『クワトロ・フォルマッジ』
青柳碧人さんの作品。
ピッツェリアの「デリンコントロ」で一人の男が殺害される。デリンコントロで働く4人の従業員の視点から、物語が進んでいく。
仁志が主人公だと思っていたら、他の登場人物の視点もあり読むのが楽しかった。
4人それぞれが複雑なものを抱えているため、勝手に勘違いしていく様子が面白かった。
ハエに卵を産ませて作るチーズがとても気になった。法律で販売が禁止されているというのが驚きだった。
印象に残っている文
日々、目立つグループの友人たちと同じ音楽を聴き、同じ動画を見、同じ話題に笑って過ごす。
一度はこの人と決めて結婚した男の人の気持ちが、私に傾いていく。これって、なんと素晴らしいことなのだろう。
「麻薬取締官。勘違いしている一般人も多いが、俺たちは警察官じゃない。厚生労働省所管の麻薬取締部の職員だ」
ゴルゴンゾーラは青かびを抑えたドルチェと、昔ながらの青かびの量で作られるピカンテの二種類がある。ピカンテのほうはドルチェに比べ、舌にぴりりとした刺激がある。
ピザ窯でピザを焼くのは簡単そうに見えて実に難しく奥深い。まず生地はその日の温度や湿度によって伸び具合が異なる。ソースの量や具の配置だって均一にするのに神経を使うし、パーラーに載せるときにも形が崩れないようにしないとならない。それにも増して神経を使うのが、窯に入れたあとだ。その時の薪の量や燃え具合で熱は刻一刻と変わるし、火に近いほうが先に焼けるので、こまめにパーラーの先でピザを回転させる必要がある。
「男って、誰かと足並みをそろえて人生を歩んでいくのに向かない生き物なんですかね」