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なぜ「連覇」が続いたのか?年末年始の各業界をマーケティングしてみました

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。さて、昨年末から新年にかけては、何かと「連覇」の話題が続きましたね?どの連覇も栄冠に輝いた方々を賞賛すべきだとは思うのですが、マーケティング的な見地から見ると、連覇が続いて本当に良かったのか?個々の業界に対して少々危惧を感じました。
というわけで、新年初回となる今回の記事では、「年末年始の連覇」についてマーケティングしてみたいと思います。

連覇1:令和ロマン(M-1)

まず最初は、M-1グランプリで史上初の連覇を成し遂げた「令和ロマン」です。審査員が9人となった今回、上位3組の決戦投票で9票のうち5票を獲得し、2024年の勝者となりました。調べてみたら歴代の採点結果は、こちらの方がまとめてくれていました。

ここから2024年の得点票を抽出すると以下になります。赤字は各審査員の最高点、青字は最低点、薄青のセルは決選投票で誰に投票したか?を示しています。

M-1グランプリ決勝 2024年得点票

当初の得点1位だったのは「バッテリィズ」で、「令和ロマン」とは11点の差がありました。そして「令和ロマン」「真空ジェシカ」「エバース」は、ほぼ同点でした。4名の審査員が決選投票で「令和ロマン」に支持を変更した結果、史上初の連覇が生まれた・・・というのが今回の経緯です。

決戦投票で、なぜ4名の審査員が「令和ロマン」に支持を変更したのか?については、以下の3つの理由があると推測します。

①技術的に上手い
昨年初出場だった令和ロマン、ネタも話術もレベルが高く、新進芸人らしからぬ安定感があります。2023年のM1優勝以降、さらにこうした技術と安定感が向上した点が連覇の第一の理由として挙げられるでしょう。

②トップバッターだった
今回「令和ロマン」はトップバッターでした。その後どうなるか?分からない展開を考えると、審査員はトップバッターに高得点をつけにくく、「トップは不利」と言われます。「トップの令和ロマンに当初低めに得点した審査員が、決選投票でより厚く支持した」という背景はありそうです。

③新任審査員が多かった
2024年は審査員が大幅に入れ替えとなり、2023年から継続して務めたのは9名のうち3名だけでした。毎回、審査員の採点が炎上しがちなM‐1ですから、特に新任審査員には大きなプレッシャーが掛かります。そうなると、採点はどうしてもコンサバ(保守的)な方向になり、多数派が支持する正統派の芸人に有利になるのではないか?と考えられます。

以上のような理由から、「技術的に上手く、当初トップバッターとして不利な部分があった令和ロマンが、コンサバ志向の審査員によって栄冠を勝ち取った」というのが、今回の連覇の経緯ではないか?と私は分析します。

実力派のコンビですから結果は正当だと思うのですが、個人的にちょっと疑問なのは・・・M‐1って、新進芸人の登竜門であるハズですよね?💦
「現状の完成度が高い芸人」が有利になってしまうと、「将来性が期待できけど粗削りな芸人」は今後選出されなくなると思います。
漫才界全体の活性化を考えると、今回の連覇が果たしてよい選択だったのか?私自身は疑問に感じました。また、史上最高の10,330組がエントリーしながら、連覇を許した参加者の側も心配になります。エントリーは増えたけど、層はむしろ薄くなっているのではないでしょうか??

連覇2:Mrs. Green Apple

さて2つ目の連覇は、2024年の「日本レコード大賞」に輝いたミセス・グリーンアップルです。TVやラジオより、SNSの場で圧倒的に強いこのグループ、近年は大ヒットを連発しています。こちらも実力的に連覇は妥当と言えるでしょう。

しかし、2024年のCD/オンライン音楽販売ランキングを見ると、手放しで喜べない側面が見えてきます。

2024年のCDとデジタルの合算シングル販売を見ると、トップはCreepy Nuts。Mrs.Green Appleの受賞曲「ライラック」は6位ですが、3位、9位、10位にもランクインしており、換算売上ポイントの合計は4,653,147になります。これはCreepy Nutsの約2倍!のポイント(=売上)に相当します。

Mrs.Green Appleが日本の音楽業界に貢献したのは間違いないんですが、よく見ると・・・ベスト10にランクインした4曲のうち、2024年に発売された曲は「ライラック」1曲だけ。TVではなく、WEBやSNSからヒットが生まれるようになった昨今、「ヒット曲=新しい曲ではない」という傾向は以前からあるのですが・・・新曲がヒットしないと、日本の音楽業界全体が活性化しないのも事実。Mrs.Green Appleが2025年も、2026年もレコード大賞を連覇するような状況になったら?それは日本の音楽業界にとって良いことなのか?こちらも心配になってきました。

連覇3:箱根駅伝

最後は「箱根駅伝」を連覇した青山学院大学を検証してみましょう。原監督が率いる青学大は今回、往路で一度もトップを譲ることなく優勝。このリードを後半も守り抜き、10時間41分19秒の大会新記録で2年連続8回目の総合優勝を果たしました。

復路では駒沢大が大会新記録で優勝を果たし、往復の総合タイムにおける両校の差は3秒程度だったのですが・・・このタイム差以上に「盤石なレース運び」に見えたのは私だけでしょうか?

そして、改めて2015年から2025年までの優勝校を見ると・・・実に11年で8回!青山学院大学が優勝しているんです。偉業には違いないんですけどね。

2004年に就任した原監督のユニークな選手育成方法は度々報道され、各校でも分析されました。それでも連覇が続くとなると・・・日本のマラソン界にとって、これは良いことなのか??また心配になります。

連覇は良いことなのか?

以上、「M1」「レコード大賞」「箱根駅伝」の連覇を分析してみたのですが、いかがでしたか?連覇した方々はいずれも実力派で、栄冠に輝いた結果は賞賛されるべきものです。しかし、連覇を生んだ個々の業界の状況を考え合わせると、これで良かったのか?少々心配になりました。皆さんはどう思われたでしょうか? 今後も「令和ロマン」「Mrs.Green Apple」「青学大」の連覇が続くようなら? 改めて分析を進めてみたいと思います。

(おまけ)
もう1つ「連覇」がありました。年始特番「芸能人格付けチェック」で、昨年「マグロとカツオ」を間違えたDAIGOさんが、今年も最終問題で「高級牛肉とカンガルー肉」を間違える事態が発生。個人連勝更新中のGACKTさんを巻き込んで、2年続けてまさかの「映す価値無し有名人」になってしまいました。こちらも2026年に連覇が続くのか?今から気になります♪  (RYU)