私とフランス・ギャル(自己紹介②)
初めに少し自分の話をしたいと思います。
もう15年以上前の話ですが、私は大学時代某大学の文学部でフランス文学を専攻していました。
入学時に第二外国語としてフランス語を選択した理由は「漫画『ベルサイユのばら』が好きだったから」とか、「フランス語の響きがなんとなくオシャレだから」「中国語等アジア圏の言語は人気で定員に入れなかった」「ドイツ語やロシア語は難しすぎて無理そう」等だったと思います。正直に言うと、フランス語やフランス文学に対する熱意や関心は元々そこまで高くありませんでした。それでも勉強しているうちにいつの間にかフランス語やフランスの文化が好きになり、結局フランス文学のゼミに入り、卒論にもそれなりに努力して取り組んだ…と思います。
私が通っていた大学では、確か入学後すぐは一般教養の大人数講義を受け、2年生から少しずつ専門の授業を取り、その後研究室に配属されるという感じだったと記憶しています。
研究室に入ると先輩達と親しくなり、たまに食事やカラオケに連れて行ってもらえるようになりました。博識な先輩方は文学研究だけでなくフランスのサブカルチャーにも詳しく、カラオケでは皆フランス語の歌を流暢に披露してくれました。そして、その中にはフランス・ギャルの曲もありました。
当時の私もさすがに「フランス・ギャル」の名前と「夢見るシャンソン人形」のメロディくらいは知っていたと思います。(多分TVか両親の影響)フランス語の歌オシャレだな、自分も歌えたらカッコいいのにな…などと思いながらも、かなりの貧乏学生だった私はCDを借りたり買ったりする余裕がなく(当時はYouTubeもサブスクもない時代)、結局そのまま大学を卒業したのでした。
就職した後、自分の給料で初めてMDコンポやデジタル音楽プレイヤーを買いました。音楽のダウンロード販売はもう既に一般的になっている時代でしたが、アナログ人間の私は音楽をDLすることに少し抵抗があったので、レンタルショップでCDを借りてはMDやプレイヤーに移して聴いていました。
借りるのは当時流行っていたJPOPが中心だったものの、憧れのフランス語の曲のCDももちろん借りました。最初は何を聴いていいのかわからず、とりあえずコンピレーション盤のようなものを何枚か借りたと思います。「オー・シャンゼリゼ」等、日本でも有名な曲がたくさん入っているアルバムでした。
その中で一番気に入ったのが1960年代のフランス・ギャルの曲でした。ヘタなのか上手なのかよくわからない歌い方に曲によってコロコロ変わる声、そしてもう数十年も前の時代の曲なのに何故か新鮮に思えるキャッチーなメロディの数々がとても魅力的に思えたのです。早速ギャルのベスト盤を2枚借り、通勤や旅行の際はよく聴いていました。「夢見るシャンソン人形」「涙のシャンソン日記」あたりはカラオケで歌えるようにもなりました。
Attends ou va-t'en(1966)
「涙のシャンソン日記」
(原題は「待って、でなきゃ行って」)
いろいろと有名なセルジュ・ゲンズブール作の名曲。私は「シャンソン人形」よりこっちの方が好きです。日本では80年代にホンダの車のCMにも使われていました。
しかしその後結婚して子どもが産まれ、自分の好きな音楽を聴く余裕がなくなってしまいました。そのうちにフランス語やフランス歌曲への関心は薄れていき、フランス語を勉強していたことも、フランス・ギャルをよく聴いていたこともいつの間にか忘れてしまっていました。
ところが、ほんの半年ほど前、何故かふと「久しぶりにフランス語の曲でも聴こうかな」と思い付きました(TVで有名な曲でもかかっていたのかもしれない)。
もちろん昔よく聴いていたフランス・ギャルにしようと思い、YouTubeで彼女の名前を検索しました。そして、思いがけない結果に衝撃を受けることになります。
私が知っている「フランス・ギャル」といえば、さっき埋め込んだ「涙のシャンソン日記」のジャケ写のような、「1960年代の清楚で可憐なお嬢様風アイドル」です。
(というかほとんどの日本人にとってはそうでしかないと思う)
ところがYouTubeの検索結果に並ぶサムネイルは、「これがフランス・ギャル?嘘でしょ?」と思うものばかり。
ギャルさん、ピアノの上に座ってます。
目つきが怖いです。
その髪型は一体…
どれもこれも「清楚なお嬢様アイドル」だったギャルとは全くの別人としか思えない。何だこれ。
非常に強い興味を覚えた私は、「夢見るシャンソン人形」以降のギャルについてひたすら調べました。気がつけば毎日YouTubeを漁り、サブスクで曲をリピートし、翻訳サービス片手にフランス語や英語のサイトを読み、さらにはフランス語の伝記まで買っていました。彼女のドラマティックな人生、そしてアイドル時代以降の名曲の数々にすっかり心を奪われてしまったのです。
今、ギャルと彼女の夫(ミシェル・ベルジェ)の伝記を1冊ずつ買って読んでいる途中ですが、フランス語を勉強し続けていれば良かった…と後悔しまくっております…。とはいえ、今は翻訳サービスの精度が上がっているのでずいぶん助けられています(私の学生時代にはネタとしてしか使えなかった)。少しずつしか進みませんが、頑張って読破したいと思います。
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