『私は存在が空気』


中田永一さんの作品。以下の話が収録されている。

少年ジャンパー
私は存在が空気
恋する交差点
スモールライト・アドベンチャー
ファイアスターター湯川さん
サイキック人生

特殊能力を持つ人の話である。「少年ジャンパー」では主人公が過去に行ったことのある場所であれば、ジャンプで瞬間移動することができる。とても便利な能力だと思った。この能力を持っていたら、行ったことのある場所を増やそうと思ってどんどん行動力がついていくのではないか。「私は存在が空気」では、黒子のバスケを思い出した。「ファイアスターター湯川さん」では、能力の使い方に注意が必要だと思った。「サイキック人生」では、キャラに悩む主人公の姿がとても印象的だった。


印象に残っている文

まるでグランド・キャニオンのような岩ばかりの惑星へ連れて行かれて人体実験をほどこされると誤解されたかもしれない。

しかし以前のような孤独感はもうない。靴の裏側でしっかりと地面を踏みしめているような、安定した気持ちをたもつことができた。

Gとは黒色で触角の生えたおそろしい生命体のことである。

天然キャラには威厳というものがない。

グループを構成する仲間たちには、それぞれに役割がある。みんなをひっぱっていく司会者のような存在、だれかがおかしなことを言うとツッコミをいれる友人。バラエティ番組の収録風景のようだ。友人Aは気の利いた発言で会話のアシストをする。きれいでおしとやかな友人Bは、にこにことほほえんでいるだけでいい。私はすこし的外れなことを言って場をわかせる役だ。

彼と話していると、「そうそう、それ、そういうことを言いたかったんだよ!」とすっきりするのだ。

ほんとうの自分をしっている存在が、私にはちゃんといる。それだけで、社会生活を営む上でどんなことがあってもへっちゃらだとおもえる。

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