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日本一「わけアリ」なお城?「伊賀上野城」に行ってきました。

こんにちは。城巡りスキな奥さんを持つRYUです。先日、奥さんの実家(神戸)から名古屋に戻る途中で、初めて「伊賀上野城」に寄ってみました。三層三階の小柄なお城なんですが、外観も美しいですし、築城から現在までのストーリーが非常に複雑で印象に残るお城でした。今日はそんな「伊賀上野城」の紹介をしてみたいと思います。

まずは、伊賀上野城の位置はこちら

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(Google map)

伊賀上野城は上野公園の中にあり、伊賀鉄道上野駅から徒歩10分程度で行ける距離にあります。車なら、名阪国道の上野東ICから10分程度で到着します。

これだけじゃピンと来ないかも知れないので、さらに引いたMAPで見てみましょう。伊賀上野城が所在する「伊賀市」は、「奈良市」と「津市」の中間に位置しています。ちなみに伊賀市は三重県。私は奈良県だと思ってました(汗)。

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(Google map)

「伊賀市」の上に「甲賀市」がありますが、時代劇やアニメによく登場した「伊賀忍者」「甲賀忍者」の舞台が、まさにこの地ということになります。歴史的な経緯についてはこちらにまとまっているのですが・・・築城からの経緯がとても複雑で、おそらく「日本で一番、わけアリなお城」と言えるんじゃないかと思います。

わけアリ1:完成前に大嵐で倒壊

「伊賀上野城」はこの地に元々あった「砦」を徳川家康の命で藤堂高虎が拡張したお城で、「大坂冬の陣・夏の陣」で豊臣家を包囲するために建設されました。しかし、完成前の1612年9月2日の大嵐(時期的におそらく台風)により、なんと天守が倒壊!180名もの犠牲を出したのだそうです。

わけアリ2:建設中止のまま江戸時代を過ごす

その後、豊臣家が敗北したため、築城する理由がなくなった伊賀上野城は何と建設中止!になってしまいます。一度も完成しないまま、その後200年以上にわたって放置された「ネグレクト城」だったようです。

わけアリ3:地元議員の私財で昭和初期に再建

過去一度も「完成」に至らなかったお城を再建(と言うより新築?)したのは、昭和初期の衆議院議員、川崎 克さんでした。なんと建設費用は私財。戦国時代の当初の計画にあった「五層五階」ではなく、「三層三階」での建築になりました。コンクリート建築にする案もあったようですが、川崎さんの強い意志で「木造」になったようです。コンクリートで作ると、どうしても壁や屋根が分厚い造形になってしまうのですが、木造だったから現在の美しい姿が実現したのではないかと思えます。

美しい佇まい

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こちらは東から見た姿ですが、木造ならではの繊細な造形になっています。石垣が高く積まれているのも特徴ですね。

そして西から見た姿がこちら。この日はあいにく雨だったのですが、桜の演出も相まって美しかったです。

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さて、こちらが城内への入口なんですが・・石垣の位置が高いので、入口も遥か上にあります。階段も波打っているので、登り降りにはご注意ください。

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城内は広い!

現存城は敵の侵入を防ぐため、屋内が狭く区切られているのが常なんですが・・こちらは昭和初期の建築なので、展示などの用途にも使えるよう、広々とした空間が確保されています。

エントランスでは伊賀上野城のキャラクター「タイガー君」がお出迎えしてくれます。おそらく「藤堂高虎」さんにちなんだ「虎」と、タイガーの「イガ=伊賀」の語呂合わせと思われます。猫科動物の頭にお城が乗っかった組み合わせなので、彦根の「ヒコニャン」にコンセプトが似ています

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お城の一階には、忍者が壁に這うこんな演出も。上野駅の駅名も「忍者駅」に変えてしまった伊賀市だけに、徹底した「忍者推し」です。

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こちらが三層天守の最上階です。お城の最上階で、こんな広々とした空間は見たことが無いです。

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城から見た南側の風景。名阪国道が見えます。

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こちらはお城の北側の眺望。JR関西本線が遠くに見えます。単線で編成は1両!なんですが、コロナ禍以前は外国人観光客で賑わっていました。

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ちなみに、展示されていた武具の中で、こちらの「藤堂高虎の兜」が個人的に気に入りました。実用性を無視した、前衛的な造形が素敵です。

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この兜なら漫才のツッコミに使えると思うのですがどうでしょう?こんな感じで、兜で「バシッ」と出来ますね♪

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「なんでやねん」

もうひとつの見どころ「30mの高石垣」

さて、伊賀上野城にはもう一つ、大きな見どころがあります。それがこちら。

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こんなに必要だったのか?と思えるほどの高さは約30m。なんと大坂城と同等!だそうです。「大坂冬の陣・夏の陣」は結果的に東軍が圧勝しましたが、大坂から100kmも東にある伊賀上野に、こんな高石垣を作って防御するなんて・・・当時、家康は「楽勝できる」とは思っていなかったのでは?と、想像を巡らしてしまいます。

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もうひとつの高石垣「レストランいとう」

さて、伊賀上野に行ったらもう一つお勧めしたいスポットがあります。洋食のお店「レストランいとう」なんですが、ステーキ丼がめちゃ美味かった!です。ミディアム・レアの火加減も素晴らしいです。

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真っ黒なカレーも有名らしいので、さらに「カレー小盛」を追加注文しました。東京・神保町の「キッチン南海」のカレーと同じくらいの黒さなので、おそらく焙煎したカカオの色?と思います。時間差で牛肉と玉ねぎのエキスが口の中に広がる、素敵な味わいです。

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ただ、上品に見えるこちらのメニュー、「大盛り」をコールすると状況は一変します。たとえば「カツカレー大盛」はこちら。

▼「テラめし倶楽部」資料画像

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カレーの高石垣ですね(汗)。お店の方によると、「総重量3kg」と説明だそうです。自信がある方はぜひお試しください!

そんなわけで「ワケあり」の伊賀上野城、外観も歴史も、ゆっくり見て楽しめる良いお城でした。機会があったらぜひお出かけください。公園内には「忍者屋敷」「芭蕉記念館」もありますよ♪ (RYU)