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検査の基本と新コロと(前編)

 【イントロ】

 一旦不安がすこし緩んだ今だからこそ、伝えたいことがあります。

 新型コロナのPCR検査について。大半の方には2月の時点で、やりすぎはよくない!と決着がついていても、世間では未だにPCRは希望者全員に!という人も少なくないようです。両者には未だに超えがたい溝があります。

 今回長いです。なので前・後編に分けます。もしかすると前・中・後編の3つに分けるかも。

 【認知的不協和と陰謀論】

 「希望者全員に!」という数人と、Twitterで真面目にやりとりをさせていただく中で、1つ気づいたことがあります。私も含めた医者の言う「PCR検査をしすぎるのは良くない論」は陰謀だと言われるんですよ。本気で驚きました。凍てつく波動を食らった状態。でもむこうは本気でそう考えている。

 そしてもしかしてと思ったのがこれ。

「相手の考えが理解できない時、陰謀のオブラートに包んで嚥下する」

 この力技に認知的不協和っぽさを感じるんです。コロナ禍で不安が高まって、並び立たない複数の事象があった時に、間に陰謀論を噛ませると大抵のことはスルッと嚥下できてしまうのではないかと。

★PCRを自由に受けたい人の頭の中

 ●「自分は不安だ。PCR検査を受けたい」←これは現実
 ●「医者は病院に殺到するなと言う」←これも現実
 ●「病院は患者を拒まない」←平時ならほぼ正しい

 この3つが繋がらない。すると。

 自分は感染したくない(うんわかる)
  →医者も感染したくない(それはそう)
   →だから拒んでる(はい??)
    →そうかこれは医者の陰謀だ!

      ↓

 結論「医者が結託して受診拒否してる」

 (´・ω・`)ゼンゼンチガウ

 違うのに、これで一応、PCR検査を自由に受けたい人の不協和は解消されちゃう。

 実際には、医者は各々が勝手に医学と統計学の知識を使って同じ結論に達しただけです。医学も統計学も科学だから、1+1=2がみんな同じになるように、基本的に答えは一緒になります。だから純粋に自分の知識と発信力を使って、国民の間のCOVID-19の感染爆発を防ごうとしました。

 でも「不安に翻弄されて聞きたいことしか聞こえない」人は、認知的不協和解消で陰謀論に飛びついてしまいます。そして不安が去るか、決定的な証拠を見せられるまでは耳を貸してくれません。


 これを医者側の陣営から見ると、「科学を元にした至極当たり前の結論」を説明しても理解されない・・・のが理解できないことになります。「理解できるはず」&「理解されない」これもまた認知的不協和。

 そこに、医者の一部には自分のクリニックへの利益誘導のために検査を推奨する人がいた(状況証拠はたくさんある)し、その目的でテレビに出まくった挙げ句に、政党やイデオロギーとガッツリ結びついているのも見てしまった。

 でも私がTLでインタビューした限りは、PCR礼賛派の人は個人で判断して日本を批判してました。批判する点もバラバラだし崇める国もバラバラ。○先生とか、その方面の政党やイデオロギーとは関連してなさそう。

 つまりみんなが心配してた○先生の「売らんかな」はちゃんと阻止できた可能性は高いです。なにせ彼らの買った検査キットは売れ残っててたたき売りされてますし、まごは公的サービスに食い込もうと必死です。

 なのでそういう陰謀?はあまり影響してはなくて、お互いに陰謀論を認知的不協和解消に使っている印象。#個人の感想です

 でやっと本題へ。・・・長くてすまんです。


【医学的な検査の基本】

 ここで一旦、新型コロナは完全に忘れてください。完全にですよ!

 普段の病院などで行われる医学的な検査には、大きく分けて2つの目的があります。多少の誤解を招くかも知れませんが、ざっくり行きます。

 いらすと側の都合で足りない検査も多いことをご了承ください。というより、いらすとやだけでこれだけ揃うことが異常な気もしつつw

検査

 左側のスクリーニング検査は、元々安くて手軽だから、多くの人を対象にさばくキャパがあります。

 対する右側の精密検査は、元々費用も時間もかかるからさばける人数に限界があるので、病気の人を対象にして必要な人だけにやらないといけません。

 表にまとめるとこんな感じです。

検査色々


 ここで注目。CTもPCR検査も、右側の精密検査です。元々希望者全員にやるには、時間もお金も足りないし、高い専門性を有する医療従事者も足りないです。

 なので、普段から精密検査へのアクセスには医者が立ちふさがり、検査をすべきかどうかのマネジメントをしています。医者の関所は二段構えになっています。

 患者 → 臨床部門の医師 → 検査部門の医師(+技師) → 検査

 以上は国民の健康を維持するために「行政側の負担金を使って」行われる検査です。つまり、医師は不要な検査をブロックすることで、行政のお金という共有財産を守ってる、とも言えます。

 ここで話を複雑にしているのが、人間ドックです。健康だけど不安な人が自分で大金を払って、本来精密検査で行う検査も含めて行うものですね。つまり

「高額な自己負担金を払える時」
「医療リソースが余ってる時」
「多少の侵襲も了解済み」

・・・なら、本来は精密検査に入るものを、健康な人にやっても良いということです。ハードルは多い上に高いですが。

 さて。ここまで見れば、COVID-19は関係なく「不安な人全員にPCR検査しろ!」は無理であることが解るはずです。

 行政負担で医療リソースも逼迫してるなかでやったら、行政のお財布は空になり、医療現場は確実にパンクしますからね。


 ここにコロナ禍到来。(続く)

※今回あえて超音波検査や消化管バリウム検査を入れてません。これらの検査はスクリーニングにも精密検査にも使えるので、話が複雑になるからです。お赦しを。


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