ベンチャーで、ひとり経理部になる
はじめに
初めて記事を書きます。
長いこと文章を書きたいと思っていたけど、完璧主義な一面や、恥をかきたくないとか、そういうつまらない思いのせいで実現できていなかった。なぜいま書き始めようと思ったかは、またひとつのテーマとして書いてみようと思います。
まずは、最近いちばん考えている仕事のこと、キャリアのことから書き出してみたいと思います。そのほかにも、海外旅行が好きなので、持っていくと助かる神アイテムや、整理整頓や掃除の仕方にもこだわりがあるので、そんな話題も書いてみたいと思っています。
人生の転機
30歳を目前に、一部上場企業からベンチャー企業へ転職しました。それまでは古い体質の会社で経理をやっていたので、20代はコツコツと働いて「優秀な作業者」となることが出来ました。社内では優秀な作業者として、いい人に囲まれて、なんとも居心地のいい会社で20代を過ごしたのです。
20代後半になると、たまたま他社の経理部員と会話する機会があり、うすうす自分でも感じていたけど、自分の経理スキルはとても低いということを痛感しました。従順な作業者でしかなく、経理としての専門性を身につけられていない。そう思い始めると、居ても立っても居られないくらいの焦燥感が襲ってきます。自分のスキルを疑っていた期間は長かったけど、転職活動をして次の会社を決めるのはすぐでした。どこかで決定打を待っていたのだと思います。転職した時に、キャリアだけじゃなく人生全体の長いトンネルから抜け出したと感じられたのは、今でも本当によかったと思っています。
ベンチャーへ転職
とにかく前職では何の専門性も身に付いていないという低い自己評価だったので、与えられる仕事はなんでもやります、頑張らせてください、と言っていたら、財務会計、管理会計、新卒採用などを担当することとなりました。波はあるけど、目まぐるしい日々です。採用で地方にひとり出張しながら、夜中ビジネスホテルで、来期KPI設定のために延々と集計した日もありました。その瞬間はプレッシャーを感じたり余裕がなくて辛いのですが、大体のことは喉元過ぎればという感じで、割と淡々と乗り越えてきました。
そして思いのほか、コツコツやってきたことが評価されました。確動性が高いだとか、丁寧な運用だとか、ラッキーなことにこういう小さいベンチャーには「優秀な作業者」がいなかった。「臨機応変に、周囲を巻き込んで大回しができる人」ばかりなので、彼らに出来ないことが出来たから重宝されたのだと思います。ラッキーではあったけど、私と近い属性の人がいないから、その役割は私に集中する。そのせいで気持ちが殺伐とすることも、時にはありました。
あと本来の転職の目的だった「専門性を身に付ける」は、徐々ではあるものの達成できていると思っています。なんというか、やってみたらできたという感じ。スキルがないのではなく、やったことがないだけだったんでしょう。今くらいの会社規模であれば、簿記2級まで持っていれば十分に一人で進められます。勉強嫌いな人間なので、私は経理部になってから何年も経ってから簿記2級を取得しました。実務をやってから体系的に学んだ形ですが、これはこれでよかった。実務と知識が結びついて、腹落ち感も強く、資格の勉強はいまだに嫌いですが、本当に意味のある学習でした。
ベンチャーで楽しいこと、つらいこと
楽しいのは、やはり若い人達に囲まれて、活き活きとした毎日が過ごせること。小言を言うベテラン社員もいないし、意味が分からない慣例的な死んだルールとかもほとんどない。
またこれは私の特有の環境によるものかもしれませんが、小さい会社だと会計知識をもっている人間が社内に少数なので、意見が尊重されること。プロフェッショナル扱いをしてもらえます。レガシーな大手でみっちり教え込まれた、ちょっとした運用なんかがとても役に立ちます。そうして会社がちゃんとしていくことをみんな望んでいて、ベンチャーはどこも好きでカオスになっているわけではありません。出来ることならきちんとしたい。でもルールでガチガチになるのは嫌。そこの塩梅をうまく汲み取って運用を敷いていくのが大事だと思います。
逆につらいのは、上記の裏返しですが、会計に明るい人がいないので壁にぶち当たった時には一人で解決しなければなりません。会計に限らず、ほかのタスクにおいてもそうです。そしてその孤独に打ち勝ってやり切れた時に、喜びを共有する相手もいなければ、最悪、その仕事が評価の対象にもならないことも多々あります。
3年ほど働いてみて
目まぐるしい日々にも慣れて今では一切足の踏み入れたことのなかった管理会計も齧り始め、少し停滞を感じ始めたのが今日この頃です。もう少し管理会計の経験を積むことを目下考えてはいるのですが、なんとなく、いまは気持ちが向かないのです。汎用的な経理経験を増やすことが大きな課題だったのですが、転職時のあの焦燥感のような気持ちはもう落ち着いています。転職から時間が経ち、プライベートでもそれなりに変化してきている中で、またひとつ気持ちに変化が訪れているのを感じます。
くすぶっている経理部員へ
経理部にいるけどしっくり来ていない人って、結構いるのではないかと思います。仕事が全然面白いと思えなくて、第二新卒として転職する人もいるでしょうし、私のように30歳みたいな節目の時に腰を据えて考えた人も多いと思います。私の場合は経理畑は離れずに、ベンチャーに行くという選択をしました。自分のスキルや経験に自信がなかったけど、大半のことがやってみたら出来た。やったことがないだけだった。
経理仕事はAIにとって代わられるなんて言われて久しいですが、仕訳や請求書発行しかやっていないとそれは確かにそうなると思います。すでに今もうクラウド型会計ソフトで、かなりのことが自動でやれるようになってきています。なのでこれらを使いこなして、ディレクションする側に回らないといけない。「やったことないこと=出来ないこと」では全然ありません。やればできます。なので、やる機会を少しずつ自分から掴みに行くことが大事です。1回くらい経験すれば、それなりにイロハもわかりますし、もうこれからは「熟練」する必要なんてない。熟練技のいる作業は会計ソフトに覚えさせて、身軽にあれこれ関わって経験したことがあることを広げていくことで、これからが見えてくると思っています。
そんな意味でも、ベンチャーでひとり経理をやるのは大変手っ取り早いです。正直10年20年働くにはしんどい環境ですが、そんな覚悟をしなくてもいいんです。数年頑張るか、と気軽に飛び込んで流れに身を任せていたら、想定を遥かに超える領域の経験をすることとなります。
以上、勉強嫌いな、資格で勝負できない経理部員の未来への考え方でした。
お読み頂きありがとうございます。