『ムーミン谷の冬』


トーベ・ヤンソンさんの作品。

ムーミンの本名がムーミン・トロールということを初めて知った。

ムーミンにとって、冬は今まで自分が知らない世界だった。私達からすれば冬は当たり前に来るものだと思っているが、そうでない人もいる。新しいことを経験したときに感じる高揚感を思い出しながら読んだ。ムーミンのお母さんがムーミンのくしゃみで目覚めるというのが、親子ならではのことだと思った。

印象に残っている文

(お日さまは、これきりもう、のぼらないのではないだろうか)

「この世界には、夏や秋や春にはくらす場所をもたないものが、いろいろといるのよ。みんな、とってと内気で、すこしかわりものなの。ある種の夜のけものとか、ほかの人たちとはうまくつきあっていけない人とか、だれもそんなものがいるなんて、思いもしない生きものとかね。」

枝という枝は、みんな、わたぼうしをかぶっていました。そして、木という木は、ゆかいなおかし屋さんがおどけてこしらえた、ものすごく大きなデコレーションケーキそっくりでした。

「世の中って、ほんとにおもしろいものね。銀のおぼんのつかいかたは、一つきりだと、一生みんなが思ってきたんだわ。それなのに、ぜんぜんべつの、ずっといいつかいかたがあったのね。」

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