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子育てが大変になるメカニズムとABA(応用行動分析)ベースの正しいアプローチ

「子育てって本当に難しい…」
子どもの行動に悩んだことはありませんか?一生懸命しつけているのに、子どもの反応が期待とは違って、ついついイライラしてしまうこともありますよね。

「厳しくしつけているのに、なぜか言うことを聞かない…」
「叱ってばかりで、なんだか親子関係がギスギスしてきた…」

実はこうした悩みは、「良かれと思ってやったしつけ」が裏目に出てしまうことで起こっていることが多いのです。この記事では、なぜ子育てが大変になるのか、そしてABA(応用行動分析)の観点から、正しいアプローチについてわかりやすく解説します。

親子関係が悪化しやすい「ネガティブな育児スタイル」とは?

育児には大きく分けて2つのスタイルがあります。

  • ポジティブな育児:良い行動を教え、できたら褒めることで、良いマナーを身につけさせる方法

  • ネガティブな育児:悪い行動を叱り、悪い行動を減らすことで、良いマナーを身につけさせる方法

褒めてばかりだと子供が甘やかされてしまうのでは?悪い行動は叱って厳しく育てることが、将来の子供のために大切と思われがちですが、行動科学では、ポジティブな育児が効果的だと科学的に証明されています。具体的にわかりやすいように、買い物中の行動を例に考えてみましょう。


ネガティブな育児の場合

  1. 事前に適切な行動を教えていない
    子どもにマナーを伝えないままスーパーに行き、子どもが走り回ってしまうことがあります。

  2. 不適切な行動を叱る
    「走っちゃダメ!」と、叱って正そうとします。

ネガティブな育児の問題点

  • 叱られても、代わりに何をすればいいかわからない
    「走っちゃダメ」と言われても、子どもは「じゃあ何をすればいいの?」と困ってしまいます。

  • 親が叱り続ける悪循環
    叱られた行動(走る行動)はやめても、他の不適切な行動(商品を触る、おねだりする)に切り替わることがよくあります。

  • ラベリング効果&自己成就予言
    子どもが叱られ続けると、ラベリング効果により「自分は悪い子だ」と自己認識し、そのレッテルに合わせて行動するようになります。これは、親の期待(叱られる行動をする子)が自己成就予言となり、子どもが意図的に悪さをして親の注意を引こうとする結果です。結果的に、悪循環が続き、「問題児」のように振る舞うことが定着してしまう危険性があります。

ネガティブ子育て:「しつけ」が裏目に出るメカニズム

例えばスーパーで「走っちゃダメ」と叱られた子供が、走らない代わりに今度は「お菓子のおねだり」を始めたとします。

悪循環のパターン

  1. 子どもがおねだりを始める
    子ども:「ねえ、これ買って!買って!」
    親:「ダメって言ってるでしょ!」

  2. おねだりがエスカレートする
    子どもは泣いたり騒いだりし始める。周りの迷惑にもなるし、買い物が滞ってしまう。

  3. 親が根負けして買ってしまう
    親:「今日だけだからね!」

  4. 子供が泣き止み、買い物が再開する

ここで何が起こったの?

  • 子どもは「ごね得」を学んだ
    「騒げば欲しいものが手に入る」と学び、今後もおねだりがエスカレートします。

  • 親の行動も強化される
    「お菓子を買えば、子どもが静かになる」という経験から、また同じ状況で根負けしてしまう可能性が高まります。

ABAベースの正しいアプローチ:ポジティブな育児のコツ

では、どうすればいいのでしょうか?ポイントは「ポジティブな育児」を取り入れることです!

1. 事前に適切な行動を教える

「スーパーでは走らないで、静かに歩こうね」と子どもに教えます。

2. ポジティブなフィードバックを与え続ける

お買い物をしながらも、良い行動を促すような声かけをしたり、頑張っているプロセスを褒め続けます。つまり「ルールを守ると楽しいね」という声かけを続けます。

「静かに歩いているね。かっこいいよ」
「一緒に歩きながらお買い物すると楽しいね」
などと笑顔で伝えましょう。

3. 走りそうになったら?すぐに叱らず、思い出させる

もし約束を忘れて走り出しそうになったら、すぐに叱るのではなく、思い出させます。
親「あれ?どうするんだっけ?」「お店の中を走ったら…?」
子供「だめ」
親「そうだよね。だめだったよね」

このようになるべく子供に自分で気付かせ、自分で行動修正できるように促していきます。

4.  役割を与える

子どもに小さな役割を任せることで、「自分が家族の役に立っている」という責任感と達成感が得られます。

「りんごとバナナ、どっち買う?」
「じゃあ一番美味しそうなのを選んで持ってきて」
「良いの選んできたねー。ありがとう」と親が声をかけることで、子どもの努力や判断を肯定し、自己肯定感を高める効果もあります。

5. 約束が守れたらほめる、感謝を伝える

約束が守れたら、
「約束通り、走らず静かに歩けたね。ママすごく助かった!ありがとね」

どうしても欲しいお菓子があったなら、「約束守ってくれたから、お菓子買っても良いよ」とここで許します。

家に帰ってから「今日はとっても上手に買い物ができたんだよ」とパパにも報告して、パパからも褒めてもらうと良いですね。

こうした対応を繰り返すことで、子どもは「良い行動=褒められる・嬉しいことがある」と学びます。

ABAベースの「ペアレントトレーニング」とは?

「叱らずに褒めるなんて難しい…」という方には、ABAベースのペアレントトレーニングが役立ちます。

ペアレントトレーニングとは?

  • 子どもの行動を科学的に分析する

  • 良い行動を増やし、不適切な行動の対処方法を学ぶ

  • 目標を設定し、計画的にサポートする

ABAは行動科学に基づいたアプローチなので、親子関係の改善にとても効果的です。

まとめ

良かれと思ってやった「しつけ」が、実は子育てを難しくしていることがあります。

大切なのは、子どもの良い行動を見逃さずに褒める「ポジティブな育児」を心がけること。叱るよりも褒める回数を増やすことで、親子関係はぐっと良くなります。

「うちの子、なんで言うことを聞かないんだろう…」と悩んだら、一度「ポジティブな育児」を意識してみてくださいね!






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