活字で魅せる増田こうすけ劇場

八月が始まったと同時くらいの時期に
ギャグマンガ日和でお馴染みの
「増田こうすけ」さんが
執筆された小説が発売された。
その名も
「ギャグ小説日和 転校生」。
GB8巻とともに購入して
隙間時間を見つけては
ゆっくりと読み進めていき
先日遂に読破した。
このギャグを名乗るにはあまりにも強気で
奇妙なその本は、正に活字で魅せる
増田こうすけ劇場だった。

本書には九つの作品が収録されており
うち二つが長編で
あとの7つが短編という構成だ。
一番笑った作品は
トップバッターに抜擢されている
「ぼくの夏休みの冒険」というお話だ。
あまり詳しいことを書くと
ネタバレになってしまうので
半端なことは言えないが
夏の肌気温を感じるような言葉運びに
この作者はこんなこともできるのかと
才能の幅にビビった。
体感全体の4分の1くらいに
感じるくらい長かったので
ゆっくりゆっくり読むのをおすすめる。
最後の最後に面白ポイントが
ズガアァンと押し寄せてくるので
読後は、凄い長尺の
良いネタを見た気分になる。

で、笑いはしなかったが
物語として一番面白かったと感じたのは
タイトルにも選ばれている
二つ目の長編「転校生」という物語だ。
この物語は学生時代に置いてきたはずの
いや〜な気持ちを掘り起こしてくる怪作で
奇妙な転校生を軸に
中3の二学期から高校卒業までの3年間を
事細かく描かれている。
もちろんギャグ的な意味でも面白いし
表現の節々に
増田こうすけイズムも感じるのだが
いかんせん設定が学生時代の生地獄なので
人によっては中和しきれない部分もあると思う。
しかし、物語の生々しい運びからは
考えられないほどオチが爽やかなので
安心して読み進めていってほしい。
心が凄い清らかな時は多分泣けると思う。

さて、今までは偶然にも
長編の話になってしまったが
やはりこの人の真骨頂は短編である。
ギャグマンガ日和でもお馴染みの
「イケメン軍団」を始め
何かを思い出せなくなってしまった
義父の話など
小説でしか表現できない数々の名作が
収録されているので
中々にボリューミーで全然飽きない。
特に短編だと
この小説のトリを飾る
「ジャックの豆」
という話が一番面白かった。
ジャックの豆、というように
あの童話
「ジャックと豆の木」
を面白おかしくイジった物語で
読むだけで思わず
吹いてしまうような気迫がある。
ギャグマンガ日和でも
ジャックと豆の木をやっていたので
あれの前日譚だと考えると尚更面白い。

さて、ただの感想で
1000字ほど使ってしまったが
それほど誰かと感想を共有したいと思わせる
物語で溢れているこの小説
「ギャグ小説日和 転校生」
を読んでいない人は今すぐ本屋さんに行こう!
きっと日頃の悩みを吹き飛ばしてくれる
面白おかしくて大分 
変な物語がそこに待っているから

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