「船頭さん」が教えてくれる
若いころは何とも思わなかったけど、最近は「敬老の日」が近づくと厳粛な気分になります。古希を過ぎて元気に日々を送れていることが感謝です。
国のほうではいま、高齢者の定義をこれまでの65歳以上から70歳以上に引き上げる議論が持ち上がっているそうな。
元気なシニアが増えましたからね。国の思惑はともかく見直しは当然でしょう。
老人ホームなどで慰問コンサートをしている知り合いの女性によれば、童謡「船頭さん」を歌うと必ずクスクス笑い、時には爆笑が起きると。歌い出しから、
村の渡しの 船頭さんは
今年六十の お爺さん♪
「船頭さん」(武内俊子作詞、河村光陽作曲)は、昭和16年(1941年)に発表され、戦後も相当の期間よく歌われました。昭和27年生まれの私もよく知っています。
この歌が作られたころ、60歳の男性は「おじいさん」と呼ばれていたんですね。いまや60歳の男性は元気な「働き盛り」。先の老人ホームでの笑いは、そのズレから生まれたものでしょう。
人生100年の時代。60代、70代は決して「人生の黄昏時」ではなく、ましてや「余生」などではありません。新たに始まる第2の人生、と私は考えています。
フォレスタ 「船頭さん」(2010年) (youtube.com)
(「船頭さん」のオカリナ演奏は見当たらず)
もちろん、健康という土台があってこそ。平均寿命世界一といっても健康寿命(介護の必要がない)は男性72歳、女性75歳。ピンピンコロリを目指すなら生活習慣の見直しや体力づくりは必須でしょう。
「船頭さん」にはこの点でもヒントをくれています。
年はとっても お船をこぐ時は
元気いっぱい 櫓がしなる
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ♪
船頭の〝お爺さん〟は巧まずして体を鍛えています。素晴らしい。より重要なのは喜んでやっていることです。
歌詞にはありませんが、村の寄り合いからわずかな報酬が出ているのかもしれません。でも、それ以上に大きいのは、村の人々から感謝されていること。
川はきらきら さざなみ小波
渡すにこにこ お爺さん
みんなにこにこ ゆれゆれ渡る
どうも御苦労さんと いって渡る
ソレ ギッチラギッチラ ギッチラコ♪
3番の歌詞です。「人の役に立つこと」「人に必要とされること」は、生きがいの重要な要素でしょう。
私はいま、長女とのふたり暮らしですが、常々、こう言っています。
「年寄りは(敬えど)こき使え」
彼女は素直にその言葉に従い、夕飯の準備やゴミ出し、税の納付、家の修繕
などいろいろと指示をしてきますが、私は無条件で即座に行動に移します。
体が動くうちはこのスタイルを崩すつもりはありません。