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僕らの毎日に旅が戻ってきた

「僕らの毎日に旅が戻ってきた」

嵐の桜井翔、松本潤さんが呼びかけるJALのCMです。航空会社の販売促進キャンペーンではあるけれど、私たち庶民の実感でもあるでしょう。

蔓延防止法によって行動規制がかかっていた1年前を思えば、ようやく以前の日常生活が戻ってきた実感があります。「旅=自由」ですから。

残念ながら、Go To トラベルキャンペーン(全国旅行支援)の再開は見送りとなりましたが、県内旅行などを対象に都道府県がおこなう「県民割」に対する国の補助は8月末まで延長されました。

私も何回か利用したことがあるGo To トラベルキャンペーンのお得感は、旅への欲求を刺激すること間違いなし。コロナ禍で大打撃を受けた観光業の本格回復に欠かせない支援策ですから、一日も早い再開を願っております。 
さて、旅に出るときは必ず本を持っていきますが、若いころは浅見光彦シリーズが定番でした。2018年に死去した内田康夫さんの代表作です。

ルポライターの浅見光彦が全国各地で起きる難事件を解決する“旅情ミステリー”。私も全国各地へ出かけることが多かったので、移動の合間に読め、しかも、訪問する土地の歴史や伝説、方言、グルメなど「ガイドブックにはない現地情報」も教えてくれる、ありがたい存在でした。

かなり早い時期からの愛読者のひとりです。最初に読んだのは『高千穂伝説殺人事件』(1986年)。当時、国の重要無形民俗文化財である「高千穂神楽」を観るため高千穂へ行ったとき、駅の売店で見つけたのでした。

以来、30年余り。第1作の『後鳥羽伝説殺人事件』から最後の『孤道』(遺作)まで、47都道府県すべてをミステリーの舞台にした浅見光彦シリーズを楽しませてもらいました。“軽井沢のセンセイ”に感謝!

教科書にも載った「いい日旅立ち」

ところで、旅のお供に持っていく音楽なんてあるの? と思って、ネットを検索するとこんなサイトが。

いやはや、ここで紹介されている40曲のうちほとんど縁がありません。記憶に残っているものがないのです。2000年以降の楽曲が多いせいでしょう。

かろうじて「いい日旅立ち」(山口百恵)、「カントリーロード」(本名陽子)くらい。いずれも30年以上前の楽曲で、オカリナの定番曲でもあり、私も時々吹いています。

とりわけ、「いい日旅立ち」(作詞・作曲、谷村新司)は、聴いていると旅に出たくなる「旅うた」としては私のなかでダントツの名曲です。

1978年秋から始まった旧国鉄(JR)による旅行誘致キャンペーンのキャッチコピーで、同名の楽曲としてリリースされました。

当時、人気絶頂だった山口百恵さんが歌い、大ヒット。キャンペーンも成功し、いまも語り継がれる広告イベントです。

「いい日旅立ち」のタイトルにスポンサーである日本旅行(日旅)と日立製作所の社名を想起させる工夫が込められている、というのは有名な話。確かに、コピーライティングのセンスは脱帽するほかありません。

中学・高校の音楽教科書に掲載され、「日本の歌百選」(2006年)にも選ばれています。

歌いだしから旅への憧憬をかき立てられ、いまだ見ぬ美しい日本の風景を訪れたい気持ちにさせてくれます。

雪解け間近の北の空に向かい
過ぎ去りし日々の夢を 叫ぶ時
帰らぬ人達 熱い胸をよぎる
せめて今日から一人きり 旅に出る♪

サビのところ(ああ/日本のどこかに/私を待ってる人がいる)も、オカリナを吹いていると気分がノッてきます。

「いい日旅立ち」は2003年にJR西日本の旅行誘致キャンペーン(ディスカバー・ウェスト)のテーマソングとしてリメイクされた際、谷村さん自身の手により全面的に差し替えられました。歌手は鬼束ちひろさん。

瀬戸内海をイメージした歌詞になっています。たとえば、一番の冒頭。

遥かなしまなみ 錆色の凪の海
セピアの雲は流れて どこへ行く♪

そういえば、テレビCMでしまなみ海道の映像とともにこの歌が流れていたのを覚えています。

                (新しく見つけたみすずオカリナさん)

私の楽譜ファイルには「いい日旅立ち」のほかに、旅へ誘う「旅うた」が2曲入っています。

「遠くへいきたい」(作詞・永六輔、作曲・中村八大、1962年)
「岬めぐり」(作詞・山上路夫、作曲・山本厚太郎、1974年)

旅に誘う「遠くへいきたい」

「遠くへいきたい」は1970年11月にスタート、現在も日本テレビ系列で日曜早朝に放映されている紀行番組のテーマ曲。昨年8月に亡くなったジェリー藤尾さんの代表曲ですね。

知らない街を 歩いてみたい
どこか遠くへ 行きたい
知らない海を ながめていたい
どこか遠くへ 行きたい
遠い街 遠い海
夢はるか 一人旅♪

これほど旅への衝動をみごとに表現した歌はないでしょう。多くの人が歌っていますが、やはり、ジェリー藤尾さんの錆びた歌声が好きです。

          (最近のお気に入り、ばあびbarbiさんのオカリナ)

「岬めぐり」は、日本におけるコミックソングの代表作といわれる「走れコウタロー」(1970年)に続く山本コウタローさんの大ヒット曲です。

岬をまわるバスツアーで傷心旅行をしている男子の姿を描いています。歌詞の内容というより、メロディ、リズムがとにかく軽やかでノリがいいのが気に入っています。オカリナとの相性もいいです。

(オカリナあーちゃんさん。同じフォーカリンクACを使用されています)

この文章を書いている7月15日、山本コウタローさんの訃報が入ってきました。ご冥福を祈ります。

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