無題
年が明けてから友人に旅行に誘われることが多かったのでホイホイ着いて行ってたら、アホほど金がなくなった。
霞でも食べるように…とまでは行かないが、それなりに食費を削っていて思ったのは腹を満たせる量の無味無臭のゼリーくらい、無料で配ってくれてもいいのにという考えだ。勿論それは一時の感情で、そんなディストピア社会に生きている自分の姿を想像したくもないが。
今日は会社の昼休みに、隣の同僚がカフェイン剤の恐ろしさについて話していた。同僚曰く、普通に飲料水からカフェインを摂取するよりも直接胃に成分が溶け出す関係上、中毒症状に陥りやすいらしい。事の真偽は知らないが、納得感の高い話ではある。
ぼくは「こわいねー」と生返事を返しながら、いつも通り鞄からカフェイン剤を取り出して胃に流し込んだ。
ウィリアム・ギブスンの描くディストピア社会ですら、登場人物は本物のコーヒーを飲んでいるというのに、ぼくは今日も中毒性の高いらしいコーヒーモドキを口にしている。
でも、そんなこと言ったって、缶コーヒーを買うお金もないんだから、仕方がないじゃないか。