『苦役列車』
西村賢太さんの作品。
芥川賞受賞作である。
日雇い労働で生計を立てる貫多の物語。
専門学校生の日下部との友情がずっと続いてほしいと思ったが、そうはならなかった。日下部との友情が崩れる場面がとてもリアルだった。
弁当の中身が社員と日雇い労働者で変わる場面がとても印象に残っている。
印象に残っている文
朝の公共の場特有の微かに大便の異臭が漂う蒸し暑い車内で、貫多はひたすら昼に出る、日当天引きの仕出し弁当を貪り食う時間を夢想するのである。
こんなのは予防注射と一緒で、一回、いっとき痛さを(それと土下座の恥辱とを)我慢すれば、その後当分の間はそれと無関係に過ごせるのである。