『シューメーカーの足音』
本城雅人さんの作品。
イギリスで活躍する靴職人の斎藤と、東京で靴修理を行う智哉。智哉は斎藤に対して復讐を行っていく。
靴作りというのは奥深い世界だということがよく分かった。途中に革靴の磨き方が書かれていて、とても勉強になった。
斎藤が女性の体を使って長さを測る場面が印象に残っている。正確に立体の長さを測るというのはかなり難しいのだなと感じた。
印象に残っている文
斎藤は、画家だろうが建築家だろうが、そして靴職人であろうが、それぐらいのナルシズムがなければ頂点まで到達することはできないと思っている。
注文靴の世界でいうフィッティングとは、釣り込みを終えた靴を、底付けする前に一度客に履いてもらうことを指す。
言葉など道具であり、通じればどうでもいいと甘く見てしまう男たちは、海外で仕事をしても成功して日本に戻ることばかりを夢見る。しかし女は違う。骨を埋めてもいいとばかりに本気でその国の人間に成りきろうと努める。
「足において、もっとも難しいと言われるのがアッパーから足首にかけての斜めのラインの計測だ」