見出し画像

Project siranui episode 4


入札戦略診断機能のリリース

 当社の運用支援システム”siranui”(シラヌイ)は1月より(β版ではありますが)入札戦略診断機能をリリースしました。

 この機能は、特に目標コンバージョン単価が達成できていないアカウントやキャンペーンにおいて、どの戦略で、どのような設定をすれば、またどのように調整していけば、目標としているコンバージョン単価を達成できるかを診断する機能です。(現状はコンバージョン単価のみ対応、順次、費用対効果等にも対応していきます。)

 広告管理画面においても推奨のコンバージョン単価や日予算の設定など様々な推奨設定が表示されますが、本機能はこれまで当社が広告主のアカウントを運用する中で培ってきたノウハウに基づく機能です。

 そもそも広告プラットフォーム自体は、広告主が目標とするコンバージョンをどのくらいの単価で取るのが適切かという観点で推奨値を算出しているのではなく、あくまでこれまでの運用に基づいて推奨値を算出しているため、初動でどのような機械学習をしたかによって推奨値は変わります。

 パフォーマンスの最大化と最適化は、いかにスピーディに目標とするコンバージョン単価を実現し、件数を増加させるフェーズに乗せるかが重要なカギになると当社は考えており、この入札戦略診断機能はその実現をサポートする機能です。

目標値を達成できない根本的な理由

 これは過去からある問題ではありますが、現状の自動入札は目標とする単価を設定すれば瞬時に目標単価で獲得がどんどん進む、という理想的な動きはしてくれません。それは運用型広告がオークション型という、競争原理が働く、仕組みであるということもありますが、前から申し上げている通り、数式上、pCVR:予測コンバージョン率が関わっていることがその大きな要因です。

 pCVRは検索クエリ‐広告クリエーティブごとに算出され、過去のコンバージョン実績から算出されるコンバージョン率に、コンバージョンデータが保持しているシグナルに基づく増分コンバージョン率を加算して算出されます。(もちろんその逆もあり得る。)そのため、コンバージョンに至った検索クエリやその件数が少ない場合、pCVRの算出精度が低く、算出された上限入札単価が低いために本来コンバージョンが獲得できるオークションにおいても上位掲載ができないなどの理由でコンバージョンが獲得できず、コンバージョン単価が目標値を上回ってしまうと考えられます。逆にpCVRの算出精度によりコスト過多になり、目標値を達成できないことも(稀ですが)あるでしょう。※2週間前のCVRが上に跳ねている場合など。

入札の概念とコンバージョン最大化

 広告を運用していても、オークションへの参加や入札自体は目に見えるものではないため、俯瞰的にアカウント内で何が起こっているかはなかなかイメージがつかないかもしれませんが、入札には深度(タテ)と頻度(ヨコ)の概念が存在します。深度とは、ユーザーの検索に対してオークションへ参加する際に算出される上限入札単価です。頻度とは、参加するオークションの検索クエリのバリエーションや24時間の中で1時間毎に調整されているオークションへの参加頻度を指します。

入札頻度と入札深度

 目標コンバージョン単価戦略の場合、深度(=上限入札単価)は上記にも記載した通り、目標値とpCVRによって算出されます。頻度は、日予算による1時間ごとのオークション参加頻度や目標値内でコンバージョン獲得可能と推測される(=pCVRが高い)オークションの頻度によって調整されます。

 一方、コンバージョン最大化戦略は、日予算に対してコンバージョン数を最大化する入札戦略であり、コンバージョンの確度(=pCVR)によって上限入札単価が自動調整される仕様です。目標値を設定していないため、上限入札単価が目標値から算出されるわけではありません。これは運用実績に基づく推測になりますが、配信時間内でのコスト消化およびコンバージョン獲得の傾向などを考慮しながら、コンバージョン確度によって入札単価の強弱を調整していると考えられます。日予算を過去のコスト消化額に対して多めからギリギリの額に設定すると、表示回数が減少し、クリック率およびコンバージョン率が上昇する傾向にあるのは、コスト消化額を日予算内に抑える調整の中で、コンバージョン確度による上限入札単価の強弱を極端に調整しているためであると考えています。目標コンバージョン単価との差としては、上限入札単価の強弱を極端に調整しているため、オークションに参加する検索クエリの幅を狭め、コンバージョン確度が高い検索クエリに絞っている傾向があります。上限入札単価に対する制限がないため、競合他社の強化入札に対する調整は、目標コンバージョン単価戦略に比べてコンバージョン最大化戦略のほうが早く、柔軟性があります。

 記憶が正しければ、日予算が最大2倍まで消化する仕様になったのは、コンバージョン最大化戦略がリリースされて程なくだったと思いますが、これはコンバージョン確度の高いオークションが増加した場合にコンバージョン数の増加が期待できる仕様変更であり、設定の仕方によってコンバージョン単価を大幅に低減し、コンバージョン数を増加させることができます。

 このように広告を掲載して結果的に得られたコンバージョン単価が適正であるとは限らず、入札戦略の特性や設定と調整により目標とするコンバージョンのシグナルを学習させることにより、目標値の調整とコンバージョン数の増加を実現することが可能です。

 今回リリースした入札戦略診断機能は、冒頭でも述べた通り、コンバージョン単価の目標値を達成できていない広告アカウントに関して、まずは目標値を達成と安定化を実現し、コンバージョン件数の増加フェーズに移行するための一助となると考えており、本機能の利用の増加とともにさらなる診断精度の改善を行ってまいります。

提供機能一覧(開発中の機能を含む)とご利用料金

 siranuiは運用型広告におけるパフォーマンス改善を支援するシステムです。本日紹介した入札戦略診断機能以外にもクリエーティブ改善に関する機能やターゲティング改善に関する機能(開発中)を搭載しています。

クリエーティブ|Creatives
 作成・編集
  -新規クリエーティブ作成
 -既存クリエーティブ編集
 分析・改善
 -品質スコア分析
 -文字列解析
 -広告の改善効果
 ‐広告診断/訴求要素検証(開発中)
バジェット&ビッディング|Budget & Bidding
 
管理・予測
  -予算管理
 -着地見込み予測
 -入札戦略診断(開発中)
 分析・最適化(開発中)
 -パフォーマンス分析・改善サジェスト(開発中)
 -曜日別、週別、月別費用対効果分析・コストアロケーション機能(開発   中)
ターゲティング|Targeting(開発中)
 
作成・編集
 分析・予測
  -定量分析(日別、週別、月別キーワード、クエリ数×表示回数、クリック、CV)
 -文字列解析(キーワード、クエリ × 表示回数、クリック、CV)
 -オーディエンス分析(新規・既存)オーディエンス別効果予測
※開発中の機能は予告なく変更される可能性があります。

レギュラープラン
課題の抽出から改善施策の実施まで
月額:広告アカウントコストの3%、6ヶ月契約(利用開始月は含まず)
※利用開始月は無償で利用可能(テスト導入後、解除可)
※導入アカウントの合計コストに対するボリュームディスカウントあり

ライトプラン(レギュラープランの機能制限版)
まずは課題の抽出と把握から
月額:5.5万円(税込)、6ヶ月契約(無償期間なし)
※2月末までのお申し込み分まで
※3月以降のお申込みは、月額:11万円(税込)、6ヶ月契約となります。
※入札戦略診断機能はご利用できません。

設計者略歴

米満 智之
2002年よりデジタルマーケティング事業に従事し、大手2社での運用型広告事業の経験を基に2013年グーグル合同会社に入社、アカウント再構築施策である"Project hagakure"や"GORIN Project"を企画推進。2018年3月、株式会社unknown設立。
当社設立後もグーグル広告のシステムおよびプロダクトの仕様に基づいたアカウント分析及び改善施策の立案や大型アカウントの運用業務をサービスとして提供し、自動化を前提とした効率的な運用業務を遂行するために今回リリースするsiranuiの前身となる社内システムを2018年より構築。運用型広告のパフォーマンスの最大化および最適化と業務効率の改善を市場全体に浸透させることが当社の使命と考えております。

お問い合わせ
電話:03-5562-8823
ウェブサイト:https://un-known.co.jp/
info@un-known.co.jp



 


いいなと思ったら応援しよう!

Tomoyuki Yonemitsu / un-known inc.
株式会社アンノウンとは、”葉隠” 葉陰に隠れて見えない=まだ知られていない、”はやい、うまい、やすい”を生み出していくために設立した会社です。各種アドプラットフォームの運用業務、コンサルティング業務、データ分析に基づくクリエーティブ制作やデジタル人材の育成業務を行っております。