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地方の人手不足にデジタルは何ができるか

こんにちは!アドビ未来デジタルラボ編集部です。

7月より開始した学生研究員プロジェクト。各チーム1本目の記事から約2か月が経過しようとしています。ここに至るまでに、WIREDの松島編集長や、渋谷区観光協会の金山代表をお迎えし、“ワクワクするデジタル社会の未来”について、学生たちとさまざまな観点から議論を重ねてきました。

このnote記事は、各チームの研究や考察がどのように進捗しているかをまとめた2本目の記事となります。今回は、デジタルと伝統文化・地方創生チーム「チームアルティ」からのレポートです。

このチームの1本目の記事はこちらからご覧いただけます。


1)地方の人手不足はなぜ課題?

前回私たちのチームが作成したnoteの記事では、「文化の中に息づく声をどれほどデジタル技術は包摂できているのだろうか」といった課題を設定し、主に文化を支える人々の届いていない声にスポットライトを当てたいと考えていました。

しかし、地方や伝統文化の課題について再度深掘りしてみると、「人手不足」という課題がそこにいつもあることに気がつき、伝統を守る人の思いよりも、それを受け継ぐ人手不足について、学生目線で課題解決していくことに切り替えました。

さて本題に入ります。
「地方の課題は人手不足」と私はよく耳にします。ここでいう人手とは、農業や林業のような一次産業の担い手、伝統工芸の担い手のこととします。

では、人手不足であることの何が問題なのでしょうか?まずはそこについて明らかにしてから本題に入りたいと思います。

地方で人手不足が発生すると、その地方の経済が衰退し、それが地方全体の衰退に繋がり、ゆくゆくは日本の衰退に…!?

と私たちは話し合いの最初で、いきなり人手不足という問題の大きさに気づきました。本当に国力が衰えるのか根拠はないですが、伝統や文化が衰退するだけでなく、1次産業が廃れてしまっては私たちの生活もままならなくなってしまうかもしれません。

人がいないということは事業として大きな挑戦がしづらく、売上機会の逸失で十分な人件費が支払えなくなり、一人にかかる負担も大きくなり、さらに人手不足が深刻化するというループを辿っている可能性も十分ありえます。

少し考えただけで、地方の人手不足は私たちの生活にも無関係ではない課題であることがわかりました。


2)私はなぜ地方を離れたのか:人手不足へのアプローチとして若者を呼ぶことは本質的でない

私は地方で生まれ育ち、大学進学で上京してきました。都会に憧れ、大学の選択肢は端から首都圏に絞っていて、地方に残るだなんて選択肢を考えたことはありませんでしたし、友達の多くも大学進学を機に地元を離れました。

就活のタイミングになっても、圧倒的な就職先の選択肢の多さ・・生活の便利さ等々に魅力を感じて首都圏で働くことを選びました。そもそも地元に戻ろうという選択肢を持っておらず、両親も知らぬ間に私は就活を始め、両親が知る頃には首都圏の企業の面接で就活終盤、といった具合に私は都会での生活に大変満足していました。

さて、地方で人手不足が深刻化している昨今で最も必要なのは、地元で生まれ育った若い人材でしょうか?都会へのあこがれが強い若い人が、再び地元に魅力を感じてもらうまでにどれだけの労力と時間が必要になるでしょう。

人手不足を解消するためのアプローチとして、「若い人材に戻ってきてもらう方法」「若い人材を都会から呼ぶ方法」を考えることは果たして本質的でしょうか?

私たちの出した答えはNOです。

都会にいる人材を地方に引っ張れば、当然都会の人材は減ります。ある地方に呼ぼうとすれば、他の地方と人材の取り合いになります。ただでさえ少子高齢化が加速する昨今で若い人材を取り合って、この先100年200年、人材をいかに確保するかにフルコミットしたところで人手不足解消の本質的な解決に至らないのではないかと私たちは考えました。だってそもそもの数が足りないのですから。

そこで「デジタルで人手そのものを必要ではなくする方法はないのだろうか」という点に目をつけたほうが、汎用性も課題の本質さも失わずにこの大きな課題に向き合えるのではないかと、チームの意見が一致しました。 


3)人手不足×デジタルで生まれる声なき声

次に、私たちは、これだけデジタル技術があるにも関わらず、人手不足が起きているのはなぜなのか仮説を立ててみました。

①地方の人々がデジタルを取り入れることに抵抗があるから
②地方の人々がそもそもデジタルの選択肢を知らないから
③デジタル(IT企業)がまだ介在できていないから

あくまで私たち大学生から見えている視点ですがいかがでしょうか?

①はあくまで仮説ですが、年代が上の方であるほどデジタルへの苦手意識があるのではないかなと思っています。高齢化の進んだ地域では、特にこの現象が顕著に現れるかもしれません。

抵抗がある、の中には「単純に怖いから」「周りがやっていないから」「アナログを不便に感じていないから」などといった人それぞれ細かな理由があると思っています。

③にはIT企業側がデジタルで解決できそう!という事に気がついていないパターンと、実際に介在したけど失敗したパターンの2つを想定しました。特に介在したけど失敗したパターンは、企業側だけでなく実際にデジタルを使用する地方の人々の隠れた声が原因、なんてこともあるのではないでしょうか?

このように人手不足が起きている領域で活用できるはずのデジタル技術があっても、使い手の地域の方たちとの間にデジタルへの認識ギャップがあり、うまく行っていないケースもあるのではないかと考えています。そこで生まれた実際にデジタルを使う側の声が声なき声として放置されているとすれば、その声を聞くことに意味があるのではないかと考えました。

4)地方の人手不足にデジタルは何ができるか


こうした課題解決×デジタルに潜む声なき声を深掘り、実態を明らかにすることが私たちがここに介在する価値だと思っています。

第三者の視点から、デジタルを持ち込みたい側の意見と地方の人々の意見の双方を可視化し、最終的には人手不足という課題に対してデジタルは何ができるか、といった解決策まで提示することをゴールとしています。

具体的には、まずは人手不足を課題とした地方の領域に、”そもそもなぜ人手不足が発生しているのか””デジタルを取り入れ難いのはどういった理由があるのか”など丁寧なインサイトの調査を行いたいと思っています。仮説を立ててアウトプットを考え、実際に地方の方々とアイデアについて対話しながら研究を進める予定です。

行政や企業が介在できない領域の「声なき声」を適切に拾い適切に届けることが、人手不足解決の第一歩ではないかと私たちは考えています。

この記事の執筆者

大山響生 産業能率大学経営学部マーケティング学科
大学ではマーケティングを学んでおり、長期インターンシップ先でもSEOやアドなどのwebマーケティングのお仕事をさせていただいています。 パーソナルカラーアナリストや骨格診断アナリストの資格を趣味で取得しましたが、デザイン全般興味あり独学で色々資格に挑戦してみたいと思っています!

▼このチームの最初の研究レポートはこちらから

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