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なぜテックブログを書くのか

くふう AI スタジオ CTO の吉川です。この度当社はテックブログを開設することになりました。

やるからには当然、当社テックブログが目指す方向やコンセプトを明確にすべき。なのですが・・・あらためて問われると案外答えづらいものです。こういったテックブログは一般的なものとなっていますし、会社でテックブログを書くことをあまりに自然なこととして受け止めていました。

しかし、あらためてそれを問われる機会がやってきたのです。

テックブログの統合

くふう AI スタジオは2023年7月に、くふうカンパニーグループの Zaim と Da Vinci Studio が統合する形で設立され、さらにロコガイドの開発チームをはじめ、グループの開発チームが集まる形で作られました。

AI が名前についているため、データサイエンス系の会社のように思われがちなのですが、実際はくふうカンパニーグループの開発チーム(エンジニア、デザイナー、ディレクター等)が集まり、日々サービス開発を行っている会社です。統合当初こそ、開発チームもそれぞれ元々の会社ごとに部署として独立していましたが、徐々に開発チームの融合も進みつつあります。そんな流れのなか、それぞれで運営していたテックブログを集約し、くふう AI スタジオテックブログとして運営していくことになりました。

それぞれでテックブログを書く文化は定着していたものの、考え方や文化には違いがあります。これを一つのブログとして再スタートを切るのですから、このブログはどういうコンセプトにするのか、どこを目指すのかを定義したいとなったのです。

ユーザーファースト

迷ったときはユーザーファーストで考えてみる。

なお、ユーザーという言葉は多義的ですが、くふうカンパニーでは、最優先すべきはサービスを利用してくれるエンドユーザー、生活者であるとしています。そして、くふうカンパニーのスタッフが、自分自身の大切な人(家族や友人など)にくふうカンパニーのサービスを心からおすすめできる状態にすることを目指しています。

これはトクバイ、Zaim のようなサービスを利用するユーザーだけではなく、ハイアスアンドカンパニーで家を建てたり、エニマリで結婚式をするユーザーも含まれます。このユーザーを便宜上エンドユーザーと表記します。

エンドユーザーに価値を届けるためには、時としてその過程にいるユーザーにも価値を届ける必要があります。 例えば管理画面を通じてエンドユーザーにコンテンツが提供されるならば、その管理画面が使いやすくなければエンドユーザーに価値が届きません。であればその管理画面のユーザーに対して使いやすくなるように考えることが、目指すべきユーザーファーストにつながります。

ではテックブログのユーザーとは誰でしょうか。まずはテックブログの読者です。たまたま検索してたどり着く方もいらっしゃるでしょうし、気に入っていただいて定期的に見ていただく方もいるやもしれません。また、読み手がいれば当然書き手がいます。ここではテックブログを書いてくれるエンジニアスタッフです。最後にテックブログを開設しようとする企業、ここではくふう AI スタジオです。それぞれテックブログにどういったことを期待するのか考えてみます。

読み手がテックブログに期待すること

自分が読み手としてどういった記事を期待していることは、おおまかにいうと以下のようなポイントです。

  • 新しい技術を実際に導入した事例を知りたい

  • 自分がすでに知っている技術の知らない知見や活用事例を知りたい

  • 組織や開発プロセスの打ち手の事例を知りたい

事例が多いですね。新しい技術にしろ開発プロセスにしろ、のべつまくなしに自分のプロジェクトや業務で試すわけにもいかないので、実際に適用したメリット・デメリットを知ることができるのは有用です。また同じ取り組みをしていても、やはり各社工夫の仕方が違っていたりと違う側面が見られるのも良いポイントですね。新しい知見がなかったとしても、同じところで苦しんでるなーという共感自体嬉しかったりもします。

書き手がテックブログに期待すること

同様に書き手目線で考えてみます。

  • 業務上評価される

  • 記事にまとめることで、自身の経験や知識が整理される

  • 記事としてアウトプットすることで、誤りや新しいインプットが得られる

  • 有名になる

自身の成長であったり、市場価値の向上につなげるチャンスになるといったところがモチベーションになりそうです。

企業がテックブログに期待すること

一言で言ってしまえば、企業としての認知向上、ブランディングのためかと思います。とりわけ採用広報の側面は強い。どういった技術に取り組んでいるのかは、その技術を使って仕事をしたい候補者へのアピールになりますし、開発プロセスの紹介は、働くイメージを持つのに有用です。

共感と客観

ユーザーファーストでよく陥りがちな罠の一つとして、ユーザー = 自分 になってしまっているケースがあります。私はこれをオレオレファーストと呼んでいます。当人にとっては最高に使いやすいが、他の人にとってはわかりづらいものになってしまうケースです。

そこで、共感と客観を行き来することを心がけています。

ここまでは共感フェーズとして、テックブログに期待することを読み手・書き手目線になって考えてみました。次に、感じたことや見出したことは、他の多くの人にとってもあてはまるかを考えてみます。

通常のプロダクト開発であれば、市場調査や統計データ、ユーザーインタビューなどを活用していくところですが、今回はテックブログなので、単純にどういった記事がバズっているかで判断できそうです。

読み手が期待する観点では、先にあげた事例を知りたいという観点はバズる記事に含まれていそうでした。逆に、あげた観点以外だと

  • 特定の対象へのメッセージ性が強い記事

  • 失敗談

  • 特定技術にまつわる様々な情報のまとめ

  • 内容に誤りがあったり、賛否両論あるような記事

  • カンファレンス等のイベント情報まとめ

といったものもありました。事例だけではなく、ある程度信頼性のある情報まとめとして、効率の良い情報源と捉えている面もありそうです。また書き手としてもメッセージ性をもって発信したいというニーズもありそうでした。

つまり、読み手が期待することに事例を知りたいという欲求は内包されているが、他にもある。ということです。こういった性質の違いがテックブログの性質の違いにつながりそうです。

客観的にも見てみたので、また共感視点に戻ってみます。なぜ事例記事を期待するのでしょうか。

巨人の肩に乗る

事例を好む最大の理由は、業務や自分のプロジェクトにすぐに応用できたり、ヒントになる可能性が高いためです。

テクノロジーの素晴らしいポイントの一つが、それを扱う人や場所が変わっても再現できる点です。同じことを同じようにやれば、誰でも同じ結果を得られます。これは言葉にすると当然ではありますが、非常に重要なことです。なぜならば、何百人何千人のエンジニアが費やした努力と、その結果の知見を利用できるからです。一人では到底実現できないことも実現できるようになります。巨人の肩に乗るというやつです。

さらには、巨人の肩に乗った結果をアウトプットすることで、それがまた別の場所でインプットになります。一人のエンジニアが、たまたま見かけた記事で知った技術に触れる。 それを業務に取り入れる。変化が起きる。適応するために考えたアイデアと、得られたもの。それを記事にまとめて発信する。それを見た別のエンジニアが、自身の業務に取り入れる。異なる環境は異なる結果を生み、適応のために別のアイデアが生まれる。このエコシステムの形成もまた、テクノロジーの素晴らしい面だと思います。

ある一行のコードを書くために何度もググり、エラーが解消されずまたググり、そうやって世界のコードは生み出されてきました。情報をまとめるのがChatGPTになったとしても、それ自体は変わらないのです。試行錯誤の果てにたどり着いた一つのアイデアは、それ自体が次の誰かにとっての光明かもしれません。

結局のところ

エンジニアがそうやってテクノロジーのエコシステムを形成し、巨人の力を利用することで、最も恩恵を得るのは結局のところそのソフトウェアのユーザーです。仮に非常に高度なテクノロジーがあったとして、誰もユーザーがいなかったとすれば、最終的にそのテクノロジーは廃れます。ユーザーが価値を感じ、その価値の源泉となることでテクノロジーは価値を持ちます。だから、テクノロジーはただそこに存在するだけではなく、動いて世界と接続されていることが重要なのです。

テクノロジーの力を引き出す

梃子でも、歯車でも、ソフトウェアでも、バラバラの単位要素が組み合わさり、接続され、なにか大きな力を生み出し、影響を与える。そのテクノロジーがエコシステムを形成し、また新しいテクノロジーが生まれる。こういったテクノロジーの可能性は無限大です。

一方で、我々はそのテクノロジーの可能性を十分に引き出せているのでしょうか。 素晴らしいRDBがあっても、テーブル設計を誤ってしまっては性能を引き出せませんし、素晴らしいUIがあっても、ユーザーや要件と合っていなければ意味がありません。

くふう AI スタジオに統合された Da Vinci Studio は「テクノロジーの力を引き出す」をミッションとしていました。テクノロジーの可能性を信じているからこそ、私たちにできることはそれを最大限に引き出すことだという考え方です。

このテックブログは、その精神を継承し、テクノロジーの力を引き出す一助になれば良いと考えています。新しい技術を導入したり、既存技術を深掘りして、実際に応用する。プロセスを改善した結果と課題を伝える。その過程自体で、自分たちもテクノロジーを整理し、力を引き出す。

そうして書かれたこのブログの記事が、どこかの誰かに届いて、またひとつテクノロジーの力が引き出されることを。そしてその結果、誰かが少しハッピーになることを期待して。

くふうAIスタジオテックブログ、はじまります。

くふうAIスタジオでは、採用活動を行っています

当社は「AX で 暮らしに ひらめきを」をビジョンに、2023年7月に設立されました。
(AX=AI eXperience(UI/UX における AI/AX)とAI Transformation(DX におけるAX)の意味を持つ当社が唱えた造語)くふうカンパニーグループのサービスの企画開発運用を主な事業とし、非エンジニアさえも当たり前にAIを使いこなせるよう、積極的なAI利活用を推進しています。
(サービスの一例:累計DL数1,000万以上の家計簿アプリ「Zaim」、月間利用者数1,600万人のチラシアプリ「トクバイ」等)AXを活用した未来を一緒に作っていく仲間を募集中です。
ご興味がございましたら、以下からカジュアル面談のお申込みやご応募等お気軽にお問合せください。
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