メモ-(論文-海外)ADHDの中核症状と実行機能に対する慢性的な運動の効果

論文の詳細なまとめ

タイトル:
Chronic Exercise for Core Symptoms and Executive Functions in ADHD: A Meta-analysis
(日本語訳:ADHDの中核症状と実行機能に対する慢性的な運動の効果:メタアナリシス)
https://publications.aap.org/pediatrics/article/151/1/e2022057745/190271/Chronic-Exercise-for-Core-Symptoms-and-Executive?autologincheck=redirected

著者:
Huan Huang, BD; Zhijuan Jin, PhD; Changshuang He, BD; Shaoyu Guo, BD; Yiwen Zhang, MD; Minghui Quan, MS, PhD

所属組織:

  • School of Exercise and Health, Shanghai University of Sport, Shanghai, China

  • Department of Developmental and Behavioral Pediatrics, Shanghai Children’s Medical Center, School of Medicine, Shanghai Jiaotong University, Shanghai, China

研究の目的

この研究の目的は、慢性的な運動介入(CEIs)がADHDの子供および青少年の中核症状(注意欠陥、多動性、衝動性)および実行機能(EFs)に対してどのような影響を与えるかを評価することです。また、異なる運動の特性(運動の種類、強度、頻度、セッション時間、介入期間)が効果にどのように影響するかを調査しています。

実験の内容

データ収集

  • データソース: PubMed, Embase, Web of Science, Cochrane Library, China National Knowledge Infrastructure

  • 対象期間: データベースの開始から2022年7月31日まで

  • 対象研究: 無作為化対照試験(RCT)

  • 対象者: ADHDと診断された6歳から18歳の子供および青少年

運動介入の種類

  • クローズドスキルエクササイズ(特定の動作を繰り返す運動)

    • 例: ランニング、ジャンピングロープなど

  • オープンスキルエクササイズ(変化する環境で行う運動)

    • 例: バスケットボール、テニスなど

運動の強度

  • 軽度

  • 中程度

  • 中等度から激しい

  • 激しい運動

運動頻度

  • 週に1回から7回まで

運動セッションの持続時間

  • 15分から180分

介入期間

  • 最短6週間から最長72週間

主要な結果

  • 中核症状の改善:

    • 全体的な効果: ADHDの中核症状全体に対して小さな有益な効果が見られました(SMD -0.39, 95% CI -0.64 to -0.14)。

    • 注意欠陥: 特に注意欠陥に対して効果が見られました(SMD -0.32, 95% CI -0.63 to -0.004)。

  • 運動の種類による効果:

    • クローズドスキルエクササイズ: 中核症状に対して大きな改善が見られました(SMD -0.83, 95% CI -1.30 to -0.35)。

    • オープンスキルエクササイズ: 明確な効果は見られませんでした。

  • 実行機能の改善:

    • 全体的な効果: 実行機能全体に対して中程度の有益な効果が認められました(SMD -0.68, 95% CI -0.91 to -0.45)。

    • 特定の実行機能領域: ワーキングメモリ、抑制制御、認知の柔軟性などの実行機能領域にも中程度から大きな効果が見られました。

結論

  • 運動の有益性: 慢性的な運動介入は、ADHDの子供および青少年の中核症状および実行機能に対して有益な効果を持つことが示されました。

  • 運動の種類の重要性: 特にクローズドスキルエクササイズが効果的であり、注意欠陥や実行機能の改善に寄与します。

  • 運動特性の影響: 運動の持続時間や頻度、強度などの異なる特性が効果に影響を与えることが確認されました。

研究の意義

この研究は、ADHDの症状管理における運動の役割を強調しており、運動プログラムの設計において運動の種類や強度、頻度などの特性を考慮することの重要性を示しています。特に、クローズドスキルエクササイズの有効性が確認されているため、今後の臨床実践においては、このような運動プログラムの導入が推奨されます。

対象の人数

このメタアナリシスには、計2135名の参加者が含まれています【135†source】【136†source】【138†source】。

参考文献:
Huang H, Jin Z, He C, et al. Chronic Exercise for Core Symptoms and Executive Functions in ADHD: A Meta-analysis. Pediatrics. 2023;151(1):e2022057745. DOI: 10.1542/peds.2022-057745.

感想 かなり対象が2135人と大きい調査。ここから分かるのは、クローズドスキルエクササイズ-特定の動きを繰り返す散歩のような運動でもADHDには効果があった点。実行機能全体に対して中程度の有益な効果が認められたそう。中程度の有益な効果って結構効果あるよなぁと。しかも、複雑な動きじゃなくて良いってのが味噌。


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