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【NZ】ニュージーランド地理学①:基本的なこと

ニュージーランドのあれこれを調べていて、少し情報が集まったので整理します。基本的な事柄です。


1.ニュージーランドの国土の概要

南半球に位置し、オーストラリアの南東方にあるニュージーランドですが、オーストラリア大陸からの距離は約2,250kmということで、大陸から比較的離れたところにある島国です。2,250kmという距離は、日本でいえば北海道の知床岬から、鹿児島の奄美大島までの距離に相当しますから、結構離れているんだなという印象があります。

国土の面積は約26.8万㎢ということで、日本(約38万㎢)の3/4程度ですが、人口は少なく約520万人(2023年12月)で日本(約1.25億人)の1/24程度しかいません。日本と比較したときに、面積はさほど変わらないが人口はなぜ少ないのか?という疑問が湧きますが、きっと理由があるはずです。

国土は全体的に山がちで、その姿は日本と通ずる部分があるように思います。最高峰はマウントクック(3,724m)で、富士山の標高(3,776m)とも近いです。マウントクックは近年に標高が低下していることが確認されているそうで、かつてはさらに富士山に近い標高だったかもしれません。標高は類似していますが、その山容は異なっており、富士山が独立峰であるのに対し、マウントクックはサザンアルプス山脈を構成する1つの山であります。山岳地域の形成も面白いトピックスです。

オーストラリア大陸の東南2,250kmに位置するニュージーランドは、北島と南島のふたつの大きな島と、周辺の島々から成る。環太平洋造山帯の一部に属し、国土の約4分の3が海抜200m以上の「山国」である。
ニュージーランドは、ポリネシア文化を受け継いだマオリ人が10世紀後半に発見した、1642年オランダ人タスマンによるヨーロッパ人の初渡来、1769年イギリス人クックによる探検を経て、1840年イギリスの直轄植民地となった。その後、1907年にイギリス連邦自治領となった後、1947年、イギリス連邦の1国として独立した。
人口は、2012年現在約444万人であり、その地域別内訳は、北島が約339万人、南島が約104万人となっている(2012年ニュージーランド統計局推計)。ニュージーランド国民の民族構成は、ヨーロッパ系56.8%、アジア系8%、先住民族マオリ7.4%、南太平洋諸島系4.6%、混血9.7%、その他13.7%となっている(2006年国勢調査)。

国土交通省国土政策局 各国の国土政策の概要

2. 羊の国

ニュージーランドを中学や高校の地理で学んだ記憶であるのは(オセアニア地誌ですかね)、人間より羊の数が多い国だ、ということです。先ほど述べたとおり、人間の数は520万人程度ですが、年々増加しています。これに対して羊の数は、近年は減少傾向が著しく、どんどん減っていっているようです。それでも2000万頭以上はいるようですから、まだまだ羊の国ではあるようです。しかしなぜ羊は減少していっているのでしょう?

人口の推移:Stats NZ(ニュージーランド統計局)より
羊と人の人口の推移:Stats NZ(ニュージーランド統計局)より

3. 居住地域と気候・地形

ニュージーランド情報局が提供する建物の外周線データをGISで表示してみました。そうするとニュージーランドの国土の形が浮かび上がってきます。すなわち、国土の全域に人々が居住していることを意味します。

当然ながら建物の密度には差があり、南北で比較すれば北島に集中しており、また南島では島の中央は少なく山脈の存在を窺い知ることができます。

NZ Building Outlines Lifecycle:Toitu Te Whenua(ニュージーランド情報局)より

前回の記事で紹介した地形データに建物データを重ねてみると、限られた平地に人々が集まって住んでいることは一目瞭然です。こういうところも日本と似た住環境スタイルかなあと想像します。

地形データとの比較

居住しやすさの指標は地形のみならず、気候ももちろん影響してくるので、気候値を調べてみました。ニュージーランド国立大気水圏研究所が30年平均値を見やすく整理していたのでそのまま引用させていただいています。高水量の分布は明瞭な地域性があり、特に南島では顕著ですが脊梁山脈の東西で大幅に降水量が異なっているようです。
ニュージーランドの緯度帯は日本と同等ですから、偏西風が卓越する場と思われ、風上側の北西斜面で降水量が多く、風下の南東斜面では降水量が少なくなっているものと推察されます。わずか100kmの水平距離でありながら、西側では4000mmを超える年間降水量があるのに対し、東側では500mmにも満たないというドラスティックな地域性、面白いですね。

年降水量:NIWAより

年平均気温は10~14℃程度の範囲が多いでしょうか。近年の東京が16~17℃、札幌が9~10℃程度なので、北海道に近い気温と考えてよさそうです。

年平均気温:NIWAより

日照時間も住みやすさの大事な指標。降水量の多い地域では日照時間は少なく、1300時間に満たないところもありますが、2300時間を超える地域もあり、大きな地域性があるようです。全体としては1700~2000時間程度の範囲が多いでしょうか。
日本では太平洋側を中心に軒並み2000時間以上、日本海側でも1700時間以上はあるようで、やはり似たりよったりな部分はありますがニュージーランドの方が地域性が強いような印象を受けます。

年合計日照時間:NIWAより

4. BBQ予報

ニュージーランドの気象予報は、MetServiceというサイトで確認することができます。

ちょっと面白いなと思ったのが、天気や気温の予報と同列で、"BBQ Forecast"があることです。当日から2日後まで、バーベキューをするのに適した天気なの?という点に着目して予報してくれているようです。予報は3段階で、"Choice" "Hmmmm" "Yeah, nah"で表示されていました。ニュージーランド英語のスラングらしく、「いいね!」「う~ん」「ダメ」みたいな感じなんでしょう。雨が降らず暖かく風が穏やかならChoice、雨が降って寒く風が強いならYeah, nah (=Yes, but no)ということのようです。

日本の気象予報でも、たとえばウェザーニューズではいろいろな行楽予報(いまの時期だったら、紅葉とかですかね)を出していますが、似たような取り組みと思いました。あまりイメージがなかったのですが、それだけニュージーランドの人々にとって、BBQが身近なものだということでしょう。調べてみると「いたるところに”バーベキューのグリル台”がある」とありますから、普段から楽しんでいるんしょうね。いいなあ!

ある日のBBQ予報:MetServiceより
Choice
Hmmmm
Yeah, nah

おわりに

ニュージーランドの統計などを見ながら、日本と似ているところ・違うところを整理することができました。いくつか掘り下げてみたいトピックスも見つかったので、また調べてまとめてみたいと思います!

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読んでいただきありがとうございます!

参考文献・サイト

  1. ニュージーランド情報局

  2. ニュージーランド統計局

  3. NIWA(ニュージーランド国立大気水圏研究所)

  4. MetService(ニュージーランド気象庁)

  5. ニュージーランドワインコラム 第149回コラム(Dec/2014)

  6. Jandals Life 【ニュージーランド英語】日常でよく聞く英語・スラング集

  7. 外務省 ニュージーランド基礎データ

  8. 国土交通省国土政策局 各国の国土政策の概要 ニュージーランド

  9. AFP BBNews ニュージーランド最高峰マウントクック、標高が30メートル低下


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