子育てが大変になるメカニズムとABA(応用行動分析)ベースの正しいアプローチ
「子育てって本当に難しい…」
子どもの行動に悩んだことはありませんか?一生懸命しつけているのに、子どもの反応が期待とは違って、ついついイライラしてしまうこともありますよね。
「厳しくしつけているのに、なぜか言うことを聞かない…」
「叱ってばかりで、なんだか親子関係がギスギスしてきた…」
実はこうした悩みは、「良かれと思ってやったしつけ」が裏目に出てしまうことで起こっていることが多いのです。この記事では、なぜ子育てが大変になるのか、そしてABA(応用行動分析)の観点から、正しいアプローチについてわかりやすく解説します。
親子関係が悪化しやすい「ネガティブな育児スタイル」とは?
育児には大きく分けて2つのスタイルがあります。
ポジティブな育児:良い行動を教え、できたら褒めることで、良いマナーを身につけさせる方法
ネガティブな育児:悪い行動を叱り、悪い行動を減らすことで、良いマナーを身につけさせる方法
褒めてばかりだと子供が甘やかされてしまうのでは?悪い行動は叱って厳しく育てることが、将来の子供のために大切と思われがちですが、行動科学では、ポジティブな育児が効果的だと科学的に証明されています。具体的にわかりやすいように、買い物中の行動を例に考えてみましょう。
ネガティブな育児の場合
事前に適切な行動を教えていない
子どもにマナーを伝えないままスーパーに行き、子どもが走り回ってしまうことがあります。不適切な行動を叱る
「走っちゃダメ!」と、叱って正そうとします。
ネガティブな育児の問題点
叱られても、代わりに何をすればいいかわからない
「走っちゃダメ」と言われても、子どもは「じゃあ何をすればいいの?」と困ってしまいます。親が叱り続ける悪循環
叱られた行動(走る行動)はやめても、他の不適切な行動(商品を触る、おねだりする)に切り替わることがよくあります。ラベリング効果&自己成就予言
子どもが叱られ続けると、ラベリング効果により「自分は悪い子だ」と自己認識し、そのレッテルに合わせて行動するようになります。これは、親の期待(叱られる行動をする子)が自己成就予言となり、子どもが意図的に悪さをして親の注意を引こうとする結果です。結果的に、悪循環が続き、「問題児」のように振る舞うことが定着してしまう危険性があります。
ネガティブ子育て:「しつけ」が裏目に出るメカニズム
例えばスーパーで「走っちゃダメ」と叱られた子供が、走らない代わりに今度は「お菓子のおねだり」を始めたとします。
悪循環のパターン
子どもがおねだりを始める
子ども:「ねえ、これ買って!買って!」
親:「ダメって言ってるでしょ!」おねだりがエスカレートする
子どもは泣いたり騒いだりし始める。周りの迷惑にもなるし、買い物が滞ってしまう。親が根負けして買ってしまう
親:「今日だけだからね!」子供が泣き止み、買い物が再開する
ここで何が起こったの?
子どもは「ごね得」を学んだ
「騒げば欲しいものが手に入る」と学び、今後もおねだりがエスカレートします。親の行動も強化される
「お菓子を買えば、子どもが静かになる」という経験から、また同じ状況で根負けしてしまう可能性が高まります。
ABAベースの正しいアプローチ:ポジティブな育児のコツ
では、どうすればいいのでしょうか?ポイントは「ポジティブな育児」を取り入れることです!
1. 事前に適切な行動を教える
「スーパーでは走らないで、静かに歩こうね」と子どもに教えます。
2. ポジティブなフィードバックを与え続ける
お買い物をしながらも、良い行動を促すような声かけをしたり、頑張っているプロセスを褒め続けます。つまり「ルールを守ると楽しいね」という声かけを続けます。
「静かに歩いているね。かっこいいよ」
「一緒に歩きながらお買い物すると楽しいね」
などと笑顔で伝えましょう。
3. 走りそうになったら?すぐに叱らず、思い出させる
もし約束を忘れて走り出しそうになったら、すぐに叱るのではなく、思い出させます。
親「あれ?どうするんだっけ?」「お店の中を走ったら…?」
子供「だめ」
親「そうだよね。だめだったよね」
このようになるべく子供に自分で気付かせ、自分で行動修正できるように促していきます。
4. 役割を与える
子どもに小さな役割を任せることで、「自分が家族の役に立っている」という責任感と達成感が得られます。
「りんごとバナナ、どっち買う?」
「じゃあ一番美味しそうなのを選んで持ってきて」
「良いの選んできたねー。ありがとう」と親が声をかけることで、子どもの努力や判断を肯定し、自己肯定感を高める効果もあります。
5. 約束が守れたらほめる、感謝を伝える
約束が守れたら、
「約束通り、走らず静かに歩けたね。ママすごく助かった!ありがとね」
どうしても欲しいお菓子があったなら、「約束守ってくれたから、お菓子買っても良いよ」とここで許します。
家に帰ってから「今日はとっても上手に買い物ができたんだよ」とパパにも報告して、パパからも褒めてもらうと良いですね。
こうした対応を繰り返すことで、子どもは「良い行動=褒められる・嬉しいことがある」と学びます。
ABAベースの「ペアレントトレーニング」とは?
「叱らずに褒めるなんて難しい…」という方には、ABAベースのペアレントトレーニングが役立ちます。
ペアレントトレーニングとは?
子どもの行動を科学的に分析する
良い行動を増やし、不適切な行動の対処方法を学ぶ
目標を設定し、計画的にサポートする
ABAは行動科学に基づいたアプローチなので、親子関係の改善にとても効果的です。
まとめ
良かれと思ってやった「しつけ」が、実は子育てを難しくしていることがあります。
大切なのは、子どもの良い行動を見逃さずに褒める「ポジティブな育児」を心がけること。叱るよりも褒める回数を増やすことで、親子関係はぐっと良くなります。
「うちの子、なんで言うことを聞かないんだろう…」と悩んだら、一度「ポジティブな育児」を意識してみてくださいね!