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ショートエッセイ:英語の電話ーいつもより一寸長いー
現在ではこういう企業は少なくなってるんだろうな…。
「おい、この電話かわってくれ。英語だ。おまえくらいだろ、英語話せるの」
軽くパニクってるI係長が受話器を差し出した。
エーゴ? 私だってそんなもん得意じゃないわい! しかし今机に向かっている系統を見ると、私以上に英語が論外な人しかいないよ(汗)。これは覚悟を決めるか…。
じゅり「はろー?」
Mr.X「Hello」
(ここから先は何言ったかなんて覚えていないから適当に翻訳しますね)
Mr.X「おまえはどのくらい英語が話せるのか」
じゅり「A little」
Mr.X「A Littleか。はっはっは」
じゅり「して貴殿のご用事は如何なるものであろうか」
Mr.X(待ってました)「べ~らべらべらべらべら」
ひーーーーーーっ!!!
←全く解らなくなっているじゅり
じゅり「う、Would you mind speaking more slowly?」
Mr.X「No」
じゅり"な、何でNoやねん…(泣)←中途半端にしか英語を覚えていない事が丸分かりな奴
しかも、これだけ混乱していても、単語の羅列から何とか話の内容が解る事もあるから、ときどき話の流れにもついていったりするから、向こうが話を進めてしまって
Mr.X「貴殿は何歳なのか」
じゅり「20+ン歳です」(いきなり何やねん)
Mr.X「30歳以上の者はおらぬのか」(責任者であるかどうかを判断したかったらしいのだ)
じゅり「…(?)」
とこのような不毛なやり取りが続く中、ついに相手が諦めのため息をついた。
Mr.X「貴殿の会社で貴殿以上に英語の話せる者はおらぬのか…」
うーんうーんうーん…!! そや、T部長がいるっ!!!
私はMr.Xに「5分後にもう一度お電話して下さい」と告げ、T部長のいるフロアへと走った!!
T部長は幸いにも自席にいらしたが、
「すまん。すぐ会議に行かなくちゃならないから、出てやれない」
しかし5分後に再び電話がかかってくるぞぉ。
じゅり「な、何とかしてください(号泣)」
まるでドラえもんにすがるのび太のように泣きつく私に、T部長がさらさらと紙に書いてくれたのは、
「貴殿の用事をFAXに書いてこちらへ送ってください」
そーいや、その手があったな。
席に戻るが早いか、K氏が受話器を差し出して
「おまえ宛だぞー」
T部長に言われた通り繰り返した。そしたら、
Mr.X「小生はカナダ人にて本日国に帰るので、手許にFAXのような環境はない」
どひーーーーーーーーーっ、万事休すやないけ!!!
しかし…よく考えてみたら、ちゃんとはっきりしなくてはならないことがあった。
じゅり「そもそも貴殿の用事は何やねん」
Mr.X「小生はC++という言語について話をしたい」
をいをい、C++の話なんて、うちの部隊が専門にやっているものではないぞ。
えぇい、ここは一つ…逃げるか(^^)私の声は急に愛想よくなって、
じゅり「そういうお話でしたら、当部署の管轄ではありませんので、大代表にお掛け直しください」
きっと大代表だったら、英語の電話とかも受け慣れているだろうから、もっといい応対もできるであろう…。
こうやってまとめても結構冗長な話だが、実際にはこうスムーズに相手の言う事が聞き取れた訳ではないので、もっともっと不毛な時間がかかっている。
じゅり「いやぁ、こういうときのために英会話って必要なのねぇ。やっと解ったわ」
「でも英語しか話せない人の電話がかかってくるなんて1年に1度もないじゃないですか。そのために高い授業料払うのも…」
とかぺちゃくちゃやっているところに、T部長が結果を見届けにやって来て一喝。
「保険と思ってちゃんと英会話勉強せぃ!!」
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