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【ABAで考えるいじめ対策】 アメリカの公立中学校のイジメ予防

米国の中学校:いじめが起こりにくい環境作りが徹底されている

ABAでは、
行動は環境に影響されるため、不適切な行動が発生しやすい環境を修正することで、不適切な行動を減らすことができる
と考えます。ですから、

学校でいじめをなくしたいなら、まず、
(1)いじめが発生しやすい環境を特定し、
(2)その環境をいじめが起こりにくい環境に変える必要があります。

ABAではこのような対策を「先行的介入(Antecedent interventions)」と言いますが、うちの双子が通っていたアメリカの公立中学校は、この辺りが徹底していました。

アメリカの中学校のいじめ予防

と言っても、アメリカの中学校はどこもこんな感じだと思うので、うちの子どもたちが通っていた中学校だけが特にいじめ対策が徹底していたというわけではありません。あくまでも、日本の公立中学校の元教員としての個人的な印象です。

【日本の中学とは異なる】アメリカ中学のいじめ予防5選

①まるで大学:個別の時間割で生徒が移動。
②授業の間の休み時間はわずか4分。
③校舎の至るところに防犯カメラ。
④放課後は学校に残れない。
⑤いじめ発生時の迅速かつ徹底した対応。

①まるで大学:個別の時間割で生徒が移動

アメリカの公立中学校の時間割は、日本の大学の時間割とよく似ています。

時間割は一人ひとり全く異なります:一卵性双子で学力がほとんど同じ息子たちですら、全く異なる時間割でした。

生徒は自分の時間割に合わせて、授業ごとに教室を移動します。

必須科目と選択科目があります。

必須科目はレベル分けされています。:レベルの高い子は、ある授業だけはスクールバスで高校に出向き、高校で授業を受けたりもします。

選択授業はかなり豊富です:日本人視点からは「それは授業なのか?」と思われる授業もありました。例:グループで好きなショート映画を作るなど。

このシステムの利点

 ▶︎自分のレベルに合った授業を受けることができる。
 ▶︎自分の興味に合わせて授業が選べる。
 ▶︎ つるむ時間がないので、いじめやトラブルが発生しにくい

②授業の間の休み時間はたった4分

授業と授業の間の休み時間は4分しかなく、その時間の全ては移動時間となります。トイレにも行く時間はありません。
子どもたちは授業が終わるとすぐに教室を出て、次の教室まで、早歩き移動します。トイレは授業中に行くことになっています。

授業中のトイレ

トイレは先生の許可を得てから行きますが、先生は退室した時間と戻ってきた時間を記録します。これにより、誰が、いつ、どれくらい退席したかがわかります。

このシステムの利点

 ▶︎複数でつるめないので、トイレ内でのイジメや悪さを防げる。
 ▶︎生徒の健康チェックができる(頻度が多いと糖尿を疑われる)

元公立中学教師にとって、トイレは鬼門です。
いじめ、喫煙、薬物、器物破損、放火などが起こりやすいところです。
複数で集まると、問題が起こりやすくなります。
授業中にトイレに行くシステムですと、集団で悪さがしにくくなります。
サボりのために頻繁にトイレに行くようなら、必ず先生のチェックが入ります。

③校舎のいたるところに防犯カメラ

ありとあらゆる場所に設置されていて、体育館裏や廊下の行き止まりなど、いじめが発生しやすい場所にもカメラが設置されていました。

入学説明会の時、校長先生が
「死角になりそうなところにもカメラを設置しているので、いじめ対策は万全です!」
と満面の笑みで、誇らしげに語っていました。
日本だったら「子どもの人権がー」と反対されるでしょう。私が勤務していた中学でも、あまりにも問題が増えた時に、ある先生からカメラ設置案が出ましたが、すぐに却下されてしまいましたね。

④放課後は学校に残れない

学校が終わると全校生徒たちは一斉に校舎からいなくなります。なぜなら、スクールバスがすぐに出発してしまうからです。
アメリカの子供たちのほとんどは、スクールバスを利用します。そして、スクールバスは、同じ学区の小,中,高校生たちを時間差で順番に運ぶので、過密スケジュールのため、遅れた生徒を待ってはくれません。ですから学校が終わると、子供たちはすぐにバスに乗り込む必要があります。

このシステムの利点

言うまでもなく、放課後、先生の目が届きにくい時間帯でのいじめを防げますね。

⑤いじめが起こった時の対応の素早さ※

そんな中学校でも、うちの双子が通っていた時に1度だけ、いじめが発生しました。すると、その日のうちに、Eメールと手紙の両方で、全校生徒の保護者に報告されました。
個人名は伏せてありましたが、
「いつどこでどのようないじめが起こったのか、学校は被害生徒をどうサポートしたのか、加害生徒にはどんなペナルティがあるのか(2週間の停学)」詳細に説明されていました。
しかも、その手紙はわざわざ目立つようにピンクの紙が使われていました。

※ 今 さっき、息子たちにこの話を覚えているか聞いてみたところ、
「あれは、いじめと言うより、1対1の殴り合いのケンカだった」
と言っていました。

息子たちは「あの環境ではいじめは起こり得ないからね」と言います。これは、あくまで息子たちから見た個人的意見ですから、この意見がアメリカ全ての中学校を代表しているわけでも、正確だということもできません。

次回は、アメリカの高校=日本の中学校の3年生の2学期に、日本の公立中学校に転校した際に感じた、日米の学校の違い、先生や生徒たちの違い、いじめの違いや逆カルチャーショックについてもお話ししたいと思います。







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