『LIFE』 佐平荘具 2023年12月12日 17:02 本城雅人さんの作品。同じ高校のサッカー部の中心選手だった3人。一人はプロサッカー選手になり、一人は警察官になり、一人は悪事に手を染めていく。年月を経て3人が再び交わることになる。靖春、文雄、修平の3人の生き方にそれぞれ個性があって、読むのが楽しかった。仲が悪いほど試合での連携が良くなるという修平の考えがとても興味深かった。サッカー賭博で裏社会の人がマネーロンダリングをする仕組みがわかりやすく書かれていた。自分が警察に勤務したら、出世とは無縁になりそうだと感じた。印象に残っている文「サッカーが上手になりたかったら、普段からどんなプレーをすれば点が決まるか、頭の中で得点シーンをイメージするんだ。サッカーというスポーツは、一日中、サッカーのことを考えていた選手が、一番活躍できるスポーツなんだよ」愛情なんてものは、金庫の目盛りと同じだ。一致する感性の周りには、無数の不一致が存在している。だから目盛りが一つ動いただけで、好きが嫌いに変わり、今まで見過ごせたことが、気になって仕方なくなるのだ。「なによりも捕まらないことだ。後ろを歩く者は必ずチェックしろ。とくに靴だ。服は着たり脱いだりできるが、靴は変えられない。同じ靴の人間が何度も現れるようなことがあったら、取引はやめて帰ってこい」一度透析を始めたらやめることはできない。血液を濾過し、老廃物を排出する透析は、体にとってけっして楽ではない。四、五時間の透析が終わるとぐったりし、歩く気力も失せてしまうらしい。「チームワークなんてものは後からついてくるものだよ。俺たち警察官の仕事でも同じさ。個人の仕事ができない連中が組織で動いても、ろくな捜査はできない」「体の中で一番タフに動くのが腎臓で、次が大腸、その次に肝臓、膵臓と続くらしいぞ。だけど人間は、脳や心臓の方がよほど活発に動いているようで大事だと思っているから、腎臓や大腸は報われねえわな。大概の臓器は癌細胞に冒されるが、心臓と脳の神経細胞には癌は起きない」男の戦いは、幼い頃、友達と遊んでいる時から始まっている。他人に嫉妬したり、羨ましく思ったり、不安になったり……そんな小さな競争の積み重ねだ。 ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する #life #本城雅人