ラ・リーガ ーサラリーキャップは必要か②契約解除金
一つ前のnoteの続きです。
何故サラリーキャップを圧迫する契約が増えているのか、仮説でしかないですがそれは契約解除金(バイアウト条項)の設定義務化にあると思っています。
契約解除金とは契約時に設定された契約解除金を支払えば選手が契約を一方的に解除できるというものです。この時クラブ間交渉は必要ありません。通常スター選手に天文学的な契約解除金を付けて非売品にしたり、ステップアップを目指す選手が移籍しやすい契約解除金の設定を求めるといった意図で設定されます。この契約解除金の設定がリーガでは義務化されています。(スペインの法律で契約解除金の設定が無ければ選手が一方的に契約を破棄できるらしい。それを防ぐための契約解除金の設定義務化)(フランスでは設定は禁止)
契約解除金が大きな話題となったのは2017年夏、PSGが契約解除金2億2000万€の移籍金を支払いネイマールをバルセロナから獲得したことです。本来天文学的で、実質非売品とされる値を付けていた契約解除金がインフレとオイルマネーによって支払われてしまいました。セビージャで言えば19年夏前シーズン13ゴール13アシストを記録したサラビアが僅か1800万ユーロ引き抜かれました。
僕の仮説は、これらの移籍を防ぐ為に契約解除金の設定を手の届かない額に設定するのに比例して年俸が上がっているのではないか、ということです。例えば現在のペドリやバルベルデの契約解除金は10億ユーロ。ネイマールの2億2000万ユーロがバカらしくなる金額です。セビージャの選手の契約解除金設定額も近年急増しています。(獲得金額が上がっているのはあるが)基本的に選手側は高い契約解除金を設定したくないはずです。飼い殺されたり、移籍を希望しても移籍できないリスクを小さくしたいからです。つまりクラブが選手に高い契約解除金を受け入れてもらう為には高い年俸を支払うほかありません。
本来他のリーグでは任意であるはずの契約解除金の設定がリーガでは全てのクラブで全ての選手に義務付けられている、その結果“全て”のリーガのクラブが選手の適正な年俸よりも高い年俸を支払わざるを得ない状況が作り出されているのではないでしょうか。
そんな年俸が必ず高くなる状況でリーガでは年俸の総額を制限するサラリーキャップ制度が導入されています。補強?出来るわけないでしょう。契約解除金の設定を義務化するならサラリーキャップ制はあり得ないし、サラリーキャップ制を導入するなら契約解除金の設定義務化はあり得ません。この両立がクラブを苦しめる、少し考えれば分かるはずです。現状リーガのクラブがスター選手を獲るためには適正な額の年俸よりも低い年俸で我慢してもらうしかありません。良い選手獲れるわけないじゃないですか。こんなんでプレミア並みの競争力のあるリーグが作る?どうかしてますよね。
そもそも契約解除金はとにかく選手に有利すぎるものです。高い年俸を支払う上に、契約解除金が支払われればクラブ間の交渉なしに一方的に契約が破棄され出て行かれます。交渉の駆け引きもクソもない。仮に適正額の年俸を支払って高い契約解除金を設定しなかったとして、リーガのクラブが移籍市場においてリーガ以外のクラブでは出来る移籍金交渉時の駆け引きができないのは、交渉における不利でしかありません。契約解除金の義務付けは必要ありません。それぞれのクラブが状況に応じて設定すればいいだけの話です。フランスでは契約解除金の設定が禁止されていますが、私はそれによるデメリットは一度も聞いたことありません。
契約解除金の設定義務の廃止、そしてサラリーキャップの柔軟化これをすぐにしなければますますプレミアとの差は広がり、プレミア並みの競争力など夢のまた夢です。現状を目を当てて欲しい。僕はセビージャを応援していますが、やっぱり欧州で圧倒的に強いマドリーやバルサを見たいです。三強が放映権収入を稼ぐ、それを中堅弱小クラブに分配する、その放映権収入によって三強以外のクラブもヨーロッパで活躍する、それが高い競争力を生み出す1番の近道だと僕は思います。ラリーガは世界最高のリーグだと信じています。テバス仕事しろ。