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ショートエッセイ:京都・千本中立売の怪談
大学時代の体験です。
京都の千本中立売というところに友達が住んでいました。
彼女は苦学生で、四畳半・風呂なし・台所とトイレは共同・廊下にピンク公衆電話設置・女性のみ・月15,000円というアパートに住んでいました。私が大学生だった頃というと日本にはまだ恐竜がいましたが、それにしたってこの物件は安すぎです。
……まぁ、出るんだな。
毎晩2時きっかりに、階段を上ってくる男の重い足音。
このアパート、廊下に沿って4つの部屋が並んでるんですが、そのどれかの部屋の前でその足音がピタリと止まるんですよ。
「廊下の電話のあるところに男の人がいる」
と"見える"人が怯えたこともあるそうです。
友達が夜勉強していると、閉めておいた筈のドアがバタァーンと勢い良く開くことなんかもあったそうです。勿論鍵は閉まってた筈。
私は何回か彼女の部屋に泊まってますが、最初は何もありませんでした。
別に平気じゃん。
しかし2回目に泊まったとき。
ふと目を覚ました私。
友達はよく眠ってます。
(ここで一人で目を覚ましくないなぁ…)
と思いましたが、窓を見ると、明るくなりかけ。
(あ、じゃあ大丈夫だ)
と安心して再び眠りにつこうとした私の耳に、男の足音が聞こえてきました。
ミシ、ミシ、と重い音。階段上ってます。
この時点ではまだ気がついてませんでした。
(多分、他の部屋のところに彼氏が忍び込んでるんだな)
よくあるよくある。
しかし、そのミシ、ミシ、という足音は……友達の部屋の前でピタ、と止まった。
(見つかった~っ!!)
反射的にそう思った次の瞬間、生まれて初めての金縛りという奴がやってきました。
ビーンという耳鳴りと一緒に。
身体動きません。動かそうと思っても身体が自分の言うこと聞きません。
「た、確か足の親指を動かせれば金縛りは解けるとかっっ」
必死で親指を動かそうとしますが、動きません。自分の親指なのに。
声も出せません。友達起こせません。
もうあかん。心の中で(なぜか半分だけ覚えている)般若心経を必死で唱えるじゅり。
そうこうしている内に……足の親指が動かせるようになり……ドアの外の気配は消えていきました。
「Mちゃん Mちゃん」
しわがれ声で必死に友達を呼ぶ私。
しかし、こういう時のお約束で、起きね~んだな彼女(涙)w
朝がやってきてからMちゃんに事の次第を話すと
「そういえば何か言ってたね」
Mちゃ~ん……(号泣)。
そんな体験をしながらもその後も何度か彼女の部屋で夜を明かしました。
二度とそういう体験はありませんでした。
その後、そのアパートは取り壊されたと風の便りに聞きました。
まぁ京都だしね。何があっても今の私は驚きませんよ。
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