Unlocking the power of Google Ads 04
前回はGoogle Adsのオークションの流れと仕組みに基づくアカウント構造について説明しました。04では広告を配信するにあたって設定が必要な項目について、主にパフォーマンスに影響し得るところを説明したのち、実際の運用業務を整理して説明していきます。
キャンペーン設定および広告グループ設定
・キャンペーン
・キャンペーン日予算
ここではキャンペーンにおける1日あたりの予算を入力します。キャンペーン日予算が不足している場合、広告の配信は24時間続けることができません。ただしGoogle Adsのシステム自体は限られた日予算内でオークションに参加する機会を最大化する動きをしますので関連性を鑑みつつオークションの間引きを行います。そのためインプレッションおよびクリックが多く、消化コストが高いオークションに参加しなかった結果、キャンペーンのコンバージョン率が大きく上下動することがあります。この場合、過去の(特に過去14日間の)コンバージョン率から予測コンバージョン率を算出して稼働する自動入札機能を使うことは推奨されません。(クリック数最大化およびコンバージョン数最大化を除く)予測コンバージョン率にブレが生じるためです。
この状況からの脱却にはいくつかの方法があります。
・キャンペーン日予算を追加する。
・広告クリエーティブの改善によってコスト効率を改善する。
・クリック数最大化もしくはコンバージョン数最大化を利用する。
※最大化の戦略は予算を加味します。日予算内での件数最大化を目指すため、日予算によるインプレッションシェア損失率が減少します。ただし必ずしも0%になるとは限りません。
・ステータス
・キャンペーンタイプ
・入札戦略
・入札戦略タイプ
・ネットワーク
検索パートナーサイト / アドモブ / 動画広告パートナーサイトとスマートプライシング
検索連動型広告、ディスプレイ広告、動画広告には各々パートナーサイトが存在します。すべての広告プロダクトはすべてのオークションにおいて候補となった広告クリエーティブのクリック率やビュースルー率などを予測します。パートナーサイトにおいても同様にオークション×プレイスメント/オーディエンス毎に広告クリエーティブの予測値を算出します。過去にパートナーサイトに配信してあまりパフォーマンスがよくなかったという経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。しかしながらGoogle Adsにはスマートプライシングという機能が備わっています。スマートプライシングは、例えば検索連動型広告であればgoogle.comにおけるクリック単価とパートナーサイトにおけるパフォーマンスに大きな差が生まれた場合にパートナーサイトにおける上限クリック単価を抑える機能です。この機能が働いているにも関わらず、パートナーサイトにおけるパフォーマンスが思わしくない場合は広告の配信ボリュームに起因している可能性が高いため、アカウント構造をチェックする必要があります。
※Google Japan Hiroki Nakajimaさんのご指摘により一部修正を加えました。ご指摘、有難うございました。
・デリバリーメソッド
標準化 / 集中化
広告配信の仕方には、24時間において平均的に広告をオークションに参加させる標準化という方法とキャンペーン日予算に届かない限り、すべてのオークションに広告を参加させる集中化という方法があります。特に予算消化必須案件などで利用されることの多い集中化配信ですが、この配信方法の場合、広告とターゲットとの関連性はすべて無視されます。逆に標準化の場合は、広告とターゲットの関連性を識別しながら、可能な限り24時間でキャンペーン日予算を消化させる配信を行います。そのためパフォーマンス案件において、特にマニュアル入札を行っている場合には標準化を選択し、予算消化必須案件でのみ集中化配信を利用してください。ただし極端に日予算が少ない場合は関連性を識別して(標準化で)配信を行っても24時間で平均的に配信することができず、広告の配信自体は止まることになります。また24時間配信ができたとしても各時間帯では予算によるインプレッション損失率が発生している場合があります。
※集中化配信は10月末に廃止されました。
・広告ローテーション
最適化する / 最適化しない
Google Adsでは広告グループに対して複数の広告クリエーティブを入稿することができます。ユーザーは同一のニーズをもっていても入力される検索語句の文字列は画一的ではありません。ユーザーが入力する様々な検索語句の文字列に対して視認性のよい広告を掲載するためには複数の広告クリエーティブが必要になります。それらの広告クリエーティブをどのように配信していくかを設定するのが広告配信設定であり、過去には4種類の配信設定がありました。
複数の広告クリエーティブにおいてどれが最も効果が良いかを見極めるための検証ではA/Bテストを実施します。おそらく広告クリエーティブを均等に配信し、クリック率が高いクリエーティブはどれかを決めるのではないでしょうか?しかしながらそれは各広告クリエーティブが均等に配信されるという前提があってのお話です。
Google Adsにおける広告配信設定の均等配信および無期限均等配信における“均等”とは広告クリエーティブにおけるインプレッションの均等配分を意味しているのではなく、オークションに参加する機会を均等配分することを意味しています。すなわちオークションに参加できてもインプレッションが出るかどうかは保証されていません。広告ランクが低ければ広告を露出することはできません。そのため均等配信を選んでも広告クリエーティブのテストにはならないのです。またGoogle Adsヘルプには均等配信および無期限均等配信に関して下記のように記されていました。
これはすなわち検索語句に対して均等に配信されたクリエーティブによっては広告ランクが低かったことで掲載順位の低下をもたらし、通常は順位が高ければ高いほどクリック率およびコンバージョン率は高い傾向があるため、クリック数およびコンバージョン数が減少する可能性があるということです。無論、広告ランクによっては広告自体が掲載されないこともあると考えられます。すなわち均等配信によってインプレッションが均等にならなかった理由は、オークションに参加した広告クリエーティブの広告ランクが低かったために広告を掲載できなかったためです。
統計学において複数の要素の中から一番良いものを特定していくための検証方法(A/B テスト)とは、均等配分テストだけではありません。Google Adsにおける最適化配信は、多腕バンディットテストというA/Bテストが用いられています。多腕バンディットテストとは、最初のテストで均等按分し、他よりも良い結果が出た方にその後の配分を寄せていく検証方法です。均等按分テストよりも統計的有意差が短期間で出やすく、いい結果に配分を寄せるので損失も少ないという特徴を持っています。Google Adsにおいては検索語句に対して最もクリック率が高い、クリック単価が最も安くなる広告クリエーティブにオークションへの参加機会を配分していくということになるのでコスト効率の面では均等按分で広告クリエーティブをオークションに参加させる方法より損失が少なくなります。
クリック最適化は、候補となり得る複数の広告クリエーティブが存在する場合に、検索連動型広告であれば検索語句(およびオーディエンス)に対して、ディスプレイ広告であればプレイスメント/オーディエンスに対して、最も予測クリック率が高い広告クリエーティブに対してオークションへの参加機会を割り当てる設定です。コンバージョン最適化は、候補となり得る複数の広告クリエーティブが存在する場合に、予測クリック率×予測コンバージョン率が最も高い広告クリエーティブに対してオークションへの参加機会を割り当てる設定です。
直近のプロダクトアップデートによって、これまでの4つの設定は、“最適化する”と“最適化しない”の2つに絞られ、“最適化する”を選択した場合、検索連動型広告においてはクリック最適化、ディスプレイ広告においてはクリック最適化もしくはコンバージョン最適化(どちらが採用されるかはGoogle Adsが判断)となります。逆に“最適化しない”を選択した場合、無期限均等配信の設定となります。
・キャンペーン開始日
・キャンペーン終了日
・言語
・配信エリア
・配信エリアターゲティング / 配信エリア除外ターゲティング
通常、配信エリアを限定する場合、配信しないエリアを除外する方法が推奨です。エリアが不明なユーザーもいるためです。
・広告スケジュール
・入札調整比
広告スケジュールを活用した入札調整比やその他の入札調整比はマニュアルおよび拡張入札単価の場合のみ調整され、自動入札戦略を適用している場合は無効になります。※スケジュールによるオンオフは可能です。
・デバイス
デバイスに対する入札調整比は、目標コンバージョン単価戦略を適用時に目標コンバージョン単価の調整比として用いられます。
・トラッキングテンプレート/カスタムパラメーター
運用業務
アカウント設計やキャンペーン、広告グループ設定、広告クリエーティブの入稿が終了すると広告配信を開始することができます。運用型広告が複雑な広告モデルと捉えられる要因の1つは、アカウントに対してどのような業務を行えば効果が改善するのかが分かりにくいことです。しかしながらGoogle Adsを含むすべての広告プラットフォームにおける基本的な機能は、Targeting、Bidding、Creativeの3つの領域に集約されます。またGoogle Adsにおいては、これら3つの領域に関して全て自動化していくことを念頭に開発が進められています。であれば運用業務は、3つの領域を自動化するためのステップを踏むということに他なりません。
Planning/Design(プランニング / デザイン)
上図の運用業務フローにおいてプランニング/デザインは初期設定業務および機械学習に対して初期値を与える業務に該当します。すべての業務は作成から検証を経て自動化されるため、プランニング/デザインは、検証業務を前提としたものになっている必要があります。また運用業務が効率化された状態とは、このシステムに与えるべき初期値を考える業務に時間を使える状態のことです。
Targeting(ターゲティング)
Google Adsにおける“Target”とは、広告を露出させるためのキーとなっているものを指します。仕組みの観点で言うならば広告の結果の戻し先であり、可視化された広告のパフォーマンスを細分化した1つ1つの要素になるものです。検索連動型広告であればターゲットキーワード、検索連動型リマーケティング広告であれば一つ一つのリマーケティングリスト、動的検索広告であれば自動ターゲット設定のタブから設定した条件に該当するURL群が要素です。
パフォーマンスによってそれらの要素=Targetに入札の変化を付けたり、関連性がないTargetについては削除および除外を加えることで広告の掲出を止めたりすることができます。ディスプレイ広告と動画広告はターゲティングによって広告が掲出されるプレイスメントが変化します。プレイスメントごとのパフォーマンスはプレイスメントレポートで確認することができ、関連性がないと思われるプレイスメントは除外することができます。
検索連動型広告
Creation(作成)
ターゲットキーワード / 除外キーワード
ターゲットキーワード
アカウント構築の際、運用業務の流れとして、まずはユーザーがどのような文字列を検索時に入力するかということを考えることになります。アカウントにキーワードとして追加した文字列が意図的にターゲティングしている文字列、ターゲットキーワードです。
では文字列をターゲットキーワードとして追加する意義とは何でしょうか?
それは入札とクリエーティブをターゲットキーワードレベルでコントロールできるということです。入札に関しては運用初期段階においてはマニュアル入札で調整しつつ、拡張クリック単価を用います。拡張クリック単価は、目標コンバージョン単価戦略と同様に検索語句に対する広告の予測コンバージョン率によって拡張幅を決めますが、サードパーティの自動入札ツールと併用している場合は、拡張入札したことによって変化するターゲットキーワードレベルの平均コンバージョン率を自動入札ツール側にGoogle Ads APIを通じて共有し、自動入札ツール側はターゲットキーワードレベルの平均コンバージョン率との比較から入札額の拡張幅を決定するため、ターゲットキーワードを追加すればするほど入札の精度が高まります。サードパーティの自動入札ツールを利用していない場合、拡張クリック単価はあくまで自動入札の検証機能であるため、コンバージョン数がある程度貯まった段階で目標コンバージョン単価戦略/目標費用対効果戦略(TargetCPA/TargetROAS)に移行します。その場合は広告クリエーティブと検索語句を1つのユニットとして入札を拡張させており、ターゲットキーワードのデータを用いて入札をしていません。となるとターゲットキーワードを追加する意義とはクリエーティブの部分のコントロールに絞られることになります。意図的にターゲティングしている文字列だからこそ、ユーザーが検索時に入力したそれらの文字列に対して視認性の高い広告クリエーティブを設定することでパフォーマンスを改善することができる、すなわちターゲットキーワードレベルで広告クリエーティブの問題点を視覚化し、改善するということがターゲットキーワードを追加することの意義となるのです。
広告を出稿すると検索語句レポートからどのような検索語句に対して広告が出たのかを確認することができ、そのままターゲットキーワードとして追加することができます。その場合のマッチタイプは部分一致(絞り込み部分一致でも問題ありません。)がデフォルトです。これは機械学習の観点からデータ量を多くすることが最適化するために適しているためです。逆に除外キーワードに関しては、こちらもデータ量の観点からマッチタイプは完全一致がデフォルトになっています。
除外キーワード(ネガティブキーワードと呼んだほうが機械学習の観点では正しい認識になるのかもしれない)
除外キーワードはアカウントおよびキャンペーン、広告グループに設定することができます。無論、はじめから意図的にターゲティングしない文字列を登録することで無駄なコストを削減する、抑制する意義もありますが、広告クリエーティブにおける関連性の学習の意義のほうが大きいのです。検索語句には、関連性の高いもの、低いもの、全く関連性のないものがあります。それらはアカウントにターゲットキーワードとして追加の上、広告を出稿してはじめて分かるものであり、ユーザーは運用されている方々が思われているほどキレイな検索語句ばかりで検索するわけではないので、関連性についてはあくまで数値で判断すべきなので検索語句レポートに出現している過去30日で検索数が多いクエリについてはすべて部分一致で追加し、パフォーマンスの低い文字列を完全一致で除外キーワードとして登録するのが、広告クリエーティブの関連性の学習という点においては最適な方法です。
Experiment(検証)
品質スコアが低い/検索ボリュームが小さい/推定入札金額(1ページ目)を下回る
広告を配信開始すると広告グループに追加したターゲットキーワードのステータスを確認することができます。ターゲットキーワードの文字列に対して広告クリエーティブ上の問題点があるキーワードおよび文字列とは何かを特定する際に品質スコアとともに確認すべきステータスは下記の3つのステータスです。
①ほとんど掲載されていない(品質スコアが低いため)
品質スコアが低いキーワードについてはその文字列に対して広告の視認性が悪いということを示しているため、そのステータスのキーワードを特定し、広告クリエーティブに含めることで改善する可能性があります。
また文字列が広告に含まれているにも関わらず、品質スコアが低いと評価されている場合、説明文に含まれている状態であればタイトルに含める、もしくは文章中央や右端に位置している場合は左寄りに持ってくることで改善する場合があります。
②推定入札金額(1ページ目)を下回る
推定入札金額(1ページ目)を下回るキーワードについては、文字通り上限クリック単価が低いという意味ですが、広告の予測クリック率が低いことによってクリック単価の効率が悪化した結果、推定入札金額(1ページ目)が上がっている場合も多く、品質スコアの低いキーワードに対する改善と同様、広告クリエーティブへの改善を加える必要があります。それらの改善の結果、クリック単価の効率が改善できれば、間接的に予算によるインプレッションシェア損失率の改善も可能です。
このステータスはキーワードレベルで入札金額を設定している場合に確認ができるステータスであり、自動入札機能(tCPA もしくはtROAS)を利用している場合には発生しません。自動入札は広告と検索語句のユニットに対して入札金額を決めているためです。
③検索ボリュームが少ない
検索ボリュームが少ないキーワードについては、検索数が1週間に5未満であることを示しており、このステータスは1週間に一度見直しが入ります。文字通りこのステータスの場合、ユーザーが検索していないということを意味しますが、キャンペーンや広告グループを細分化しすぎたために広告のインプレッションが少なく、広告の想定クリック率が計算できないような状態の場合、ターゲットキーワードが存在するにも関わらず、広告が露出しない場合もしくは他の広告が露出することで意図した広告にインプレッションがつかない場合があります。その結果、その広告クリエーティブが紐づく広告グループ配下のキーワードに対してインプレッションが付かない状態となり、1週間に5未満のインプレッションの場合に、このステータスとなることがあります。その場合はアカウント構造の見直しや広告カスタマイザーの利用により、分ける必要のない広告グループをまとめ、広告クリエーティブのインプレッションボリュームを担保することによって広告を露出させることが可能です。
Automation(自動化)
動的検索広告 / 検索連動型リマーケティング広告
検索連動型広告ではユーザーが検索時に入力する文字列に対してターゲティングする、すなわちターゲットキーワードを用いて検索語句に対して関連性の高い広告を配信する方法以外に、動的検索広告と検索連動型リマーケティング広告が存在します。
動的検索広告のターゲットはサイトコンテンツであり、検索連動型リマーケティング広告のターゲットはリマーケティングリストです。
動的検索広告(Dynamic Search Ads)
動的検索広告は広告主のウェブサイトにおけるコンテンツをターゲットとして利用し、ターゲットキーワード以外の検索語句に対して(ターゲットキーワードがすべて有効である場合)広告を露出させます。広告はあらかじめ設定された説明文1と2を用いて、見出しについてはコンテンツのHTMLから自動取得します。ショッピングサイトや人材関連のサイトなどで1つ1つの商品やサービスの階層においては、それらの商品やサービスが無尽蔵に増えていくことが想定されます。その場合、ターゲットキーワードの追加などが追いつかず、検索語句に対する視認性の良い広告の露出機会損失が起きてしまうため、あらかじめ設定した説明文とコンテンツのタイトルから取得した見出しで広告を生成することによって、広告と関連性が高く、ターゲットキーワードで追加していない検索語句の場合は、動的検索広告で広告を露出させることができます。買いたい商品や利用したいサービスが決まっているユーザー(=ウェブサイトの深い階層の情報を求めているユーザー)にとっては、ニーズと一致する広告が動的検索広告として出てくるため、この広告からコンバージョンに至りやすく、広告主にとってはクリック率が高く、獲得単価も安い傾向があるため、非常に有効な広告です。ターゲティングでは、URLの文字列を指定する、カテゴリを利用する、Page Feedを用いてURLに付与したカスタムラベルを指定する、などの方法が選べます。
検索連動型リマーケティング広告(Re-marketing List for Search Ads)
検索連動型リマーケティング広告はリマーケティングタグを利用してリマーケティングリストを生成し、そのリストをターゲットとして広告を掲出させます。一度サイトに来訪した、顕在化したニーズを持つユーザーに対して再度アプローチするための広告プロダクトです。リマーケティングリストがターゲットなのでコントロールできるレバーは、ビッディングとクリエーティブです。
リマーケティングタグはサイト内の全ページに設置するため、サイトの規模によっては大量のリマーケティングリストが生成されることになります。リマーケティングリストに対して広告グループを組むという考え方は間違いです。正しくはリストに対して配信すべき広告クリエーティブによってリストを紐付けるキャンペーン/広告グループを変える、です。リマーケティングリストは細分化されればされるほどリストのユーザー数は少なくなるため、広告クリエーティブのインプレッション量は少なくなります。そのため、カテゴリー×(CVRに差の出る)サイト階層で分け、階層が深いリストに関しては、1つ1つのコンテンツに対してのリストというよりはカテゴリで統合したほうがよいのです。過去、検索連動型広告における自動入札機能ではリーセンシーがシグナルとして加味されていなかったため、リマーケティングリストをリーセンシーで細分化する方法が見受けられましたが、現状ではシグナルとしてリーセンシーとリマーケティングリストの優先度が追加されていますので分ける必要はありません。また類似ユーザー機能はリマーケティングリストを種としてリストのユーザーと類似する新規ユーザーをターゲティングしますのでリストを過度に細分化した場合、類似ユーザー機能がうまく稼働しない可能性があります。
もう1つの注意点としてリマーケティングリスト間の除外設定があります。リスト除外は1度購入したユーザーに再度アプローチをしない場合などを除いては利用しません。サイトのトップページから深い階層へ到達したユーザーは経由したコンテンツのリマーケティングタグを踏んでいるため、各々のリストに追加されることになります。その場合、リストのユーザーが再度検索した場合には広告ランクが一番高い広告が掲出される事になりますが、それが意図していない広告であった場合にはリマーケティングリストに対して入札調整比をつけ、優先度を上げることができます。先述した通り、自動入札機能を利用している場合、過去のパフォーマンスによってリストの優先度も識別しますので入札調整比は必要ありません。
ターゲット設定では、“入札単価のみ”と“掲載先の絞り込みと入札”の2つが選べます。“入札単価のみ”の場合、リマーケティングリストのユーザーとリスト外のユーザーに対する広告クリエーティブは同一で、リストのユーザーに対して入札調整比により入札の強弱をつけることができます。“掲載先の絞り込みと入札単価”の場合は、入札単価の強弱をつけることはできますが、リマーケティングリストのユーザーに対してのみ広告が表示されます。過去においてはリストのユーザーに対して広告クリエーティブを変える場合、広告グループを分離する必要がありましたが、現状ではIF関数(後に詳述)を利用して、広告グループを分離することなく、ユーザーシグナルを識別することにより自動でリストのユーザーに対して広告クリエーティブを変えることができます。また広告バリエーションではユーザーシグナルを識別することによって広告クリエーティブの検証を実施することが可能です。そのため、初期段階においては“入札単価のみ”の設定で広告のインプレッションを確認し、充分なインプレッション量を確認の上、広告バリエーションで広告クリエーティブの検証、その後IF関数を利用して広告クリエーティブを変えるのが効果的かつ正しい改善ステップです。
ディスプレイ広告 / 動画広告
ディスプレイ広告/動画広告のターゲティングは、プレイスメント(枠)とオーディエンス(人)の2つに分類されます。
Creation(作成)
ターゲット設定
検索連動型広告ではユーザーのインテント(=意図)が非常に強いキーワードの文字列をターゲットとして利用しているのに対して、ディスプレイ広告/動画広告ではユーザーの興味関心や配信プレイスメントのコンテンツとの関連性からターゲティングをしていくことになります。検索連動型広告においてユーザーの検索語句を追加および除外することで広告クリエーティブの改善を加えたり、関連性の機械学習を促進するのと同様に、ディスプレイ広告や動画広告においてもターゲットのメンテナンスがユーザーと配信される広告との関連性を高めることになるということは言うまでもありません。
Experiment(検証)
ターゲットプレイスメント/ターゲットオーディエンス
ターゲットプレイスメント / 除外プレイスメント
広告配信のパフォーマンスを最大化するためにはまずはリーチの最大化が前提となるので広告主の広告配信の目的や配信するべきターゲット層に応じて可能な限り幅広いターゲティングをすることが求められます。ディスプレイ広告や動画広告においては配信されたプレイスメントごとに広告の掲載結果(プレイスメントレポート)を確認することができます。プレイスメントレポートにおいて平均クリック率を大幅に下回るプレイスメントは、広告の関連性において大きなズレが生じている可能性が高く、除外プレイスメントとして登録することが必要です。パフォーマンスの低いプレイスメントが特定のターゲティングによって生じていることが確認できている場合、それらのターゲティングを除外することが必要です。さらいにパフォーマンスを高めていく場合、現状設定されているターゲティングに追加のターゲティングを組み合わせることでよりターゲティングの精度を高めることができます。しかしながら広告の配信量が極端に少なくなった場合は、検索連動型広告と同様、予測クリック率の算出が困難になると思われるため注意が必要です。
Automation(自動化)
ディスプレイキャンペーンオプティマイザー(ディスプレイ広告)
ディスプレイ広告にはこれまでの配信の結果から広告が配信されるターゲットを拡張する機能を持っています。拡張機能には、保守的な拡張(Conservative)と積極的な拡張(Aggressive)の2種類があり、ディスプレイキャンペーンオプティマイザーとは積極的な拡張のことを指しています。自動入札機能と一緒に利用することでコンバージョン獲得数の増加を実現することができます。しかしながらこの機能自体は残存するものの、今後はBidding、Targeting、Creativeを自動化するSmart Display Campaignへ内包されていくことになると考えられます。
※ターゲットの拡張に関しては現状ではレバーによって拡張幅を調整できるようになり、ConservativeとAggressiveの選択ではなくなりました。
Bidding(ビッディング)
検索連動型広告/ディスプレイ広告
Google Adsの自動入札には下記の3つの特徴があります。
①オークションごとの自動入札単価調整
②検索語句単位(ディスプレイ広告はオークション単位)の順応型学習機能
③幅広いシグナルとシグナルの組み合わせに基づく分析
Creation-Experiment(作成-検証)
拡張クリック単価
拡張クリック単価は自動入札における検証の役割を持つ機能です。そもそもは旧コンバージョンオプティマイザー(Conversion Optimizer)の過去の稼働条件である、過去30日/15件以上のコンバージョン件数、を満たせないキャンペーンに対してコンバージョン件数の増加及び自動入札機能の検証を目的として生まれた機能です。Ver.1では50〜80%のトラフィックに対して−100〜+30%の拡張入札を行う仕様でした。50%のトラフィックに対して拡張入札を実施し、パフォーマンスが良かった場合、80%まで拡張入札を適用するトラフィックを拡げていました。拡張クリック単価は現状のコンバージョン獲得単価を保持しつつ、件数を増加させる入札を行う方式であるため、ほとんどのアカウントにおいて80%のトラフィックに対して拡張入札が適用されることになることもあり、Ver.2からは80%のトラフィックに対して、-100%〜拡張上限なしの拡張入札を行う仕様に変更されました。入札をプラスに拡張するかマイナスに拡張するかどうかは、検索語句に対して予測された広告のコンバージョン率が、広告の効果の戻し先であるキーワードの平均コンバージョン率よりも高いか低いかによって決まります。そのため、入札の精度を上げるためにはターゲティングするべき検索語句をすべてターゲットキーワードとして追加しておく必要があります。
Automation(自動化)
目標コンバージョン単価(Target CPA) / 目標費用対効果(Target ROAS) / クリック数最大化 / コンバージョン数最大化 / サードパーティ自動入札ツール
Google Adsの運用業務において、入札の自動化は業務工数を削減をもたらすと同時に、複雑化するユーザーのデバイスを跨いだアクションを加味した入札など、人間のマニュアル入札では不可能な入札手法を実現する上で必要不可欠な機能となってきています。入札に関連する業務の作成から検証、そして自動化へのプロセスをどれだけ効率的に、かつ正しく移行できるかによって運用業務工数は大きく変わり、クリエーティブ作成と検証やマーケティングデータの分析や戦略立案などの業務に時間をかけることができます。
目標コンバージョン単価 / 目標費用対効果(Target CPA / Target ROAS)
目標コンバージョン単価戦略(Target CPA)は、ユーザーの入力した検索語句に対して、シグナルの分析により導き出された予測コンバージョン率から目標値として設定したコンバージョン獲得単価内でコンバージョンを獲得するための広告に対する上限入札単価を算出し、自動で拡張入札を行う機能です。
目標費用対効果戦略(Target ROAS)は、ユーザーの入力した検索語句に対して、シグナルの分析により導き出された予測コンバージョン率から目標値として設定したROAS値以上でコンバージョンおよび売上を獲得するための広告に対する上限入札単価を算出し、自動で拡張入札を行う機能です。
ともに予測コンバージョン率から上記の数式によって上限入札単価を算出するため、予測コンバージョン率の精度が自動入札の精度に関わってくることになります。そのため利用時には2つのことに留意する必要があります。
1つ目はコンバージョンデータの量と直近の過去14日間におけるコンバージョン率です。目標コンバージョン単価 / 目標費用対効果(Target CPA / Target ROAS)は広告主のドメイン配下のコンバージョンデータのすべてに対して参照と分析を行います。例えば目標コンバージョン単価(Target CPA)を設定した場合、すべてのコンバージョンデータの中から設定したコンバージョン単価目標値内で過去に獲得できたコンバージョンデータを抽出し、それらのコンバージョンデータに紐づくシグナルを分析します。分析の結果、どのようなシグナルをもつユーザーのオークションに参加すればよいかを導き出し、シミュレーションを実行します。これが学習期間に実施されていることであり、設定後、学習期間中に目標値の変更などを行ってはいけない理由です。そして過去のコンバージョンデータの分析とシミュレーションを精度の高いものとするためには、まずコンバージョンデータの量が担保されていなければなりません。また過去のコンバージョンデータはすべて分析しますが、特に直近の過去14日間のデータに対して重み付けするため、その期間のコンバージョン率が安定している必要があります。逆にコンバージョン量が少なく、コンバージョン率が安定していない場合やキャンペーンの日予算が少ないことによって広告の露出制限がかかっている場合(この場合もコンバージョン率は安定しない)は自動入札機能を利用することは控えるべきです。
※直近ではブラックアウトコントロールによってコンバージョン率が大きく上昇した日を除外することができます。
2つ目は直近の実績値と目標値との乖離です。こちらも目標コンバージョン単価(Target CPA)を例に取ると、設定したコンバージョン単価目標値が直近の過去14日間の実績値と大きく乖離がある値である場合、予測されるコンバージョン率の値もまた実績のコンバージョン率とは乖離の大きいものになる可能性が高く、適切な拡張入札が実施できない状況となると考えられます。そのため自動入札設定時のコンバージョン単価目標値は実績値に対して、±15〜20%に留めることが重要です。
クリック数最大化 (サーチ、ディスプレイ)/ コンバージョン数最大化(現状はサーチのみ)
クリック数最大化 / コンバージョン数最大化は、ともに設定されたキャンペーン日予算内においてクリック/コンバージョンを最大化するための戦略です。利用イメージとしては、クリック単価やコンバージョン単価の想定がつかない場合や広告主の予算制限などでキャンペーン日予算によるインプレッションシェア損失率が出ている場合に利用するのが有効です。
サードパーティ自動入札ツール
サードパーティ自動入札ツールとはAdobe社のAdLens(旧Efficient Frontier)やMarin Software社のMarin Search、GoogleのDoubleClick Search(現Search Ads 360)などを指します。これらのツールは基本的にはGoogle AdsやYahoo!スポンサードサーチとAPIで繋がっており、APIトークンを消化して1日1回〜4回の自動入札を実施します。多くのツールは、API経由で取得できるターゲットキーワードレベルの平均コンバージョン率を元に次回の自動入札時の金額を決定します。Google Adsの拡張クリック単価はサードパーティの自動入札ツールと併用可能な機能(Google Ads API利用の条件であるため)です。サードパーティ自動入札ツールはGoogleが保有するユーザーのシグナルを参照および分析から入札に活かすことはできませんが、拡張クリック単価と併用することによって、ターゲットキーワードのコンバージョン率を媒介して間接的にコンバージョン獲得しやすいオークションに対して拡張自動入札を実現できます。
※ツールによっては拡張クリック単価との併用が推奨されないものもあります。
ポートフォリオ自動入札とスタンダード(ルールベース)自動入札
Google Adsの自動入札を設定するには2つの方法があります。ポートフォリオ自動入札とは入札戦略のことを指し、共有ライブラリから設定することができます。スタンダード自動入札とは、旧コンバージョンオプティマイザーのことを指し、キャンペーン設定やキャンペーン、広告グループのタブから各々設定できる自動入札です。一方、ポートフォリオ自動入札はキャンペーンや広告グループを跨いで入札戦略を組むことができました。
過去においてはどちらもキャンペーン、広告グループ(Target ROASについてはキーワードまで)に対して設定できましたが、現状(2017年12月12日現在)ではポートフォリオ自動入札についてはキャンペーンレベルまで(複数のキャンペーンを跨ぐことは可能)、スタンダード自動入札についてはキャンペーン、広告グループ(Target ROASについてはキーワードまで)に対して設定できる仕様に変更となりました。これら2つに関しては、Target ROASに関してのみ大きく挙動が異なるものになっています。ROAS目標値を700%でキャンペーンに設定した場合、これまではともにすべてのキャンペーン配下の広告グループがキャンペーン目標値である700%を達成する動き(ルールベース)をしていましたが、ポートフォリオ自動入札を利用して同様の設定を行った場合は、広告グループによって達成するROAS目標値を調整し(広告グループAは900%、広告グループBは500%など)、キャンペーン全体として700%を達成する、ポートフォリオベースの動きをするようになっています。※Target CPAについてもポートフォリオに対応しています。
Creative(クリエーティブ)
Ad Uniqueness(広告クリエーティブの独自性)
先述した通り、ターゲットキーワードとは意図的にターゲティングした文字列であり、その文字列もしくはその文字列から派生した検索語句に対する広告の結果を可視化するものです。複数の広告グループに跨って同一の広告クリエーティブが設定された場合、検索語句に対する広告クリエーティブの視認性は同一のものになってしまうことは容易に想像ができます。結果的には広告ランクが一番高い広告が露出することになるので、状況によっては広告グループ内の、検索語句とはまったく異なる文字列を持ったターゲットキーワードに広告がクリックされた結果を返してしまう自称が起こり得ます。それにより運用者の方からはターゲットキーワードが全く文字列の一致しない検索語句に対して広告を露出させているように見えてしまい、部分一致のマイナスの拡張と呼ばれるようになり、過度に部分一致でターゲットキーワードを追加することを恐れるようになってしまいました。機械学習の観点では、データ量は多ければ多いほど、すなわち広告クリエーティブが露出する検索語句が広ければ広いほど最適化のスピードは増します。確かに意図的にターゲティングしていない検索語句に広告が反応するのは、ターゲットキーワードを部分一致で追加していることが原因の1つではありますが、主要因は検索語句に対する視認性において統計的有意差が小さい広告クリエーティブが広告グループ間で重複していることなのです。広告グループをコンテンツに対して組むことは、広告クリエーティブの独自性を考える上でも重要です。
広告クリエーティブの作成プロセス
クリエーティブとはパーツの組み合わせによるパターンです。パーツのフォーマットはテキスト、画像、動画です。検索連動型広告であれば、テキストのパーツの組み合わせによってパターンが生成されます。ディスプレイ広告であれば、バナー広告であれ、レスポンシブ広告であれ、画像とテキストのパーツによってパターンは生成されます。パーツとは広告主からユーザーに伝えるべき訴求内容の1つ1つであり、パターンとはパーツの集合体として生成される広告クリエーティブなので、パーツの作成の仕方とパーツの組み合わせ方によって広告クリエーティブのパフォーマンスは大きく変わります。
そしてこのパーツとパターンを、重複なく正しい検証結果を導けるように設計すること自体が工数のかかる作業となっていました。過去は検索連動型広告であれば広告バリエーションの1つの機能として組み込まれているフレキシブルアド(パフォーマンスの高いパーツをシステムが分析、抽出し、代替案を入力することで再度組み合わせを自動生成)を利用することができましたが、リニューアルの際にサンセットしました。今後は検索連動型広告であればレスポンシブ検索広告、ディスプレイであればレスポンシブ広告が複数のパーツから様々なパターンを生成し、パフォーマンスの最もいいパーツやパターンを検証できる機能となってくるため、なおさらパーツの作成プロセスが重要になってきます。
Creation(作成)
拡張テキスト広告 / 広告表示オプション/レスポンシブ広告
拡張テキスト広告
拡張テキスト広告は以前のテキスト広告に比べ、見出し2が追加されたこと、ナビゲーションパスが利用できるようになったことが主な変更点になります。このフォーマットの変更にしたがって、効果の高い広告クリエーティブを作成するためには、
①文字数制限ギリギリまで利用し、視認性(タテ×ヨコ)を担保すること。※拡張テキスト広告がリリースされた当初はギリギリが推奨されてましたが、その後、見出し3、説明文2が追加され、加えてレスポンシブ検索広告がリリースされたことで現状では長い見出し、短い見出し織り交ぜるのがよいとなってます。
②全体的に広告の訴求要素を再考すること。要素の整理とユニークな組み合わせによって独自性を追求すること。
③ユーザーのニーズとベネフィットにフォーカスすること。
④広告表示オプションの表示数を最大化すること。広告文との文字列の重複に注意すること。
が必要です。
以前のテキスト広告フォーマットに比べ、文字数が増加しているため、視認性を担保する軸となるキーワード文字列の全体に占める割合は低下します。そのため軸となるキーワード文字列は視点の始まる左側に寄せることを意識しましょう。
広告表示オプション
広告表示オプションについては、最大表示本数×2以上の本数を設定することが基本です。最低限の本数しか入稿していない場合、効果が悪いものがあると表示されなくなることがあります。また拡張テキスト広告の④にあるようにユーザーの検索体験を下げるような広告文における文字列の重複をチェックしていますので同一の文字列がパーツとして存在する場合、該当する広告表示オプションが表示されなくなります。その場合、広告の表示枠は狭くなることになり、視認性の低下に繋がります。すなわちクリック率が低下し、クリック単価が上昇することになります。また先述した、掲載順位と目立ち度の観点から広告表示オプションについては3種類以上を設定することが広告クリエーティブのタテ×ヨコを最大限担保することに繋がります。
レスポンシブ検索広告
レスポンシブ検索広告は15本の見出し、4本の説明文を入力することでシステムがユーザーの検索語句に対して最もクリック率が高くなると推測される見出し、説明文を組み合わせて広告クリエーティブを生成、露出させるフォーマットです。
レスポンシブ広告(ディスプレイ広告)
レスポンシブ広告は文字通り様々なサイズの広告枠に出すことができるディスプレイ広告のフォーマットです。そもそもはディスプレイ広告におけるテキスト広告を差し替えることを目的に投入されたフォーマットであり、その表現力としては現状のバナー広告を上回るものではありません。すでにテキスト広告のフォーマットは編集不可になっていますので、ディスプレイ広告における推奨のフォーマットとしてはバナー広告枠の95%をカバーできる7サイズとレスポンシブ広告を入稿することです。
Experiment(検証)
広告バリエーション / フレキシブルアド / 最適化配信
広告バリエーション ※下書きとテストに包含されています。
テキスト広告から拡張テキスト広告にフォーマットが変わったことによって広告文の文字数は増加しました。その結果、ユーザーのニーズのコアとなる文字列の広告文全文字数に対する割合は低下する可能性があります。拡張テキスト広告で効果を上げるためのポイントで述べたように、ユーザーのニーズやベネフィットにフォーカスした内容を広告クリエーティブに含めることで、より魅力的な広告クリエーティブを作成、検証することが必要です。
広告バリエーションは、別広告グループの広告クリエーティブで利用されている同一の広告文や文字列に対して、キャンペーンおよび広告グループを跨いで、検証用の広告文や文字列に差し替え、集計をすることで統計的有意差が出たかどうかを判断し、ポジティブな結果であればそのまま検証用のクリエーティブを本番用に移行することができる機能です。
これまでの広告クリエーティブのテストでは、検証用の広告クリエーティブを多くの広告グループに追加し、広告クリエーティブレポートのデータを集計することによってそれらの良し悪しを判断してきました。その場合、広告グループにかなり多くの広告クリエーティブが追加されることによって、もしくは広告グループによってはインプレッションが非常に少ないことによって、広告クリエーティブ自体のインプレッションが担保しづらい、すなわち広告クリエーティブの統計的有意差が出にくい状況があったと考えられます。結果的にその状況ではパフォーマンスのよい広告の判断が難しくなってしまいます。これまでの広告グループにおける広告クリエーティブは3つに分類することができます。
②と③については、拡張テキスト広告にフォーマットが変更され、総文字数が増加したことで、統計的有意差が出にくくなる可能性が高くなった広告クリエーティブです。それらは今後は広告バリエーションを利用して検証し、広告グループ内においては①のみに限定することで広告クリエーティブの本数を広告グループ内に増やしすぎることなく、広告クリエーティブの改善が実施できます。
広告バリエーションで実現できる検証においては、検証するべき広告クリエーティブに対するトラフィック量を10〜50%の幅で調整できます。基本的には50%が推奨ですが、あくまでこれはオークションに参加させる機会を按分しているのであり、広告のインプレッションを按分するという意味ではないので検証する広告クリエーティブにおいて検索語句に対する視認性を著しく欠いた場合は、広告ランクの点で広告を露出させることができない可能性があるということに注意が必要です。
広告バリエーションは、母集団から標本を抽出し区間推定する方法を利用して広告クリエーティブの検証を実施しています。上図は広告バリエーションのレポート画面において確認できるデータの表示種類についてです。カッコ[]内の数値を信頼区間といい、広告バリエーションにおいては検証中の広告クリエーティブを本番に移行した場合にどれくらいの影響があるかを意味しています。信頼区間やポジティブ(グリーン)、ネガティブ(レッド)などすべての表示は日々変化していくことになります。そのため本番へ移行するかどうかの判断においては、可能な限り長い期間において統計的有意差が出ている(=信頼区間が表示されている)状態で判断すべきです。また検証の目的によって注目すべき指標は変わりますのでその点にも注意が必要です。
また広告バリエーションを利用するキャンペーンや広告グループにおいてすでにGoogle Adsの自動入札が利用されている場合には、検証する広告クリエーティブに過去の掲載実績やコンバージョンデータがないため、1週間程度の学習期間が必要です。そのため検証結果を表示/分析する際は、開始して1週間後の日付からデータを集計する必要があります。
相対クリック率(ディスプレイ広告)
ディスプレイ広告ではパフォーマンスの良し悪しの判断において、ターゲティングと広告配信プレイスメントの関連性によってクリック率が変わるため、ターゲティングの問題なのか、広告クリエーティブの問題なのか、判断が難しいという点があります。検索連動型広告であれば、ユーザーの入力した検索語句に基いて同一のプレイスメントにおいて、広告ランクによって順番に広告が掲載されるため、パフォーマンスの良し悪しの判断ができます。相対クリック率とは、ディスプレイ広告において同一の広告配信プレイスメントに出稿した複数の他社と自社の広告クリエーティブにどれくらいのクリック率の差があるかを確認することができる指標です。
Automation(自動化)
広告カスタマイザー / IF関数 / COUNTDOWN関数 / ページフィード
先に述べた通り、Google AdsはTargeting/Bidding/Creativeの領域を自動化する方向で機能を開発しており、広告カスタマイザーやIF関数などクリエーティブ関連の機能もその本質は自動化にあります。ビッディング領域での自動化機能はTarget CPA/Target ROASであり、その最大の特徴はGoogleしか保持し得ないユーザーシグナルを分析して各オークション毎に入札の拡張幅を変えることにあります。クリエーティブにおける自動化の利点の一つは、ユーザーシグナルを識別して広告文を自動で変更することができるという点です。
広告カスタマイザーでは、フィードデータで広告文を変える対象や条件を指定し、クリエーティブを設定することによって1つの広告クリエーティブで数百パターンのクリエーティブを生成することを可能にします。過去のGoogle Adsでは広告クリエーティブを変えるには広告グループを分けるしか方法がありませんでした。都道府県別に広告クリエーティブを変えるためには都道府県ごとに広告グループを分ける必要があったわけです。広告カスタマイザーを利用すれば、ユーザーのロケーションに関連するシグナルを識別し、広告グループを分けなくても、広告クリエーティブに対して都道府県名を差し込むことができます。
To be continued...
株式会社アンノウンとは、”葉隠” 葉陰に隠れて見えない=まだ知られていない、”はやい、うまい、やすい”を生み出していくために設立した会社です。
アカウントのコンサルティング業務、Google広告、Yahoo!広告をはじめ、SNS広告など各種アドプラットフォームの運用業務、アカウントデータ分析に基づくクリエーティブ制作やデジタル人材の育成業務を行っております。
当社では、採用は随時行っておりますが、未経験の人材の方のみ対象としております。デジタルマーケティングに興味関心があり、学ぶ意欲がある方であれば、是非、お問い合わせください。
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・サークルを作成しました。
クリエーティブ主体の広告運用を考える会https://note.com/adplatform_tiger/circle