によってストーリー動画がアップされています。
こんなネタバレ解説記事じゃなくてちゃんと本編を噛み締めたいぜ! という方はこちらをどうぞ。


8章:絶望のはじまり

ここで視点はオートルナに移ります。
オートルナは衛星軌道上に位置するスペースコロニーの国家であり、地上の傀儡戦争は対岸の火事のようなものであるという実態が描かれます。

ザ・偏向報道

その報道の内容もデタラメだらけで、地上の様子を面白くおかしく娯楽のように扱っています。「オートルナは援軍を送ろうとしているが、フロンティアが拒否している」などはかなりたちの悪い大嘘です。

そんな中、新米記者のフィールは嘘ばっかりのオートルナ報道に辟易し、自分が地上を直接取材して真実を皆に伝えるんじゃい! と息巻きます。
そんで他人のスペースシャトルを勝手にパクって(!?)地上に降り立ち、現実の戦場を目の当たりにして愕然とするのです。

要するにガキですね。
年齢的には成人しているようですが、精神的には現実を知らない夢見がちなガキです。彼女もオートルナの報道は嘘ばかりだと理解していたはずですが、かといって現実を知っているわけでもなく、報道によってつくられたイメージに引っ張られていたという描写がリアルです。

そんなフィールが地上のフロンティア第48軍に保護され、現実を知り、成長していくのが8章の内容になります。
最初に読んだ印象としては「なんで?」でした。
主人公(ユニオン)の話をしろよ、と。
ここまでの話でこちとらまだ主人公のことよくわかってないんだと。
特にメインヒロインのニオについては全然掘り下げがなくてどういうキャラなのか全然把握できていないんだと。そう思っていました。

しかしこの視点変更は、主人公視点では得られなかった絶望的な戦況描写が得られるということでもありました。
また、8章からはそれなりに尺も増え、話が進むにつれまったくの新キャラである第48軍にも親しみが持てるようになってきました。
フロンティア軍からすれば「なにも知らねえオートルナのガキが遊び感覚で戦場をうろついてんじゃねえよ……」とピリピリした感じですが、そのうちで最初にフィールを保護したペペは表面上は冷たい態度をとりながらも彼女を気にかけます。

ペペの過去

ペペもかつてはオートルナの住民で、フィールと同じように地上の真実を持ち帰ろうと試みた過去があったのだといいます。
しかし、結局彼女は地上の実態を目の当たりにし、怖くて逃げ帰ることしかできませんでした。それが彼女がフィールを気に掛ける理由でした。

他にもユウイグレースデラなど魅力的なキャラクターが登場します。
未実装のキャラもいて、デザインもよかったので実装が楽しみだな……などと思っていたところ。

全員死にました


9章:人類議会の裏切りとアトラス首脳の危機

8章の終盤あたりから、最大の危機というべき状況が訪れます。
これまでめちゃくちゃ有能な活躍ぶりを見せてきたアトラス首脳が音信不通になってしまったのです。
その理由は人類議会の裏切りにありました。
人類議会の中には、グラフレイムのボスであるエルフィン・エラムが潜んでいたのです。

結果、アトラス首脳は無力化されそうな状態まで追い詰められます。
この状況を察して、第48軍は周囲の部隊と連携しアトラス首脳の救助作戦へと向かいます。
スーパーAIなら一瞬でまとまる作戦も、人間の知能では何人もが十分に議論を重ね、丸一日かけて作戦を練り上げました。
フィールにはそれとなく嘘の作戦を伝え、戦場から遠ざけたうえで……。

8章ラストで彼らの全滅と作戦失敗が描かれたあとで、9章冒頭で「アトラス首脳をお助けするぞ! おー!」という場面が描かれる形です。
史実上失敗することが確定している作戦を描く大河ドラマのような体験です。なんと心地のよい絶望感でしょうか。

エルフィン・エラム

人類議会の裏切り者にしてグラフレイムのボス、エルフィン。
強く、怖ろしく、格の高い敵がようやく登場しました。
彼女はまず、アトラス首脳の側近AGであるトイフェルを一蹴。
トイフェルについてはストーリー中でもたびたび登場しており、プレイアブルキャラとしても速度の高い全体攻撃アタッカーなのでステージ周回に重宝していました。

周回に便利なトイフェル

なのでかなり馴染みのあるキャラだったのですが、それが一捻り。
護衛であるトイフェルが満身創痍で、アトラス首脳大ピンチ!

そのとき、ペペが救援に駆けつけます。
ですが、エルフィンは人類議会に食い込んでいるだけあって、最高技術によって装備を固めています。実装されれば間違いなくSSRです。
言ってしまえば、ペペは一枚落ちるレアリティ(SR)のユニットなので、とても太刀打ちできません。

ペペ、完全消滅

ただ、ペペもただでは負けませんでした
戦いで気を逸らしている間に、別動隊がトイフェルとアトラス首脳を救出していたのです。
ですが、エルフィンはこのフロンティアの旗艦であるアイアンハンマーの設計者でもあり、その構造を熟知していたため、簡単に探し当ててしまいます。
ペペの命をかけた戦いも、ちょっとした時間稼ぎにしかなりませんでした。

そんな絶望的な状況に現れるのが主人公です。
序盤にかけて連戦連勝で、強すぎてつまらんな……とさえ思っていた主人公が、この絶望的な状況に現れるわけです。
異常なまでの頼もしさです。興奮せずにはいられません。
ペペのちょっとした時間稼ぎがこの展開へ繋いだのです。

そして、あろうことか主人公がエルフィンと戦うと言い出します。

プレイヤー「正気か!?」

本作『アーテリーギア』も、よくあるソシャゲとして、主人公は生身の人間であり後方から指揮に徹しているという設定です。
敵である傀儡は「糸」によってあらゆる生物・機械を同化させる能力を持つため、それに対し強い抵抗力を持つAGでなければ戦えない、というのもよくある設定です。

ですが、敵がAGなら? 人間でも戦えますね。

と、理屈の上ではそうなのですが、AGは戦うために改造された人間なので、傀儡化耐性だけでなくビュンビュン飛び回るような身体能力、銃弾を跳ね返すような装甲を持っています。
もちろん、そんな相手に正面からは戦えませんので、ヒット&アウェイを繰り返したり仕掛けた罠を作動させるなど搦め手を駆使して戦います。

プレイヤー「ははは……AGと一騎打ちだって?」

エルフィンのグラフィックには背後に狼ロボがいると思いますが、それが彼女にとって強力な補助ユニットになるので、その対処は仲間のAGに任せ、あくまでエルフィンとは主人公が戦う展開が続きます。

いつの間にか「倒す」つもりになっている主人公

主人公は重傷を負い、医療室まで逃げ込みます。
しかし用意周到なエルフィンは医療室から医療器具も撤去していました。
いよいよ追い詰められた主人公。

「君に、私は倒せないよ」

それで出てくる台詞が、これです。
なに? この人? カッコよすぎ……?

そして主人公はエルフィンを煽り散らかし、酸素で充満した部屋で銃を撃たせることでついにエルフィンを無力化するのです。

敵ボスを完封し拷問にかける主人公

いや……あなた、本当にソシャゲ主人公……?
と、ここまでが9章の序盤です。


9章:フィール頑張り物語とクラリス襲来

9章はこのPVが大好きで何度も観ています。

さて、エルフィンを無力化しアトラス首脳を救出することに成功しましたが、より厄介な敵は傀儡師です。
人類議会が裏切ったこともあって、フロンティア軍の戦力はいまガタガタの状態です。ここままでは傀儡師には勝てる見込みがありません

ですが、オートルナの協力があったら……?
ここでフィールが「ユニオン」に合流。オートルナに戻って真実の報道をし、援軍を送ってもらえるよう打診するという提案をします。

そしてフィールはゲリラ的に動画をネット上にアップし、アカウントBANされ、ロベルタというAGに追われながらも逃げ隠れしながらまた投稿し……を繰り返しながら、少しずつ支持を得て、みんなで集まってデモをするぞ! というところまでこぎつけます。
ですが……誰も集まらない

上の動画で「ごめんなさい……なにもできなくて……」と落ち込んでるのはこのあたりですね。
フィール視点なので「ユニオン」側の戦況はよくわかりませんが、通信では「大丈夫だから心配いらない」と返されます。
第48軍が全滅する直前の光景がフィールの脳内でリフレインします。

絶望していたとき声をかけてきたのは……嫌味な先輩たち!
ゴミカス偏向報道をしていたあの二人です。

こいつら

彼女たちもオートルナの公式発表をそのまま読み上げたり、あるいは事実無根の脚色をしたりという報道に辟易していたのです。
ぜんぶ無駄だと思ってた努力が、誰かの心には届いていた
胸が熱くなる展開です。

一方、「ユニオン」は傀儡群に包囲され追い詰められていました。
「ユニオン」がここまで追い詰められていたのは、主人公のことをよく知り、強い執着を持つクラリスの手引きがあったからです。

ついに主人公の前に姿を現すクラリス

クラリスは直接「ユニオン」の旗艦にまで乗り込み、主人公の副官・カペラを斬り伏せ、「Φパーツ」なるものを渡せと主人公に迫ります。
主人公も銃で撃って応戦しますが、相手はAGです。敵いません
主人公がいくら強いといっても、それは周到な準備があればこそ。このように相手から向かってきて奇襲された場合には歯が立たないのです。
絶妙なパワーバランスですね。

そんな絶体絶命のピンチを救ったのは、オートルナの援軍でした。
フィールの訴えが通じ、オートルナの一部のAGを動かしたのです。
先陣を切ったのはフィールを追いかけ回していたロベルタでした。

これにはクラリスも退却、しかし主人公の生命を維持しているという「Φパーツ」は奪われてしまいます。


第一部、完!

主人公がめちゃくちゃ強かったのもあり、クラリスというおもしれー女の元カノがいたり、実は死にかけだったのをΦパーツなるアイテムで生命維持をしていたなど、主人公の過去がいよいよ気になってきました

副官カペラも傀儡化しかけていて、真実を知っているらしいニオは自らのコアを取り出して主人公の生命維持をしようとしたり、やばい状況です。
二オのコアがあれば主人公の命は助かるらしいのですが、そのときニオから傀儡反応が現れて……?

その状況をなんとかする手立てがあると現れたのは……エルフィン!!
彼女はなぜ人類を裏切ったのか? その話も含めて、その手立てがある先へと向かいます。
ここまでが『アーテリーギア』の第一部になります。

こうしてダイジェストで観ると序盤もいい話だったような気がしますね。
いや、やっぱり5章! お前はダメだ! イベントシナリオでやれ!!

もはや最高の物語と化したアテギア

序盤は「面白い……? 面白い……いや面白いかな……どうだろ……ダメか……?」だったアテギアも、9章を境にずっと面白い大勝利ソシャゲになります。

こちらが第2部第1章のPVです。
本作ではストーリーPVがなぜか9章とこれしかないので、私はこの二つを延々としゃぶるように観ています

第二部では、「傀儡・傀儡化とはそもそもどういうものか」という話や、ついに主人公の過去が描かれることになります。
そして……傀儡戦争もここで終結します

「はーん、この物語は第二部で完結なんだな」と思ったかもしれません。

続きます
第三部、第四部まで続きます。
まさにこの点が本記事のタイトルにある「傀儡戦争をいかに終わわせたか?」という本題になります。

以下、章表記についてはややこしいので「第2部第1章」といった形ではなく、「10章」「11章」通算で表記します。


10章:「傀儡化」の意味を問う

ゾンビ映画を観ていて、こう考えたことはありませんか?
いっそ諦めてゾンビになってしまった方が幸せなんじゃないだろうか、と。

ゾンビでは生理的にキツイのでさすがに嫌だな、と思うでしょうか。思考能力もなさそうですしね。
ですが、吸血鬼ならどうでしょう?
日の下に出られなくなるとか、食事が血だけになるとかデメリットはありますが、力は人間以上で不老不死になれるというなら結構魅力的だなと考えたことはないでしょうか。

この章では「傀儡になってしまうとはどういうことなのか」ということを改めて問い直します。
「傀儡になっても自我を保ったまま人間を襲うようなこともなければ別にいいじゃないか」とエルフィンは言うのです。
そして、その実例をまざまざと見せつけます。

そこには、8~9章で死亡したはずのデラの姿があったのです。
思わず駆け寄り、抱き着くフィール。
しかし、デラには戦死したあたりの記憶がなく、フィールのことを知りませんでした。
とはいえ、彼女の姿や言動はデラそのもので、傀儡であるにも関わらず意思疎通ができ、人間に協力的です。
デラを傀儡化させた双子の傀儡師とも、ふつうに対話が可能です。

これまでの戦いを根底から揺るがすような「問い」です。
エルフィンは人類を裏切ったのではなく、傀儡化は人類にとって福音なのだと主張するのです。
しかし、フィールは違和感を覚え、主人公と相談することで確信を得ます。

デラは蘇ったのではなく、公式記録をもとにその言動を模倣するよう命じられていただけだったのです。

話が違うやんけ~~~~!!

スワンプマンというか哲学的ゾンビというか、なんともグロテスクな話です。
しかしそれはそれとして、通常の傀儡化では意思疎通は不可能になり、人類と敵対することになります。
であれば、双子による傀儡化の方がまだマシなのではないか?

指揮官の判断は、隠されていたすべての記録を開示し、その記録をもとに自らを傀儡化してもらうというものでした。
そこには本人の自我はないかもしれませんが、再現度はかなり高く、スペックは本人のままなわけです。
であれば、「人類のために傀儡と戦う」という使命そのものは果たせます。
――という判断を下してしまう主人公、だいぶやばいですね。

しかし、その判断を決して許すことのできないものがいました。

ニオ、突入

ニオです。

主人公が死にかけていたので自らのコアを引き抜いて延命させようとしたらニオ自身から傀儡反応が出て拘禁状態になっていたニオが脱獄して来て大暴れ、双子の傀儡師をぶっ殺します

そして、ニオは最強の傀儡師となってしまいます。
ニオはいつから傀儡だったのか? なぜ主人公は死にかけていたのか?
すべての真実が明かされるときが来ました。


11章:明かされる主人公の過去

このあたりはクラリスのついての記事で書いた内容の繰り返しにはなってしまいますが……ガッツリ引用しましょう。

時は6年前に遡り、主人公は傀儡に対抗するために結成された「連合」という統一政府に志願兵として向かいます。

この時代は、AGが登場する以前です。
つまり、傀儡との戦いは人間の歩兵が担っていました。

ゲームとしては「AGでなければ傀儡に対抗できない」という設定になっているのですが、過去編では人間が傀儡と戦っていたのです。

戦友の射殺が戦闘教義に組み込まれている

AG以前では、人間が最も傀儡化に耐性がある(5~20分かかる)という状況で、仲間が傀儡化しそうになったら即射殺するという戦闘教義をもとに戦っていました。当然、兵の消耗率は悲惨なもので、どうしようもない末期戦の様相を示しています。
主人公は、この時代から戦い続け、生き残ってきた人物だったのです。

ケイトリン

そのなか、パートナーとして登場するのが現在編では影も形もないケイトリンという人物です。まあ、死にますよね
過去編の醍醐味の一つだと思います。現在編がめちゃくちゃな状況になってるのに、過去編がハッピーエンドになるはずがない。だって現在に繋がる物語なんだから。

もちろん、ケイトリンは死にます
死ぬのですが、彼女が死に際に語る生い立ちが壮絶です。
彼女の家族は兄弟が多く、弟や妹が増えるにつれて彼女は両親からないがしろにされるようになりました。幼いころの彼女はそのことを恨み、故郷が傀儡に襲われたとき弟や妹、あるいは両親に嘘の避難経路を教えて殺してしまうのです。
しかし、のちに彼女は両親の養子だったことが発覚。
たくさんの兄弟も慈善家の両親が戦災孤児を養子として迎え入れていたことがわかります。
両親がケイトリンに冷たくなっていたのは自立を促すためでした。
どうしようもない行き違いの悲劇です。

その真相を知ってしまってから、彼女の人生は死に場所を求め続けるだけのものとなりました。
両親の真似ごとをして多くの戦災孤児を匿ってはいますが……。
その子供たちは、今後主人公が引き受けることになります。

傀儡化しかかっているケイトリンの最期の望みは、子供たちへの遺言を残すことでした。
それくらいはまあ……聞いてあげたいじゃないですか……。
その様子を咎められて主人公は反人類罪の嫌疑をかけられます。
どうやら政治的なゴタゴタに巻き込まれてしまっているようなのです。
人類が一致団結して傀儡と戦っていかなければならないというのに……!

クラリスの意味深な言葉

「傀儡戦争は結局、人と人の争い」その言葉の意味を、11章を通してプレイヤーは知ることになります。

過去編のペペ

また、過去編ではペペも登場します。8章で語っていた、「かつてフィールと同じように真実を知ろうと地上へ降りた」という話ですね。
実は主人公とも出会っていたということがここで明かされるわけです。
こういった細かい要素を拾ってもらえるのも過去編の楽しさですよね。


11章:傀儡戦争の真実

「連合」はウェイド・バーナード元帥という人物がトップを務めています。

強いカリスマ性を見せるバーナード元帥

第一印象としては「まあ……味方なのかな……?」と思っていましたが、結論からいうとこいつがすべての元凶でした。

彼から直接指令を受け、その娘のクラリス少尉と共に主人公は遺伝子改造者AGと呼ばれる謎の新兵器を捜します。
遺伝子改造者というのはかつてのAI戦争における英雄で……と、このあたりは要素がごちゃごちゃでまあまあ混乱しました。
遺伝子改造者とかAI戦争については枝葉な気がするので本記事では説明を省きます。正直よくわかんないし……。

重要なのはAGの方です。
消耗を前提とした戦術でかろうじて戦いを続けていた人類でしたが、ここに来て初めて傀儡に対する決定的な対抗戦力が現れるのです。

いや……アーテリー・ギアか!

AGと呼ばれる改造人間は、なんと傀儡化に対する完全耐性を持っていました。これなら、人類は傀儡に勝てる……!

……あれ?
妙だな……AGでも傀儡化するときはしてしまうという話がこれまでは描かれていたはず……?

いろいろあって、すべてはバーナード元帥の陰謀であったことが明らかになります。
もともと傀儡とは深宇宙で発見された生物であり、下等生物を乗っ取ってしまう特性を持っていましたが、人間には無害な存在でした。
「それなら改造して兵器利用しようぜ!」と研究した結果、人間や機械をなんでも同化してしまう制御不能の怪物となってしまったのです。
その黒幕がバーナード元帥でした。

バーナード元帥にとってAGは傀儡戦争を終わらせるための手段ではなく、その技術を研究して傀儡戦争を継続させるためのものだったのです。
人間同士のグダグダは延々と描かれてきましたが、まさか諸悪の根源まで人間だったとはね……。

つまり、プレイヤーとしては「正体不明の敵」と戦っているつもりでしたが、主人公はとっくにその正体を知っていたわけです。
あるんだ、こんな構成……!
そして、明確な「悪」であることが確定したバーナード元帥を主人公とニオは追い詰め、倒します。

が……、バーナード元帥は最期の悪足掻きとして自爆
主人公は爆風からニオを庇い、瀕死の状態になってしまいます。

死にかけの主人公

かろうじて生きてるだけで、もはやどうしようもない状態です。
そこでニオは、ある決断を下します。
ニオには「Φパーツ」という時間を停滞させる能力を持つアイテムが埋め込まれていました。ただ、このままでは主人公を延命させるには力が足りません。
よって、AGのコアを傀儡化させることで力を増幅させ、主人公の命を取り留める処置を行うのです。

本来、AGは傀儡化に対し完全耐性を持つ存在だったのです。
一つでも完全耐性をもつAGコアがあれば互いに補完しあうことで自動的に修復されます。なので、ニオは当時現存していたすべてのコアを傀儡化させます。
結果、今後製造されるAGは傀儡化への完全耐性を失うことになります。

現在時空では、耐性はあるもののAGとはいえ傀儡化は避けられないということが常識のように語られています。

現在の常識

ぜんぶ、ニオという女のせいでした。

過去編では、傀儡化に対して完全耐性を持つAGがいれば傀儡戦争はそのうち終結するだろうと楽観的に語られていました。実際、そうだと思います。
しかし、ニオが主人公一人の命を救うためにやらかしたことで、人類はその勝算を失うことになります。
現在時空でAGが実用化され大量に運用されながらも人類が苦戦を続けているのは、ニオという女のせいです。
ニオは、全人類を裏切ったのです。

過去編でサラッと「AGは傀儡化に対する完全耐性を持つ」という現在とは異なる設定を出して、こういう形で答え合わせしてくる構成は実にワザマエです。


12章:リサ・オートルナという女

過去編はもう少しだけ続きます。
11章は主にクラリスとニオの話でしたが、12章はリサ・オートルナの話です。

当時の女王、アンナ・オートルナ

11章終盤の話ですが、ニオのやらかしは衛星から監視していたオートルナには筒抜けでした。
そこで、当時の女王アンナ・オートルナが直接話を持ち掛け、ニオがオートルナに戻り研究対象となるなら主人公の命は助け、あらゆる記録を隠蔽することを約束します。

主人公の記録が存在しなかった理由

主人公に関する記録が存在しなかったのはこのためのようです。
主人公は死にかけから目覚めたばかりだったのでニオを追うことができず、あえなく連れ去られてしまいます。

現れる謎の幼馴染

そんなボロボロの主人公を手助けしてくれるのが、幼馴染の程青煙(チェンチンイン)です。

だ、誰ぇ……??

過去編においても主人公の出自は不明でしたが、どうやら中国モチーフの地方出身であるらしいことが明かされます。国家という概念が解体され、今は「至民」という組織を立ち上げています。
11章においてもたびたび「総書記」という謎の単語が主人公の台詞の中に登場していましたが、どうやら彼女を指していた模様。

本作をリアルタイムでずっと追っていたわけではないので定かではないんですが、どうやら彼女の初登場はイベントシナリオだったようです。
とはいえ、主人公の幼馴染だったという情報はここが初めてのはず。
「幼馴染」というのは一般に敗北属性といわれることも多いですが、こうして急に現れるとミステリアス極まりないですね。

そうして、レラやメル、そしてケイトリンから預かった子供たちは至民に預け、主人公は病床を勝手に抜け出し筋トレで身体の調子を戻してからオートルナにニオの救出に向かいます。
このあたりの動きはめちゃくちゃです。
単身で施設を襲撃し、敵を全員ねじ伏せたうえで情報を得て帰るみたいなことを平気でやります。ハリウッド映画の主人公?

その調子で主人公はオートルナに潜入。
そこで、当時は女王候補者であったリサと出会うことになります。
妙だな……7章で会ったときは「初めまして」だったはず……。

このとき、リサは言葉を話すことができず筆談で、フードで顔を隠しており、偽名を名乗っていました。そういうわけで、主人公は彼女がリサだったことに気づかなかったのだと思います。
リサの方は……平気で嘘つくタイプの人間なので、そういうことでしょう。

なーにが「初めまして」だ

当時のリサは女王候補者として死を約束されていた立場でした。
女王アンナ・オートルナはその実、生身の人間を乗っ取ったAIであり、女王になるということはAIに身体を奪われること=死を意味していました。
そんなわけで、リサは無気力で投げやりで、哲学的な空想に耽る日々を送っていたのです。

そんなときに現れた謎の侵入者
リサは様子を見るために手助けするふりをしますが、そのあたりの境遇を聞いた主人公は彼女の哲学的な空想にいくらかの示唆を与えます。
このときの会話が彼女の人生を変え、そして世界の運命を変えていくわけです。なんでそんな大事になっちゃったかな……。

主人公の言葉がリサに「生」を与えた

いろいろあって、ニオの救出は失敗します。
主人公と彼女との再会は6年後です。

そしてリサは、主人公との会話や学友とのやりとりを経て一つの結論に達します。

先代女王、暗殺

「欲望、さいこー!」の思想となり、彼女はアンナ・オートルナを暗殺
生身のまま女王の座につきます。そして、自身が空想していたユートピアを現実でも再現しようと動きはじめるのです。
要するに、世界征服を目指します。

どうしてそうなった??

主人公との出会いが最悪の方向に転ぶことあるんだ。


12章:傀儡戦争、終結

そして、12章終盤で物語は現在時空に戻ります。
ニオのやらかしについて聞いたゼロヨンはさすがにブチキレ。
「ニオは全人類を裏切ったんだ」と。おっしゃる通りです。

ただ、主人公もニオもこうなることは覚悟していました。
Φパーツで抑制はしているものの、いつか傀儡になってしまう日が来ると。
そのときに備えて、主人公はニオとある約束を交わしていました。

傀儡になってしまったなら、自身を殺害して欲しいと。
傀儡は人間の強い感情に共鳴することが知られています。
すなわち、傀儡ネットワークを通して傀儡に「愛」を教えることで傀儡戦争を終わらせるのだ、と。

ニオはその約束を果たします
そうして、傀儡は「愛」という未知の感情に戸惑い、その動きを止めます。
さらにいえば、主人公はこの6年間で傀儡に対して微弱な共鳴をもたらす装置である「傀儡の心」を世界各地に配置していました。
よって、全世界すべての傀儡がその活動を停止。
かくして、実質的に傀儡戦争は終結することになるのです。

回想から抜けたと思ったら一気にこの展開です。
「傀儡の正体は実は大したものではない」と明かしてしまったわけですから、この展開も納得です。
そもそも序盤から主人公は連戦連勝だったわけですからね。
「連戦連勝でつまんないなあ」と思っていた序盤が説得力として効いてくるのです。そんなのあり?

傀儡がここまで凶悪な存在になってしまったのは人間が改造したせいで、ゆえにその研究データの蓄積も十分にあるわけです。
そして傀儡戦争が長期化していたのは、それを継続させようと企てる人間がいたせいでもありました。
主人公は6年前にその元凶を叩き、研究を暴いていて、その内容をもとに傀儡戦争を終結させる作戦準備を進め、それが6年かかっていた、というわけです。

この手の「いろいろなアレ」との戦争ってどうやって終わらせるんだろう、どう終われば説得力があるんだろうとは私も考えていましたが、アテギアの答えはこうです。
過去編で「実は大したことのない存在だった」と明かし、「ずっと準備をしていた」ということにする。だいぶ剛腕です。

これで話が完結していては、さすがの私も困惑しかなかったでしょう。
今回のような記事を書いていたかというと……いやそれはそれでやばいので書いていたかもしれませんが、アテギアの偉い点は「その後」を丁寧に描いたことです。

戦争を終わらせる方法そのものよりも、「終わった後になにが起こるか?」と丹念に描くことで説得力を補強する。それがアテギアシナリオの答えです。

まずなにが起こるかというと……

オートルナの攻撃

衛星からの攻撃で、「ユニオン」は全滅します。

「ユニオン」は傀儡に対抗するために結成された臨時的で越権的な軍隊である以上、傀儡戦争が(事実上)終結したのなら不要な存在なわけです。
また、彼らが傀儡を活動させた方法も世間的に公表の難しい、ニオのやらかしについての説明がなければ理解できないようなものであったため、その作戦は秘密裏になされていました。
つまり、このタイミングで「ユニオン」を消してしまえばその功績を掠め取ることができるのです。

19年にも渡る未曽有の大戦争が終結したらなにが起こるか?

傀儡という敵に対抗するための臨時的な体制を解体し「正常化」するための権力争いが起こるわけです。
傀儡という「外敵」の出現によって、これまで人間同士の戦争はすべて「内戦」と呼び直されるようになりました。
しかし、「外敵」が無力化された直後、人間はもうさっそく「内戦」を再開するようになったのです。


13章:混迷する終戦処理

13章以降で描かれるのは、終戦処理です。
たとえば、フロンティアの首脳はAIであるアトラスが務めていました。これも傀儡という敵に対抗するための歪んだ臨時体制ということができます。
傀儡が無力化されたとみるや、人類議会はアトラスを更迭します。
実際には傀儡はまだ動きを止めただけで完全に殲滅できたわけではない状態ですが、こういうときだけは迅速です。

また、オートルナは傀儡の活動停止について「自らが提案した作戦」によるものと宣伝。地上が安全になったということで、地上に再び「国家」をつくろうと動き出します。
衛星軌道上からほとんど対岸の火事で見下ろしてただけの連中がよー!

そして新体制に邪魔なものを次々に暗殺していきます。
たとえば……アトラス首脳

アトラス首脳、暗殺
わざわざ地上に降りてきてその様子を目視する女

「ユニオン」が全滅しているのをいいことにやりたい放題です。
この混沌とした状況をナントカできるのは「ユニオン」しかいない。
でも「ユニオン」はオートルナの攻撃で……。

と、詳しい原理は正直よくわかってないんですが、傀儡ネットワークとやらを介して「ユニオン」は復活します。

傀儡化してしまったらもう戻れない。
だったら、どうするよ。
逆に乗っ取っちまえばいいじゃん、傀儡を。

という理屈のようです。
一方で主人公もクラリスの献身によって復活。
オートルナのスーパーAIであり傀儡属であるマザー・ルナを撃破します。


14章:奇跡の代償とフィールの暴走

さて、上記の「ユニオン」復活劇もだいぶよくわからないというか、ご都合主義的な奇跡というか、なんですが、やはり重要なのはその「奇跡」が対外的にどう受け止められるかということです。

プレイヤーですらよくわからなかった奇跡の復活。
作中の事情を知らない人間にはもっとわかりません
さらにいえば、本人ですらうまく説明できません

奇跡的な問題解決は他者にその機序の説明や証明が難しいので信用が得られなくなってしまうわけですね。
そのため、「どういうことだよ」「わけわかんねえ」「傀儡の手先なんじゃないの?」と拘禁されて延々と詰られ続けます。

その裏にはリサ・オートルナの手引きはあるんですが、詰問の口実を与えてしまっていることには変わりません。
そのあたりのリスクを描くことで「奇跡」に説得力を持たせるのは巧みですね。こういう形での奇跡の代償ってあるんだ。

この閉塞した状況を打破したのは……フィールです。

フィール、AG化
あのフィールが……

すべてを解決するのは……やはり暴力
あの心優しかった、あるいは気弱だったフィールが覚醒し、AG改造適性が低いにも関わらず自己改造しAG化、フロンティアの官僚を皆殺しにします。

あの……いいんすかこれ。

ゆっくりエルフィンだぜ

ちなみに、エルフィンはフィールによって生首にされてしまいました。
これが、彼女を見た最後の姿でした……。


15章:リサ・オートルナを倒せ!

いろいろあって、倒すべき敵はリサ・オートルナだけとなりました。
まさかの、彼女がラスボスです。
胡散くせー女だな……と思っていたら、胡散臭いどころではなく真の「悪」でした。民衆を扇動して世界征服を企んでいます。

あ、ダメそう

こんな言動ですが、正真正銘、彼女がラスボスです。

まあ、この台詞にも一応文脈がありまして。
抑圧社会のオートルナにおける「娯楽」は切り貼りとナレーションで3分程度に編集されたファスト映画のみ、という状況でした。
リサも6年前は映画なんてものに一切興味を持っていなかったのですが、学友とのやりとりを経て彼女も映画を嗜むようになった、という描写の一環です。
なので、彼女の台詞にはたびたび「この状況映画で見た!」みたいなのが散見されます。それでラスボスを自称してます。人生楽しそうですね。

やっぱりダメじゃないこの人?

あの……リサさん? あなたの目の前にいるのはAGすら単独で倒しうる人類最強の男なんですけど……。

ラスボスに対してこの台詞ですよ。カッコよすぎ!!
レスバの強い主人公って、いいですよね。

さて、本作もゲームですので、シナリオ上のラスボスとは別にゲームとしてのラスボスが存在します。あと2章残していますが、本章で戦うことになるボスが事実上のラスボスです。

ここまでの記事ではゲーム部分に関してはほとんどまったく触れてきませんでした。特に苦戦することもなかったからです。
サ終と聞いて駆け込みで追いかけていたのですが、中断する前に主要キャラはだいたいカンストまで育成を終えていました。逆に言うと、一通り育成を終えてしまったのでなんとなく飽きて離れてしまったわけですが。
なので、ここまでの戦闘は適当にオートで回すだけで難なくこなすことができました。

戦闘敗北

しかし、ここに来て勝てない……!!

1ターンに1度とはいえ反撃してくる。デバフも解除しまくる。全体攻撃もえげつない。先に取り巻きの雑魚を潰す必要がありそうですが、火力が足りなくて間に合わない。

あと二週間でサ終してしまう! 課金機能も止まってるのでガチャも回せない! 時間さえあれば新キャラを育成していろいろ試せるのに、リソースに限界がある! ゲームシステムも思い出せない! そのうえ、攻略情報も見つかりません。それらしい動画はありましたが、編成が違いすぎて参考にならない!

ナントカ倒した

と、めちゃくちゃ焦りましたが、有志の助言を得ることができナントカ倒せました。よかった……。
サ終間際のソシャゲで攻略に詰まると緊張感がすごいという稀有な体験でした。

シナリオ上での戦闘

ちなみに、ゲームとの戦闘とは別にシナリオ上でもラスボスとの戦闘が描かれます。
ソシャゲの戦闘ってシナリオ上での戦闘描写を省くための演出みたいなものではなかったのか!?


16章:リサ・オートルナ最後の足掻き

傀儡戦争が終わり、真の悪であったリサ・オートルナも倒しました。
あと16章と17章が残っています。え? なにするの?

16章は、リサの最後の足掻きです。
彼女は死に際に主人公らを無限月読のような世界に閉じ込めるのです。
そこで、主人公は「過去の判断は本当に正しかったのか?」を問われ続ける精神攻撃を受けることになります。

この女……

往生際が悪すぎ!!

ホントそれ

ところで、ソシャゲといえば本編の隙間に無理やり捻じ込まれるイベントシナリオみたいなところがありますよね。
本編でカツカツにタイムスケジュールが詰まっているのに、どこで横道に逸れたイベントシナリオを捻じ込むか?
そういうの一切気にしないソシャゲもありますが、本作はわりと気にする方です。メインでは絶対そんな状況じゃないのに無理やり周年記念イベントが挟まれたりしています。

このリサの精神攻撃はなんか上手いこと利用されて、パラレルワールドのように多様なイベントシナリオを捻じ込む隙を与えてくれました。

ミルヴァス

たとえば、本編では厳ついミルヴァスが……

幼女化ミルヴァス

なんか幼女化してたり……。

ソシャゲあるあるとして、キャラバリエーションとして「幼女化」が本作にもちょいちょいあるのですが、そこでミルヴァスを選ぶセンスには痺れましたね。
リサ……君のおかげで、ミルヴァスが幼女になったよ……。


エピローグ:次は星の海

さて、次こそついに最終章……ではなく。
本作の事実上のエピローグ、イベントシナリオ「次は星の海」となります。

事実上のエピローグ

メインシナリオでイベントシナリオみたいなことやったり、イベントシナリオでメインシナリオやったり……節操がないですわね!

本シナリオは簡単に言うと、暗殺されてしまったアトラス首脳を復活させ、次は宇宙へ冒険だ! というものです。
残ったわずかなバックアップデータと、アトラス首脳を知るものの記憶を掻き集めれば復元できるはずだと。アトラス首脳は人を愛し、人に愛されたAIでした。いい話です。

「戦争が終わったあと」の話として、魔法少女型AGがその能力を活かして復興作業としての土木工事に従事している描写もあります。ま、真面目すぎる……!

エピローグなので、メインシナリオだけ読んでると知らんキャラが次々出てくるのもソシャゲの醍醐味ですよね。


17章:そして数万年後……え?

傀儡戦争が終わり、リサを倒し、リサの最期の足掻きも躱し、事実上のエピローグもイベントシナリオで済ませて……
最終章、ホントになにをするんでしょうか?

本物アトラスがしなさすぎる表情

映画撮影です。

時代は数万年後(!?)、地球に残されたAIのニャンボーたちが生活を営み、「ユニオン」の活躍を映画として再現する試みがなされていました。
ニャンボーというのは、いわば経験値素材です。

シナリオ本編ではほぼ出てこないというか、今回の記事のように要約すると枝葉すぎてここまで触れることすらなかった存在ですが、最終章にて彼らにスポットが当たるのです。

私たちの世界――にゃあ!

「私たちの世界――にゃあ!」というタイトルだけはあらかじめ見えていたので、いったいなにをする話なのか、「最終章でなにそのタイトル……?」と気になっていはいたのですが、まさかのまさか。
このソシャゲ、自由すぎる。

プレイアブル・ニャンボー

ニャンボーは基本的に経験値素材ですが、とあるイベントでプレイアブルキャラとして配布されたこともあります。なんだこいつ可愛すぎる。

カップリング論争

そんなニャンボーたちが「歴史上の人物」カップリング論争をはじめたり……

反省会

反省会まではじめます。自由すぎる!!!!

しかし、「平和になった」という表現でこれ以上のものはないでしょう。
15章のラスボスには本当に苦戦しましたが、乗り越えた先に見られた景色は確実にその苦労に見合うものでした。
楽しんだ作品の感想会って楽しいですからね。他に知り合いのプレイヤーなどいませんので、本編のうちでそれをやってくれる。
なんて福利厚生の行き届いた作品なのでしょうか。


おわりに

以上が、「『アーテリーギア』はいかにして傀儡戦争を終わらせたのか?」の全容となります。

要約すると、「過去編で敵の正体を明かし、終わったあとの顛末をじっくり描くことで説得力を補強する」というのがその答えとなります。
この「答え」を示してくれたというだけで本作は非常に歴史的価値の高いものといえるのではないか、と私は思います。
ある意味で、13章以降はずっと後日談でありエピローグであるともいえるわけです。

長編ゾンビものってなんかすっきりしない終わり方になること多いじゃないですか。「いろいろなアレ」SFも「終わりの見えない戦争の絶望感」みたいなのが売りの話じゃないですか。
いったいどうやって終わるんだろうと思ったら、まさかこういう形があるとはね……。

改めて振り返ると設定がごちゃごちゃしていたり、「結局あれなんだったの?」みたいな要素もあったり、正直なところ粗のある作品ではあります。
特に、グラフレイムって……結局どうなったんでしょうね……?
イベントシナリオもいろいろ読み漁りましたが、よくわかりませんでした。

ボスのエルフィンについては顛末が描かれているのでまあいいのかな……。生首になったのを最後に画面に映らなくなりましたが……。
そして、あんなに魅力的なキャラなのにプレイアブル実装もなし!
あんなにメインを張ってたフィールAGに自己改造するというシナリオまであるのに実装なし!
メインシナリオは完結こそしているものの、ソシャゲが終わるというのはなんやかんやとそういうことなのかもしれません。

ただ、間違いなく、本作には本作にしかない魅力がありました。
駆け込みでメインシナリオを完走できて本当によかったと思います。
過去編で二度もifエンドをもらった女などはさすがに唯一無二なのでは……?

また、枝葉になるので触れるタイミングがなかったんですが、ケイティもめちゃくちゃ好きなキャラなんですよね。

悪戯大好きのバカガキ

ケイティは、レアリティでいうとRまたは☆3くらいの、要するにガチャを引けば「外れ」で出てくるようなキャラです。
本編では悪戯が大好きで、バカガキ特有の全能感に満ち溢れたキャラです。
と、これだけならまあよくいるキャラかな……という感じなのですが……

戦災孤児、ケイティ

過去編で戦災孤児であったことが描かれ、当時はトラウマから記憶障害まで患っていました。ケイティは8章においてケイトリンに引き取られ、その後主人公に引き取られ、至民に引き取られ、結果として立派なバカガキに成長するのです。
どう考えてもたっぷり愛情を受けて育ったとしか思えないバカガキに……!

というわけで、ケイティがバカガキっぷりを発揮するたびに涙が溢れそうになります。よくぞそこまで育った……!!

ケイティ…………

ここでいう「親」とは里親のことなのだと思います。
めちゃくちゃ可愛がられている……!!

ヒーローのことは誰が守るのか?

それだけでなく、熱い側面もあります。主人公に守られていたケイティは、幼いながらに「では主人公のことは誰が守ってくれるのか?」という点に気づくのです。

そして6年後

正直、幼女を兵器改造するんじゃあない! という気持ちもありましたが、ここまで熱いシーンを見せられてはね……。ケイティは立派に成長したのだよ。

さて、本作においては「戦時カウンセリング」もたびたびテーマとなっています。イベントシナリオ「運命の向こう側へ」ではそういった救援部隊が主人公となった話が描かれていたほどです。このころからある意味で「戦後」の話をしていたわけですね。
間違いなく重要で意義深い仕事ですが、軽視されやすい仕事にスポットを当てて戦争の悲惨さを描いています。

運命の向こう側へ

ちゃんとしている……!

おい! NIKKE! 聞いてるのか! お前に言ってるんだぞ! バニー部隊とか実装してる場合じゃない!!



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