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懐かしくて新しい「ブルーシャトウ」

夏休みもまもなく終わり。小中学生の子供たちは手つかずの宿題を前にあせっているころかも……と思いきや、イマドキの子供たちは「すぐに終わらせる」「計画的にコツコツ進める」派が多いのだとか。

夏休みにあわせて全国各地でさまざまなイベントが開かれ、自由研究のテーマを求めて親子連れが押し寄せる風景もおなじみになりました。

人気コンテンツのひとつが「城めぐり」。なにしろ、土塁や堀を掘っただけの要塞なども含めれば全国に残るお城は数千とも。空前の歴史ブームのなかで町おこしの一環として整備に乗り出す自治体も多いようです。

お城や歴史についてのイベントや講演会などの情報を掲載する専門のサイト(「攻城団」「城びと」)もあり、覗いてみると、毎週どこかでお城に関するイベントが行なわれているのがわかります。

大盛況だった「お城フェス 大阪」(2022年8月12日~14日)の初日レポートをお城インスタグラマーkaoriさんがしているyoutube動画です。お城ファンにはたまらない「御城印」がたくさんでてきます。

歴史ブームから“城ガール”も登場

私も城めぐりが好きで、地方出張のときは必ずチェックしています。城めぐりの楽しみ方は人それぞれですが、私のこだわりは「現存天守」です。

日本の城(江戸時代以前に建築された城郭)は、明治の廃城令による取り壊しや戦火による焼失などもあり、築城されたときの状態で残っているのはごくわずかしかありません。復元された城の大半はコンクリート造なのです。

とりわけ、お城のシンボルである「天守」が現存するのは12、いずれも国宝か重要文化財になっています。

・国宝=松本城、犬山城、彦根城、姫路城、松江城
・重要文化財=弘前城、備中松山城、丸岡城、丸亀城、伊予松山城、宇和島城、高知城

丸岡城(福井県)を除くすべての城を訪ねました。同じ福井県にある越前大野城は訪ねており、どういうわけか丸岡城には縁がありません。

歴史ブームとよくいわれますが、昔からありました。昨今の特徴は、若い女性──歴史好きの“歴女”が増えたこと。いまや刀剣好きの“刀剣女子”、お城が好きな“城ガール”へと細分化されているそうな。

日本史や歴史上の人物が好きな歴女に対し、城ガールの興味の対象はあくまでも「城郭」。城めぐりをしていると、確かにそんな女性に出会います。

世界遺産の姫路城。姫路へゆくたびに思うのは、際立つその存在感です。姫路城がなければ、失礼ながら、姫路市は平凡な地方都市にすぎません。

威風堂々とした城の容姿はもちろん、城にまつわる武勇伝や逸話、悲喜劇など、城ガールならずとも心ひかれるものがありますよね。

               (オカリナsunpoさんの「荒城の月」。)
さて、魅力満載のそんなお城を歌った曲はどんなものがあるかといえば、パッと思い浮かぶのが、

「荒城の月」
「古城」(三橋美智也)
「青葉城恋歌」(佐藤宗幸)
「白雲の城」(氷川きよし)

「青葉城恋歌」を除いて、大半は城の栄枯盛衰を歌っています。先に述べたように城の歴史を考えれば当然です。

有名なお城、たとえば、熊本城、姫路城、名古屋城などは、その名を冠したご当地ソングがあります。最新のものが「米子城あげそげソング」。

NHKのテレビ番組で「最強の城」として紹介されたのを受けて、地元の有志が制作。「さあのぼらいや」「あーなんてかんて言われんええながめ」など、米子城からの眺めの良さを思いっきり米子弁で歌っています。

曲名に城はないけど、私の好きな「芭蕉布」には、2番の歌詞に、

首里の古城は石だたみ
昔を偲ぶかたほとり
実れる芭蕉熟れていた
緑葉の下我した島沖縄♪

首里城が出てきます。一日も早い再建を祈るばかり。

昭和歌謡に続く「GS歌謡」

不思議なのは、お城ソングに関するネットのランキングに「ブルーシャトウ」(ジャッキー吉川とブルーコメッツ)」が出てないこと。

橋本淳・作詞、井上忠夫・作曲の「ブルー・シャトウ」は、グループサウンズ(GS)全盛の昭和42年(1967)に発表されるや大ヒット。その年の第9回レコード大賞に選ばれています。

歌いだしのところはいまでも諳じています。

森と泉にかこまれて
静かに眠る
ブルーブルー ブルーシャトウ♪

半世紀後のいまも記憶に鮮明に残っているのは、当時、学校で替え歌が流行っていたのです。

森と(ンカツ)泉に(ンニク)かこまれて(ンプラ)
静かに(ンジン)眠る(ンペン)♪

よっぽどこの替え歌が面白かったのでしょう。楽しい思い出として記憶に刻まれました。

          (独自の道をゆく宮村将広さん。無伴奏です)

パワフルなエレキギターの響きとともに登場してきたグループサウンズは衝撃的でした。が、専門家によれば「ブルー・シャトウ」のヒットは「ファとシを抜いた「四七(ヨナ)抜き短音階」の歌謡曲だったから。

作曲した井上忠夫は、ですから、後年、嘆いたそうな。

「新しい音楽をつくるつもりだったのに、結局は歌謡曲に飲み込まれてしまった」と、当時の悔いを口にしている。

(ウィキペディア)

ブルー・コメッツは「ブルーシャトウ」を出した同じ年、美空ひばりと組んで「真赤な太陽」を世に出しています。シンプルで覚えやすいメロディと歌詞、明るく歯切れのいいリズム。女王・美空ひばりの新しい魅力を開花させた名曲です。

懐かしくて、なおかつ新しい、昭和歌謡に続く「GS歌謡」。


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