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「趣味としてのコピー展」を見てきました
下北沢ボーナストラック、お洒落なブックカフェや個性的な物販店が立ち並ぶ商業空間。下北沢という街を体現したかのようなカルチャーカルチャーしたこのスペースで、カルチャーカルチャーした展示を観てきました。
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「プロのコピーライターがしがらみに囚われずコピーを書いたら?」といったコンセプト。
会場に入ると、想像以上に沢山の人が。普通に歩くのにも苦労する程でした。
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「なんかいい言葉」だけでイベントが成立するのって、冷静に考えたらすごいことだと思います。偉大な芸術家の作品が見れるわけでもないし、インスタ映えするようなビジュアルのインパクトもない。言葉が好きな人たちがそれくらい多いということです。
会場に来ていたのは、ほとんどが若い人たちでした。「Z世代は読書量が減ってる」と言われることもあるけど、果たして本当なのでしょうか。確かに本を読む人は減っているけど、SNSで日々大量のテキストを目に入れているし、自分で呟くことも当たり前のようにしている。言葉と向き合っている時間は若い世代の方が圧倒的に長いのでは?と思うことがあります。
「生きた人間のセリフ」が結局最強なのでは?
900ものコピーをざっと眺めていく中で、当然刺さるものと刺さらないものが出てきます。印象に残るコピーにはどんな特徴があるのか?自分なりに考えてみた時に浮かび上がってきたのが、「書いた人の人格が見えるセリフ調のコピー」でした。
今回の展示で例を挙げれば、次のようなコピーが該当します。
地球最後の日は、日曜だといいな。(日曜のコピー)
充実させなきゃいけないなんて、誰が決めた?(日曜のコピー)
かわいいって言ってる、彼氏がかわいい。(動物園のコピー)
なぜ「セリフ調」がいいのか?
それはコピーにありがちな「押し付けがましさ」が無いからだと思います。
必死に伝えようとしてくる感じがないから、うざいと感じない。
そんな風に感じている人がいるだけ。
そんな風に呟いている人がいるだけ。
つまり、メリットやデメリットみたいなものを直接伝えようとせず、コピーを見た人に「その感性が素敵だね」と共鳴させることで、あくまで間接的に物事を伝えていくやり方です。上品なやり方だと思いますし、小手先のテクニックだけでは中々たどり着けない領域のような気がしています。
そう言えば、これまで自分が触れてきたコピーの中にもセリフ調を使いこなしているものがありました。(こういうの↓)
「のびしろ」の「しろ」って、牛乳のことだと思う。(牛乳のコピー)
このままじゃ、私、可愛いだけだ(新聞のコピー)
900もコピー眺めてたら「このコピーはアレに似てるな」とか「そうかアレはこういうアプローチだから印象に残ってるのか」とか、勝手に頭が整理されていくものですね。
入場は無料でした、完璧な休日―――。